Q.113 安倍総理が「消費税10%への引き上げは予定通り行う」と発言していましたが、実現すると思いますか?実現したら増収分がきちんと社会保障に回ってくると思いますか?(K2・会社員)
先日、安倍総理が「消費税10%への引き上げは予定通り行う」と発言していました。2年後に迫っていることになりますが、本当に実現するのでしょうか…?
消費増税は約束通り行われ、その使途は社会保障だけでなく「教育無償化の財源」など多岐にわたるでしょう
消費増税は2019年10月に約束通り行われると思いますが、その使途は社会保障に限定せず多岐にわたると思います。そしておそらく一部は教育無償化の財源になるでしょう。
消費税の10%化に関しては、もともと2017年4月に実行するはずだったものが、2019年10月にまで延期されています。これを再延期するとなると、官邸と財務省との関係が破滅的になると思われ、また国際的な信認も損ないかねないため、たとえ超短期的に国民受けが良くてもその後すぐに政権の基盤を弱めることにつながりかねません。そのため増税の再延期という可能性は低いと思います。
他方で消費増税となると、国民の反発はかなり厳しいので、国民から増税への理解を得るための直接的なバラマキ政策がなんらかの形で実現すると思われます。この点、気になるのが子育て世帯の財布を直接的に支援することになる「教育無償化」の議論で、政権との距離が近づきつつある維新の会が強く実現を求めているほか、安倍首相も前向きな姿勢を見せています。
ただ、教育無償化を実現するには莫大な財源が必要で、幼児教育で7,000億円、高校教育で3,000億円、大学教育で3.1兆円程度の予算が必要になるといわれています。この規模の税収を担保するためには消費増税以外の選択肢はなく、消費増税の議論と教育無償化の議論がリンクしてくる可能性は高いのではないかと思います。
教育無償化は広い意味での社会保障予算とも言えますし、またそもそも消費税は一般財源であるため社会保障に使途を限定することも困難で、国民の消費増税への反発が強い以上、こうした形で消費増税の使途が広がっていくことは仕方がないところでしょう。
もちろんそれを差し引いても、消費増税分の少なくない割合は社会保障に回ってくるとは思いますが、そもそも社会保障の予算の増加を消費増税ですべて賄おうとする姿勢には限界があり、どこかで医療費の自己負担の拡大や年金の受給年齢の引き上げといった抜本的な改革が必要となってくるでしょう。