Q.73 高齢者が老後の寂しさを紛らわすためにハマってしまうパチンコ・パチスロをどう思いますか?(ちょもらんま・会社員)
高齢者が老後の寂しさを紛らわすためにハマってしまうパチンコ・パチスロをどう思いますか?娯楽として楽しむのではなく、パチンコ・パチスロに依存してしまい、借金や自己破産さらには人間関係まで壊してしまうのは、大きな問題だと思います。そうなる前に、何かできる対策はないものでしょうか?
今年中には「ギャンブル依存症対策基本法」が制定される見込み。まずは、行政外でギャンブル依存症対策を専門に取り組んでいる団体に相談を
高齢者のギャンブル依存症は非常に大きな問題です。
社会構造として日本では定年制が定着していますから、ほとんどのサラリーマンが65歳以降に非常に大きな喪失感を味わうことになります。特にいわゆる「猛烈サラリーマン」をやっていたような人は、定年後に仕事がなく、家庭で居場所がなく、趣味もない、という「3無い」状態に陥り、その寂しさを酒やギャンブルで満たすようになることが多々見られます。
こうした中、過度にパチンコにのめり込むような方が多いのも事実で、厚生労働省の調査班の研究では日本のギャンブル依存症の4割近くが高齢者という推計が出ています。
しかしながら、長らく日本ではギャンブル依存症問題は政府に「見て見ぬふり」をされてきましたから、実際に自分の親や親族の高齢者が「のめりこみ(パチンコ業界では依存症のことをこのように呼びます)」になってしまった時に、個人として打てる対策は乏しいのが事実です。
そのため、まずは「ギャンブル依存症問題を考える会」や「リカバリーサポートネットワーク」のような、行政外でギャンブル依存症問題への対策を専門に取り組んでいる団体に相談することが必要不可欠です。
ただ、こうした状況は変わりつつあり、現状ではパチンコ業界はギャンブル依存症問題に対してほとんど対策がとられていないのですが、政府からの強い要請で、今年中には「自己排除プログラム」や「ホールへの依存症対策の専門員配置」のような対策が導入されていく見込みです。こうした業界の対策がはっきりしてきたならば、その仕組みを使うようなことも重要となってくるでしょう。
余談ですが、昔あるパチンコホールの元店長にインタビューをした時に、その元店長は「自分の親の世代の高齢者がパチンコホールに毎日通いつめて負け続け、ある日監視カメラに向かって大当たりを必死に祈っている姿を見て『ああもうこの業界は限界だな』と思って、退職を決意した」としみじみと語っていました。
遅きに失しましたが、今年中には「ギャンブル依存症対策基本法」が制定される見込みで、ようやくにしてパチンコ業界も本格的に依存症対策に乗り出すことになり、状況は少しは改善しそうな見込みです。