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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.150 有料老人ホーム等の空き部屋が増えています。入居資金のない人が増えると、介護施設は倒産ばかりになるのでしょうか?(はらや・介護職)

これから先、要介護者の増加は避けられませんが、施設に入る資金のない人もどんどん増えていくと思います。有料は他の施設よりも利用料が高く、電気代やオムツ代も別料金になりますが、有料に限らず、介護施設はこの先倒産ばかりになるのでしょうか?

現在の空き部屋増加は”人手不足の見込みが甘かった”結果の一時的な現象でしょう

介護施設はこの先倒産ばかりになるかというと、そのようなことはないと思います。

まず単純な前提として「高齢者の中の一定割合が富裕層で、その富裕層が有料老人ホームに入る」と考えると、高齢者人口はしばらく増え続けますから、質問者様のおっしゃる通り「施設に入る資金のない人」はどんどん増えていきますが、「施設に入る資金のある人」もどんどん増えていきます。

なので、有料老人ホームの倒産に関する問題は他のところにあります。それは「人手不足による人件費及び求人広告費の増加」です。2017年10月時点での有効求人倍率は1.55と過去最高に近く、人手不足感が強まっていることに加えて、2013年以降、20代~30代の人件費が年間1~2%伸びています。

日本はバブル崩壊後、30年近くにわたって人員過剰で、特にサービス業は若者を安い賃金で使い倒す経営が常態化していましたから、こうした環境変化に対応できない企業が慢性的な赤字体質に陥り、倒産し始めているというのが現状なのだと思います。

このコラムで再三再四述べていることですが、このような時代の変化の中で、経営者としては人手不足を前提として設備投資により職員一人一ひとりの生産性を高めていくしかありませんし、また職員としても、介護作業を補佐する機器を使いこなしていくように意識を変えていく必要があります。

人手を増やすことができない以上、これは客観的事実と言ってもいいでしょう。遠回りなようでも、施設として職員の負担を軽減する離床や入浴を支援する機器、被介護者の生活を補助する移動支援に関する機器を導入して、職員一人ひとりが担当できる業務を増やしていくしか解はありません。もちろんこうした機器を使いこなすスキルがついていけば、それに応じて皆さんの給与も上がるはずです。

全体の趨勢(すうせい)を見れば、現在の介護施設の空き部屋の増加は人手不足の見込みが甘かった事業者が経営危機に陥った結果の一時的な現象で、生産性の向上とともに問題は解消されていくものと思われます。サービス需要が増えていくのですから、介護が成長産業なことは間違いないので悲観的になることはありません。

バブル崩壊以降、日本では仕事不足で労働者が雇用者に都合よく使い倒される苦しい時代が続いてきました。それが人手不足に時代が変わりつつある中、過渡期の今は変化に伴う問題が噴出している状況で、現場としては大変苦しいのだとお察しします。

ただ、この苦難を乗り越えられた職場には、発展していくチャンスがあるということなのだと思います。