Q.105 寝床や食事を求めて刑務所へ…。そんな高齢犯罪者の増加を食い止める策はないものでしょうか?(ケムリ・会社員)
以前、犯罪を犯した高齢者が出所した後、食うに困ってまた犯罪を犯して刑務所に戻って…という悪循環を繰り返すケースが多いというニュースを見ました。そんな高齢者を食わすために税金を払ってんじゃねー!と思ってしまうわけですが、こうした事例を減らすための妙案はないものでしょうか?
前科のある高齢者の就職先を増やすしか、手はないでしょうね
高齢者・障害者の再犯率は非常に高く、犯罪白書によると高齢者の再犯率は5割近く、高齢者の再犯者率(刑法犯のうち2回目以上の入所者の率)は7割に上るといわれています。
これは端的に犯罪歴のある高齢者を雇ってくれるような職場は極めて限定的で、生活保護で生きていくくらいしか手段がなく経済的に困窮する上、近親者の死去などで社会的に孤立してストレスをためがちなことが原因と言われています。「貧しくて、寂しくて、犯罪をして刑務所に入ったほうが人生まだまし」ってところでしょうか。やりきれないですね…。
こうした問題は結局のところ、犯罪歴のある高齢者が働ける場所を増やすしか解決策はありません。しかしながら企業の立場に立った時、わざわざ各種のリスク満載の刑務所からの出所者を積極的に雇うインセンティブは皆無で、問題がなかなか解決されないという状況です。
このように問題は根深いのですが、こうした状況を少しでも変えるべく、日本財団が2010年から始めた「日本財団再犯防止プロジェクト」と呼ばれるプロジェクトはかなり注目を浴びています。このプロジェクトでは意欲のある企業が、職業教育や場合によっては生活支援も含めて刑務所からの出所者に働く機会を与えて、犯罪者の社会復帰を支援するものですが、特に重要な点は行政の情報提供で、出所前から企業側の要望に応じて事前に出所者に関する情報提供が行われている点です。
まだまだ全体の問題の規模から比べると小さな取り組みですが、今後こうした取り組みが徐々に広がっていくことを期待するしかないでしょう。この問題に関しては残念ながら妙案というものはなさそうです。