Q.191 身元保証人がいない方を約3割の介護施設が入居拒否しているようです。もしご自身が断られたら辛くありませんか?(narenohate・会社員)
介護施設への入居についてです。独居老人の数も相当な数となっていますし、後見人制度にも限度があります。倫理的な話を持ち出すとこじらせてしまいそうですが、”福祉サービス”ってこうあるべきではないと思うのですが、宇佐美さんはどのように思いますか?
身元保証人がいない方へのセーフティネット事業を公的機関がサポートすべき
難しい問題ですね。
私は介護業界の素人なので一般論しか言えませんが、入居にあたって介護施設が身元保証人を求めることは、それほどおかしなビジネス慣行とは思いません。入居者の病気や怪我の治療方針、死亡時の手続きや荷物の引き取り、支払いの滞納時への対応を考えると、事業者としてはリスク軽減のために身元保証人を求めざるを得ないでしょう。
他方、質問者様のおっしゃる通り「身元保証人が見つからなければ介護施設へ入居できない」というのでは、人権問題になりかねませんから、身元保証人不在時に同等の役割を果たす保証サービスが必要となります。それが身元保証、日常生活サポート、死後事務をパッケージとして定額で引き受ける、いわゆる「身元保証等高齢者サービス事業」で、すでに民間事業者や社会福祉協議会や地方自治体などで幅広く展開されています。
そういう意味では、身元保証人が確保できない方へのセーフティネットとして「身元保証等高齢者サービス事業」が存在しているのですが、この保証サービスは監督省庁が明確ではないことに加えて法令も未整備で、サービスの質が担保されない上に保証サービスを提供している事業者が破綻すると、預託金が返還されないという消費者被害が発生します。
このことは消費者庁からも問題視されており、厚生労働省は実態把握および対策を取るよう勧告されています。厚生労働省はこれを受けて調査を実施しており、とりあえず身元保証がない場合でも入院を受け入れるよう病院に行政指導をするなどの消極的対応を始めていますが、今後もしかすると、立法措置などの対応がとられていくのかもしれません。
私自身が思うことは、やはり「身元保証等高齢者サービス事業」のような社会保障と密接に関係したサービスに関しては、「再保険制度」に代表される、サービス提供事業者をサポートする機能を公的機関が果たすべきなのではないかということです。そうであれば、仮に私自身が独り身になった時も安心してサービスを利用できると思います。