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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.126 農福連携について、宇佐美さんはどう考えますか?(やちよ・地方自治体職員)

農福連携について、宇佐美さんの考えをお聞かせください。障がい者に対する業務の選定はどのように行われるべきなのでしょうか。

障がい者の方が通年で働ける環境を、“社会としてつくる”ということが重要なのだと思います

私は9ヶ月ほど農業生産法人の生産/流通現場の管理・指導した経験があるのですが、その際に一時期、障がい者施設から何人か障がい者を受け入れて働いてもらったことがありました。その時に感じたことは、障がい者の方達(※ここでは知的障がい者と理解します)を活用するにはかなり高度なマネジメント能力が要求されるということです。

もちろん農業の現場というのは単純労働作業も多く、有り体に言ってしまえば安価な労働力として障がい者の方が活躍する余地は多々あります。例えば、雑草対策や青果の粗仕分け、洗浄作業などは単純な作業が多いため障がい者の方にお願いしやすく、またこうした作業を障害者の方にお願いするとしばしば尋常ではない集中力を発揮するので向いているのですが、こうした作業はスポット的に発生するもので、一年を通して仕事があるわけではありません。

通年で発生する業務のほとんどは、運転技術や交渉能力などの技能や知的要素が関わってくるので、こうした作業を障がい者の方にお願いするわけにはいかず、どうしても障がい者の活用というのはスポット的になります。

障がい者自身やその保護者の方から、おそらく居場所のないこともあって、「タダでもいいから一年働かせてほしい」というお願いをされ、単純作業がない時期もしばらくは職場に残ってもらったこともあったのですが、役割がなくかえって職場の生産性が落ちるということもあり、結局はしばらくしてお断りしたということがありました。また、仕事がなくなると障がい者間に頻繁に発生する問題として、障がい者同士のいじめ、という問題があり、これにはかなり苦慮させられました。

このようなわけで、私自身の経験から言いますと、障がい者の農業における活用というのはどうしてもスポット的になってしまうという側面があります。なので農業に限らず、さまざまな産業で障がい者に対して単純作業の場を提供し、専任のマネージャーの下で通年で働ける環境を社会としてつくる、ということが重要なのだと思います。