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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.200 超高齢社会が進展する日本において、介護を含めた未来の働き方はどのようになっていくのでしょうか?(日本人・会社員)

先日、上梓された新刊を読ませていただき、その考えるところがひしひしと伝わってきました。日本はまだ、明るいのですよね!また、少し前に働き方改革関連法案が成立しましたが、この先の働き方、介護がより重要となる未来の働き方について、今一度お答えいただけませんか?よろしくお願いします。

皆さんが明るい未来を切り開いていくために求められるのは「イノベーションと世代間闘争」です

ちょうど200回目ということで、今回が最後の記事となります。

第一回目が2016年3月10日ということで、連載を始めた当初は「介護の素人の俺の連載なんてニーズがないだろうから、どうせすぐ終わるだろう」などと思っていたのですが、皆さんのおかげで二年以上にわたってここまで続けてこれたことを、まず感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

さて、介護産業の先行きについてなのですが、これは私が言うまでもなく、日本社会を支える最も重要なサービス業の一つになっていくことは間違いありません。

高齢社会白書によると、2016年現在の高齢者人口は3,459万人(65~74歳:1,768万人、75歳以上:1,691万人)なのに対して、ピークの2045年頃には3,920万人(65~74歳:1,643万人、75歳以上:2,277万人)まで増えます。介護サービスの利用は量的拡大し、また後期高齢者の増加に伴い、質的にも高いものが求められていくことになるでしょう。その現場を支えていくのが皆さんということになります。

ただ、このことが皆さんの明るい未来を保障することには決して繋がりません。これだけ高齢者が増えるということは、これまで以上に「若い労働力を安く使って介護をさせて、なんとか予算を削減しよう」という圧力が必ず政治的にかかります。

これまでは人が余っている時代で、従業員より雇用者が強い時代でしたから、そうした政治状況を甘んじて受け入れるしかありませんでしたが、これからは違います。労働人口の減少が続き、介護業界では人手不足が恒常化します。

ですから、皆さんが社会に対して「もっと俺たちを大事にしろ。俺たちがいなければ社会は回らないだろ」と正面切って声を上げて闘えば、政治はそれに対して答えざるを得ない時代が始まります。

そのためには、このコラムで再三書いてきたように、日々、介護ロボットなどの新しい技術を使いこなして「ムダ、ムラ、ムリ」をなくして職場環境と生産性を向上する一方、業界として同業者同士で団結して票を取りまとめて、願わくば族議員を囲って政治に対して直接声を届けられるようにし、自らの権利の拡充を社会に訴える体制を整えていく必要があります。

「イノベーションと世代間闘争」こそ、これから皆さんが明るい未来を切り開いていくために求められることです。

政治家に、官僚に任せっきりにして、「あいつらは何もわかっていない」などと酒場やネットで愚痴っていても状況は変わらず、むしろ財政逼迫(ざいせいひっぱく)を大義名分としてじわじわと抑圧され、押しつぶされていくだけです。事実、これまでそうだったではないですか。

逆に、皆さんが日々現場の改善に励み、他方で団結して政治的に立ち上がれば、皆さんの未来はその努力に応じて少しつづ明るいものになっていくはずです。そのことがどうしても皆さんにいいたくて、この連載も始めたようなものです。社会は皆さんを搾取してます。皆さんはそのことにもっと怒り、闘っても良いと思います。私は介護業界のことをほとんど知らない外野ですが、皆さんの闘いを外から応援させていただきます。

それでは、本当に長い間ありがとうございました。皆さんの人生が幸多きものとなることを願っております。