Q.23 官僚が退職を考えるのはどんなとき?また、転職先としてはどんなところが考えられるのでしょうか?(官僚になりたい20歳・学生)
公務員ですから当然「終身雇用」が基本だとは思いますが、中には途中で退職する人もいるでしょうね。出世するほど役職が少なくなるのは、民間企業と変わらないと思います。出世できる人がいる一方で、出世を諦める人はどんなタイミングで退職を考えるのでしょうか?将来、官僚になりたいんですが、先の先まで考えておきたいと思っています。
時期的には「出世の本流から外れたな」と感じ始める8~10年目くらいでしょうか
官僚である以上、多かれ少なかれ天下りは若手の時代から意識せざるを得ません。
官庁というのは基本的にトップダウンのピラミッド組織です。なので上位ポストは限られており、キャリア官僚として入省した同期全員が仲良く定年を迎えるまで出世というわけにはいきません。年功序列で同期入省組が同じペースで出世したとして、仲良く一緒に仕事できるのはせいぜい課長ポストまでです。それ以降の部長、審議官、局長といったポストは限られているため、少しずつ同期が組織から去り、官庁からのあっせんを受けて外郭団体に再就職していくことになります。これがつまり天下りですね。
そんなわけで「自分が出世の本流から外れたな」と感じ始める8~10年目くらいから若手職員も天下りを意識しはじめることになります。このとき選択肢は三つあります。一つ目は、組織に残ってなんとか巻き返しの機会をうかがうというものです。これは半ば健全、半ば危険で、組織内の人事競争を活性化させることになりますが、その反面、成果を追い求めるあまり官僚が暴走することもしばしばあります。また、途中で巻き返しを諦めた官僚が無気力社員になるケースもよく見られます。
二つ目は転職です。最近は官僚といえども「天下り」に拒否反応を感じる職員も多いので、そうした若手職員は官僚の道を諦めて民間企業への転職活動を始めます。志半ばで組織を去る無念もありますが、民間企業の方が金銭・労働時間両面で待遇が良いので、多くの場合この道を歩んだ同僚たちは満足した人生を送っています。
三つ目は「学会への転身」です。官僚というのは基本的には学力エリートですし、また学問と政治は密接に関わっているので、官僚が専門分野の知識をつけて大学へ出向しそのまま大学教員となる、というのは良くあるケースです。
なお私自身の場合は、「おれは出世の本流から外れているな。このまま組織の中にいて、窓際ポストに行って天下り、という人生は嫌だな」と感じて「独立・起業」という道をたどったわけです。ただ官僚はビジネスの素人なのでこの道をたどった人の多くは失敗して不幸な道を歩みます(もちろんうまくいくケースも“まれに”ある)。私の場合、今はなんとか食えていますが、もしかして私もいつか路頭に迷うことになるのかもしれません。あ〜おそろしい。