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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.130 どうして政治家は「忖度(そんたく)」するのでしょうか。忖度しないとどうなるのですか?(うみのひやまのひ・会社員)

最近、テレビなどでよく政治家の「忖度」という言葉を聞きます。政治家にとって忖度することはどのような意味合いがあるのでしょうか。

忖度は日本的な仕事の文化。忖度しない人は「空気が読めない奴」として扱われてしまいます

政治家や官僚が忖度をするのは、彼等がごく普通の日本人だからです。

そもそも「忖度(そんたく)」という言葉は「他人の気持ちを推し量る」というくらいの意味で、多くの場合、忖度をしないサラリーマンが「あの人は空気が読めない」と「仕事ができない人」として扱われるのと同様、政治家や官僚でも忖度しない人は「仕事ができない人」として扱われてしまうことになります。

私の経験上の話でいいますと、霞ヶ関では各人の仕事や役割分担が明確に定義されて個々人がその規定に従って働いている、というわけではありませんでした。部署ごとー課室ごとの大枠の役割分担の中で、個々の課員同士が空気を読みあって「お互い言いづらいことは言わずに済むようにして」流動的に業務を分担し、いわば“村的”にチームとして仕事をこなしていくスタイルが取られていました。

民間企業でも、大きくなればそういう会社が多いと思います。長期雇用という制度下、特定の決められた人間同士が内部で異動・昇進を繰り返す閉ざされた社会において、共同体として仕事や責任や成果を共有するために生まれた文化で、責任者不在の意思決定やサービス残業が常態化しているのも、こうした“忖度”文化が背景にあるのだと思います。

政治家も日本人ですから、こうした日本的な仕事の文化を引きずらざるを得ません。政治家は自身が大物政治家の意向を忖度しますし、また官僚に対して忖度させます。こうしたインフォーマルなコミュニケーションができずに大物政治家に対して明確な指示を求め、また官僚に対して直接的な圧力をかけるようでは、その政治家は「空気が読めない奴」と扱われ、上がり目はなくなるでしょう。これは与党も野党も一緒です。

日本ではお互いが空気を読みあって「阿吽の呼吸」を形作るからこそ、付かず離れずの持続可能な関係を築けるというものなのでしょう。なお私はこうしたコミュニケーションの取り方が苦手でしたから、今こうして役所の外に出て独立しているというわけです。

もちろん忖度の結果、違法行為が行われるようであれば大問題ですが、法律の範疇の中でことが処理されているのであるば「忖度」という文化そのものに目くじらを立てることはないでしょう。単なるコミュニケーションの一手法に過ぎないわけですから。