Q.6 省庁の間でも、仲が良い省庁と仲が悪い省庁というのはあるんでしょうか?もしくは、「○○省は××省に頭が上がらない」といった上下関係(?)のようなものはあるんでしょうか?(yamasan・会社員)
「役所は縦割りだ」とよく言われますが、それが並立しているというわけではないんですよね?経済再生のために経産省の要求がよく通って、社会保障関連の厚労省の言い分はなかなか通らない…なんてことも勘ぐってしまいますが、実際のところはどうなんでしょうか?
全省庁の最上位に立つのは財務省。「お金」と「税」を握っている省庁は強い、というのは間違いないでしょうね
霞ヶ関の省庁間では、後述する財務省を除き明確な上下関係というものはありません。しかしながら、時の政権の政策決定への影響力という意味では、いくつかの省庁が突出した力を持っているのは間違いありません。
まず全省庁の最上位に立つのは、予算と税の査定権限を持つ財務省です。各省庁とも財務省に対しては「お金をください」と頭をさげる立場ですから、財務省は他省庁よりも一ランク上と考えられています。象徴的な話ですが、例えば財務省の係長に対して他の省庁が予算要求の説明に行く時は、各省庁は係長より一ランク上の課長補佐を派遣します。つまり財務省の係長は、他省庁の課長補佐と同等ということですね。通常官僚に対しては上から物を言う政治家も、財務官僚に対しては一定の敬意を払い対立することをなるべく避けようとするほどの影響力があります。
それに続くのは、財務省とともに総理大臣を補佐する首相秘書官を輩出する外務省、経済産業省、防衛省、警察庁、加えて地方自治体に強いネットワークを持つ総務省の5つの省です。
首相秘書官を輩出する省庁は日本の政治のトップである総理大臣に対して直接アプローチするルートをもっているわけですから、必然的に国の政策形成に強い影響をあたえることになります。一方で総務省は、地方自治体の大きな財源となっている地方交付税制度を所管しており、また地方自治体の財務部長ポストを「キャリア組の出向」という形で確保しているので、地方自治体との関係で絶大な影響力を発します。やはり「お金」と「税」を握っている省庁は強いということですね。
その他の省庁はそれぞれの所管する分野において責任ある立場でいずれも重要な役割を果たしていることは疑いありませんが、権力という観点で見た時、これらの6省庁に比べると劣ると言わざるを得ないでしょう。