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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.160 他者の視点でものを考えるということは必要なことだと思いますが、宇佐美さんは官僚時代など、仕事を進めていく中で「自分以外の存在」をどのように意識していましたか?(寝不足マン・会社員)

みんなで一丸となって加速させていくのが組織なのだから、他者の視点というものにはやはり常に気を配っていたのでしょうか。でもこのような類のものって努力でなんとかなるものではなく、生まれ持った才能のようなものである気がするのです。

組織に対してはそれぞれの利害関係をよく理解し、個人に対してはその人の人格を尊重するよう心がけています

なかなか難しい質問ですね。

私はどちらかといえば「他人が怖い」と思っているタイプの人間ですので、昔から「他人が自分をどう見るか」ということを意識して生きてきた人間だと思います。

だからと言って「他人の視点」で物事を考えられていたかというとそれはまた違いまして、それを痛感させられたのが官僚時代の法案作成業務でした。

私は官僚時代いくつかの法案作成チームに参加したのですが、当然法案を作ろうとしている本人たちはなんとか世の中のルールをより良いものにしようと思って作業するわけです。

ただ、既存のルールで利益を得ている、いわゆる既得権益と呼ばれる人はルール変更に対して猛反対してきますし、法律家は憲法に照らして違憲か合憲かという観点で意見をしてきますし、他省庁は既存制度との整合性を取ることを求めてきますし、政治家は地元企業の意向を反映して要望をしてきますし、立場によって利害関係はさまざまで、物事は一筋縄では進みません。場合によっては、アメリカなど外国との協定なども考慮しなければいけないこともあります。

その結果何百にも及ぶ論点が生じ、それに一つひとつ真摯に対応して解消していかないと法案改正というのは実現しないわけでして、世の中には本当にいろんな立場で物事を考える人がいるのだな〜と痛感させられました。

これは組織レベルの多様性についての経験だったのですが、官僚を辞めて独立して個人として動き回るようになった後は、全く自分と違った環境で育ってきた人に会う機会が増え、その中で他人と意思疎通がうまく取れず、人間関係に苦しむことがありました。

当時は大変悩んで心理学などの本を多数読んだのですが、ある時「エニアグラム」という考え方を知り、これに大変納得いきました。ここで詳細を語るスペースはないのですが、エニアグラムというのは「人間は基本的に9つの性格に分かれる」と最大公約数的に分類して、それぞれのタイプの特徴や長所・短所をまとめています。

私は知的活動をベースに生きてきた人間だったので、ある程度自分の論理に自信を持ってそれを人に押し付ける傾向があったのですが、エニアグラムという体系を知ったことで「自分の“考え方”というものは当たり前のものではなく、どれだけ突き詰めてもいくつかあるタイプの一つにすぎないんだ」ということに初めて気づき、それ以後は他人に自分の考えを押し付けるのを止め、相手のタイプに合わせて物事を言うようになりました。

そんなわけで私は、多様性というのは組織レベルと個人レベルがあると経験から思っておりまして、組織に対してはそれぞれの利害関係をよく理解すること、個人に対してはその人の人格を尊重するように心がけています。

ただ、まだまだ私自身未熟な人間で、なかなかうまくいかないんですがね。(笑)

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