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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.143 宇佐美さんが考える「高齢者」の定義について率直に聞きたいです。(きくまる・会社員)

「若者」などの基準と同じように高齢者という言葉についての”肌感覚”は時代によって変わっていくのかな?と私は考えていますが、やはり”労働”に関する価値観の変化は大きな影響を及ぼしているのでしょうか。

私の中では、「高齢者というのは年金を受け取っている人」です

難しい話ですが、私の中では「高齢者」というのは「年金を受け取っている人」というように割り切って考えています。

年金の受給開始年齢は、制度創設時から長い年月をかけて徐々に引き上げられてきたものですから、その意味では「時代によって変わっていく」ものでもありますし、また、働かなくても収入が入ってくるようになると、インセンティブが低下して労働に対する貪欲さというものは薄れてくるものでもあると思います。

現在、年金の受給開始は原則65歳からとされていますが、大半の方は厚生年金に加入していますので、60歳から老齢厚生年金を受け取っています。なので私からみれば、現在は「60歳以上が高齢者」ということになりますが、この制度はまもなく廃止される予定(男性は2025年度、女性は2030年度)なので、近い将来65歳以上にならなければ年金が受け取れなくなります。さらにその後も諸外国の例に倣(なら)い、年金の支給年齢はおそらく原則として67〜68歳程度まで引き上げられる可能性が高いでしょう。

ただ、画一的な制度で受給開始年齢を引き上げると、生活ができずに困窮してしまう人も大量に出てくると予測されるので、制度としての柔軟性をあげて前倒し受給をしやすくすることにもなるでしょう。これを「高齢者いじめ」と呼ぶのは簡単ですが現実に財源は厳しいですし、過去を遡(さかのぼ)れば1944年の年金制度創設時、年金の受給開始年齢は55歳で、それが長年かけて60歳、65歳と引き上げられてきたという歴史もあります。

そんなわけで、私は将来的には「原則として68歳からの年金受給だが、60~75歳の間で個々人が受給開始の時期を決める」というような年金制度になるんだろうとも思っていまして、「いつまで自分が現役か」というのは個々人がそれぞれ自分の人生設計に応じて決めることになるのではないかと予測しています。

これは逆に言えば、「高齢者になる時期を自分が決める」ということなんだろうと思っていまして、その背景には働き方の変化という要素も当然あるのだと思います。例えば長期間ある会社に勤めていて定年で退職するような人は、そのタイミングで年金の受給開始をせざるを得ないのでしょうし、一方どこかで生き方を契約雇用やフリーランスベースに切り替えた人は、定年とは無縁で70代になっても受給開始をしないのかもしれません。

私個人としては、できれば75歳くらいまでは現役を貫いて「高齢者」と呼ばれずにいたいと思っていますが、人生厳しいのでそうはいかないのかもしれませんね。