Q.149 勤続10年の介護福祉士の給料が上がりますが、”勤続10年”はなかなか厳しいです。「勤続~年」を優遇する政府の方針ってどうですか?(とらじま・介護福祉士)
勤続10年の介護福祉士の給料が上がるというニュースを受け、それが現場では最近よく話題になります。でも勤続10年というハードルはなかなか高く、金銭的な事情から離職する人が特に多いのが現実です。
重要なのは、平均勤続年数を10年以上に伸ばすためにどのような手を打つか
やや外野的になりますが、「政府としてはできることを精一杯やったのだな」と感じています。政府としては、技能を持つ職員を何らかの形で線引きして優遇しようとしたわけで、とりあえず今回はその基準を「勤続10年」という仕切りにしたということなのだと思います。
介護福祉士の平均勤続年数は6年程度ということで、現場としては「勤続10年の職員はほとんどいなくて効果がない」という現状があるのは理解できますが、それでも何もしないよりはマシということに異論はないと思います。
現場の不満はあれど、政府としては離職を止めるためにできるアクションをとりあえず一つしたわけで、問題はこれを受けて企業なり地方自治体なりが、現在6年となっている介護福祉士の平均勤続年数を10年以上に伸ばすためにどのような手を打つのか、ということが重要になってくるのでしょう。
その意味では、このコラムでは何度も言っていることですが、例えば勤続6年を超えた職員に対しては自治体が、安価に入居できる寮の手当てや家賃補助で生活コストを補助するような取り組みを進めて、なんとか10年目まで職員をつなぎとめる取り組みを充実させていくことが望まれます。
いずれにしろ政府としてはこの方向で進めていく、ということをとりあえず決断し手を打ったわけで、不満はあれど、介護業界としてこの機会を活かす方法を考えていくのが重要なのだと思います。それでももし政府側の手当てが不十分ならば、制度の拡充を業界として要望していくような仕掛けをすれば、財務省や厚生労働省も利用状況に応じて措置を拡充していくようなことになるんだと思います。
制度とは政府側の手当てだけで機能するものではなく、政府と業界が協調してPDCAを進める中で充実していくものなので、今回の措置を契機に介護業界が新しい取り組みを始めて、全体の流れが変わっていくことを期待しています。