Q.131 介護保険制度の解釈部分で地域への権限委譲が進んでいますが、各地域の解釈差異についてはどう考えますか?(匿名さん)
制度解釈や基準について地域担当者の理解が各地で異なる点が散見され、人員基準など根幹に関わる点で各地域で解釈差異が出てくるのはどうかと考えています。
各地域の事情に応じて独自性が出せるのは歓迎すべきことだと思います
地方分権によって基準の解釈が各地域の事情に応じて異なってくることは、地方自治制度の本旨に沿っていることなのだと思います。
解釈変更の結果、望ましい成果が生まれればそれは喜ばしいことですし、逆に弊害が生まれれば地方議会での議論を通じて修正がなされていくべきなんでしょう。よく言われることですが、国に指示されたことをそのまま実行するだけなら地方政府の存在意義自体が問われます。
なお私の経験を話しますと、経産省時代に工場立地に関する許認可権限の一部を地方自治体に委譲したことがあったのですが、その際に地方自治体から最も多かった問い合わせは、「権限移譲された我々はどうすればいいのですか?」というものでした。
その都度「権限は委譲したのですから、それぞれの地方で自分たちで考えてください」と返答していたのですが、最終的に国の方でガイドラインを作ることになり少々閉口した記憶があります。
ただ5年もすれば地方自治体からの問い合わせもなくなり、10年たった今では各自治体がそれぞれ自分で考えて制度を運用し、むしろ工場が多い地域などは「国は関わるな、もっと権限をよこせ」というようになっています。
何が言いたいのかと言いますと、権限移譲された当初というのは自治体側もどうしていいかわからず、一時的な混乱が生じたり結果的に国のガイドラインにそのまま従うことになったりすることもありますが、時を経るごとに自治体側も制度の運用も慣れてきて独自性が出しはじめ、その地域地域で何らかの解を見つけていくということです。
それが結果として解釈差異を生じさせることになっても、それは地方分権の結果として歓迎すべきなんだろうと思います。