Q.187 介護現場に興味を持っている一方で某有名大学に通っており、周りからは疑問を持たれています。自分では迷っていないのですが…（なかじ・学生）

”介護全体”の中で自分が果たすべき役割とは何か？を考え学ぶことが、インテリたる君のすべきこと

質問ありがとうございます。君（と呼ばせていただきます）が介護業界に興味を持ったのは、まさに君自身の思想であり、決断であるので、そのこと自体に対して他人である僕が口を挟むような立場ではないと思います。ただ一応君よりも少しばかり長く生きてきた身として、「介護という業界の関わり方」という観点から少し思うところをアドバイスさせてもらいます。

君は「まずは現場を経験しておく必要があると考えています」と言っているけど、それは本当かな？僕は「某有名大学の学生」という君の立場を考えれば、それはピントが少しずれているように思います。言うまでもないことだけれど、いわゆるデイサービスや特養における介護サービスは、専門学校・大学などで知識と経験を積んだ介護の現場のプロが中心となって提供するものです。そこに「介護の現場」の素人である君が参加しても、せいぜいちょっとした力仕事の手伝いしかできないでしょう。それはあまり意味がないことで、君の能力が生かせるポジションではないと思います。

有名大学の学生という地位を考えれば、君が将来介護業界と関わるとしたら、総合職として介護に関わる企業の経営や企画部門に携わっていくような立場になるのだと思います。なので、君が考えるべきこと、学ぶべきことは、あくまで「将来自分が介護関連企業を経営することになったら何をすべきか？」という観点から検討されるべきだと思います。もちろん現場経験も必要だけれど、それはあくまで「マネジメント」という観点での現場経験で、専門職の領域に君が積極的に入り込む必要はないし、むしろそれは現場のプロに対して失礼なことだと思います。

だから、君が介護業界を目指しているなら、まずすべきことは、介護に関わるさまざまな企業の経営方針や政府の政策を学んで、自分なりに介護業界の将来のあり方に関する仮説を立てて、その仮説を実現するために自分が介護業界とどう関わっていくか目星をつけることだと思います。

例えば、サ高住なり特養なりを一つ建てるにしても、介護サービスだけではなく、不動産、人事、金融、というさまざまな側面があるわけで、そういう全体像の中で「自分が果たすべき役割とは何か？」を考え学ぶことが、インテリたる君のすべきことなのではなのではないでしょうか。

色々と説教くさいことを言いましたが、一言で言えば「餅は餅屋」ということを忘れてはいけなくて、君は「介護という業界の中でどんな餅をつくのか」を考えるべきということです。頑張ってくださいね！