Q.10 特養には要介護3以上でないと入れません。介護保険料も値上げになり、そうしていざ介護が必要になったら「要介護2では特養には入れません」って…(まこと・会社員)
祖父が要介護2なのですが、一人暮らしで家族も遠方住まい…。介護施設にお世話になりたいのですが、特養には入れず、不安な生活が続いている現状に怒りすら覚える今日この頃です。介護保険がもっとちゃんとした制度なら…と疑問を感じざるを得ません!
介護施設の受入能力が上がる見込みはなく、小手先の政策で治すことは困難でしょうね
少子高齢化社会の進展が介護保険制度の限界を超えたからです。
介護保険制度が始まったのは2000年です。それまで高齢者の介護については主として「家族の問題」とされてきました。しかしながら、急速な高齢化が予測された当時のわが国では「このままでは家族の労働・経済負担が増えてしまい社会として許容できる限界を超えてしまう」と考え、介護を「国家の問題」と捉えなおしました。その結果、介護施設の充実も含めて社会で対応するために創設されたのが介護保険です。
介護保険が創設されたおかげで、介護施設の経営が安定し、家庭の経済的負担も減り、その結果として各都道府県の介護施設の受入能力は大きく拡大しました。しかしながらそれを上回るペースで増えたのが要介護者数でした。2000年当時の要介護者数は218万人でしたが、2015年にはわずか15年で2.5倍の608万人にまで膨れ上がっています。
その結果として起きているのが、軽度の要介護認定者が介護施設に受け入れられず、一度「国家の問題」ということで家庭から離れた介護が再び「家庭の問題」として帰ってきているという現状です。
要介護者数はこのまま増加していく見込みの一方、介護施設の受入能力はそれほど伸びる見込みはありません。そしてこの状況は長年の蓄積があって生まれたものですから、残念ながら小手先の政策で治すことは困難です。