Q.67 進む少子高齢化で、さらなる定年延長もあり得ると思いますか?宇佐美さんは何歳まで働きたいですか?(Meijin・会社員)
少子高齢化で、高齢者だらけの逆ピラミッド型の未来が予測されますが、このまま行くとさらなる定年延長もあり得るでしょうか?宇佐美さんはどのように予測していますか?また、宇佐美さんは何歳まで働こうと思っていますか?
20年かけて労働の流動性が高まっていく一方、徐々に社会保障制度が貧弱になり、定年制度は勝手に崩壊するでしょう
個人的には、「定年」という日本独自の制度自体が20年かけて徐々に崩壊していくと思います。意外に思われる方も多いと思いますが、先進国では年齢を絶対の解雇要件とするような定年制度はむしろ違法と捉えられています。
そんなわけで、我が国で定年という制度が成り立ってきた前提について考えると、
① 会社の存続期間が長い(新入社員から定年まで同じ会社となると最低40年以上必要)
② 定年後の生活が公的社会保障で守られている
③ 会社が「定年」以外の理由で従業員を解雇することが難しい
というような要件があがります。
現在の日本の大企業では、かろうじてこれらの前提は維持されていますが、毎年のごとく名だたる大企業が経営危機に陥り、社会保障財政が悪化し続け、企業経営者からの解雇規制緩和の声が高まり続ける日本で、20年後もこのような前提が維持できるとは到底思えません。
むしろ、今後時代の変化とともに旧来の大企業の経営危機が増え、それを契機とする外資の参入が活発化し、日本のローカルな雇用制度の見直し圧力が高まり、それを日本の若い企業も後押しして、従業員の働き方が変わっていく中で労働の流動性が高まり、他方で社会保障制度は徐々に貧弱になっていく、というような経緯をたどる可能性の方が高いと思います。
そんなわけで、私の予測は「20年かけて企業の新陳代謝が進み労働の流動性が高まっていく一方、社会保障制度が徐々に貧弱になっていく中で、勝手に定年制度は崩壊する」というところです。そして私は働き続けられる限りは働き続けて、世間から「老害」と呼ばれるくらいにまで粘ってやろうと思っています。