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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.178 高齢者が人口の半分を占める「限界集落」に対し、コンパクトシティ政策はどれほどの効力を発揮すると思いますか?(むぎ・会社員)

高齢化社会が進めば進むほど、この先も限界集落は増えていく一方なのでしょうか。コンパクトシティ以外にも、何かいい手立ては考えられるものでしょうか。

コンパクトシティは絵に描いた餅。他の選択肢として「二地域居住」という可能性を求めるべき

日本の人口構成の変化に関しては、少子高齢化、人口減少とともに、「都心部への集中」という傾向が強く出ています。特に、東京圏は2000年代に入ってからも人口が年間10~20万人単位で増え続けており、総務省の資料によると、三大都市圏の人口比率は1955年の37.2%から一貫して増え続け、2015年には51.8%にまで増えています。

人口が減り続ける中で都市部への人口集中が続くわけですから、当然地方には人口減、特に若者の人口減、という形でその影響がでてきます。そして論理的必然として限界集落が誕生するわけです。

このように、限界集落問題の背景には強固な人口変動のトレンドがありますから、はっきり言ってマクロ政策で限界集落を再生するのは困難です。多少いくつかの先進的な取り組みに挑む限界集落が再生したところで、それはあくまで例外的事例の話です。

そのような中で「コンパクトシティ」という政策はどう捉えるべきか、ということなのですが、基本的には自治体の限界集落からの撤退戦略と捉えるべきなのだと思います。限界集落への税金投入を抑えて、地域内での移住を促進して地方にも都心を作る、ということが本来の政策目的のはずです。

ただ日本の場合は、過疎地域への税金投入を続けたままコンパクトシティ政策を続行するので、結果的に限界集落は徐々に状況が悪化していく上、地方都市でコンパクトシティ向けに建設した施設の赤字が増える状況になってしまっています。多様な意見を反映しなければいけない行政に「選択と集中」を求めるのは極めて難しいので、行政主導のコンパクトシティは今のところ絵に描いた餅になっていると言えるでしょう。

やはり全体として人口が減少する中で、高い利便性がありながら就業機会も豊富な都心部と地方が争うのは愚策と言えますから、他の選択肢としては「二地域居住」という可能性をより求めるべきだと思います。

この点、参考になるのは韓国の事例で、韓国では財閥化と都心部への人口集中に対する批判への対策として「一村一社運動」という取り組みが進みました。これは「大企業が一つでいいから特定の地方の村をサポートしよう」という取り組みで、企業として従業員に第二の故郷を提供し地方振興を実現しようというものでです。日本でも少しづつ取り組みが進んでいますが、まだまだ普及には至っていません。

都心部と地方が居住者誘致で競争すると、圧倒的に都心部に優位性がありますから、これからは視点を変えて、都心部への人口集中を前提として、都心部と地方がwin-winになる取り組みを考えるべきなのだと思います。

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