Q.33 官僚の世界で「バブル世代に入庁した人は使えない」という話を聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか?(ヤナガン・地方公務員)
これはまことしやかに言われていることだと思いますが、入庁した年度によって、使える・使えないといった違いはあるのでしょうか?プロ野球だと「○年組」、サッカーだと「黄金世代」などと言われるように…。
霞ヶ関は諸行無常の世界。やり手だった人が時を経て、「使えない」と陰口を叩かれるといったこともしばしば
私が官庁に勤めていて、バブル世代だからできない、だとか、そうじゃないからできる、だとかいった入庁世代レベルでの実力差を感じたことはありません。
「できる人はできるし、できない人はできない」というだけで、世代レベルで大きな能力の差はないと思います。ただ巡り合わせでたまたま優秀な人が集まる期というものが生まれることはあります。私の古巣の経産省ですと、最近では1980年入省組は非常に優秀な人材が揃っており、幹部ポスト争いは激しいものとなりました。
一方で、時代時代の傾向で職員の能力の発展の方向性が世代レベルで大きく変わることはあります。例えば経産省の産業政策部門では、2000年代前半の小泉政権期は「規制改革・市場派」と呼ばれるような商法・会社法・独禁法などの経済法に通じた人材が「官から民へ」の掛け声の下で活躍しましたが、それが2010年代に入ると逆に経産省自体を「ベンチャー・再生ファンド」と考えて経済にも必要に応じて間接的に介入していくような考え方の官僚が活躍するようになっています。
官民両方を経験している私の立場から見ても、日本の官僚の制度設計能力は非常に高いものがあると思います。今でも感心することが多々あります。ただ、それぞれの時代で求められる専門知識が変わり、その時々の政治の流れに応じて背後で活躍する官僚の顔は変わっています。
一時期は「使える」と評価され官邸にまで食い込んでいた官僚が、政策の流れが変わったことですっかり閑職に回って「使えない」と陰口を叩かれるといったこともしばしばあります。霞ヶ関は諸行無常の世界です。