Q.114 生産性が上がれば給料も上がるんだろうな…とは思いますが、例えば介護職でロボットを導入したりして生産性が上がったら、どれくらい給料が上がると思いますか?(ネジ太・介護職員)
「生産性を上げることが大事」とよく言われます。確かに、生産性が上がれば給料も上がるんだろうな…とはぼんやり思いますが、そもそも昇給なんて微々たるものの介護職にはいまいちピンとくるものがありません。例えば介護職でロボットを導入したりして生産性が上がったとして、具体的にどれくらい給料が上がるのか?ざっくりとでも良いので算出してみてもらえませんか?
介護職の給与水準が約350万円にまで上がる可能性もあります
まず「労働生産性」という概念についてですが、簡単に言えば「一人当たりの付加価値額(≒利益額)」を意味しています。つまり「皆さん一人一人がどれだけ会社の利益に貢献したか」ということを表す指標が労働生産性です。
この労働生産性に労働分配率を掛け合わせたものが、基本的には皆さんの給料になります。労働分配率とは「付加価値に占める人件費の割合」のことで、簡単に言えば「会社の利益が人件費に回る割合」のことを指します。
改めてまとめますと、
皆さんの給料=労働生産性×労働分配率
ということになります。
2012年の経済センサスによると、社会福祉・介護業界の労働生産性は288万円で、労働分配率は85.8%で、掛け合わせて一人当たり給与総額は247万円となっています。
この労働分配率の数字は全業種中、教育・学習支援業の88.1%に次いで高いものですから、これ以上「労働分配率を高めて給料を上げろ」というのは無理があるでしょう。逆に言えば、それが皆さんの給料が上がらない事情で、介護業界は皆さんが思う以上に利益を人件費に回しているのです。
他方で労働生産性については全20業種中下から5番目という水準ですから、やっぱり皆さんの給料を上げるには、こちらの底上げが不可欠ということになります。
なお、仮に労働分配率が変わらないまま皆さんの労働生産性が400万円程度まで上がれば、給与水準は400万円×85.8%=343.2万円程度まであがることになり、これは従来から38.9%弱の向上ということになります。
これでも労働生産性は全業種の平均を下回っており、これくらいの水準は十分達成可能な目標といえることができると思います。