「次世代型電動車椅子」の軽さに驚く
簡単に折りたためる仕様に

次世代型電動車椅子のWHILL(ウィル)を自宅でレンタルしてみた。11月1日発売の「WHILL Model F」だ。Model Fは、ボクたちユーザーの声を幅広く聞いてくれたモデルだとのこと。利用者の声を吸い上げながら、何回も試作を重ねて完成したらしい。

以前のモデル「Model C2」と比べてどんなところが変わったかといえば、まずは重さ。

そう、従来のWHILLは残念ながら重い。分解できるようにして重さを解消し、自分で車のトランクに積めるようにはしてくれていた。しかし、毎回分解しなければいけないというのは、車で持ち運んでどこかに出かけるのに不便だった。

分解した「Model C2」よりも、折りたたんだ「Model F」の方がコンパクトに感じた。分解なしで持ち上げられる「Model F」の手軽さはありがたい。重量はバッテリー込みで26.7kg。「Model C2」が約52kgだったことを考えると、大きな改良だ。

まあ26.7kgのモビリティを持ち上げるわけだから、実のところ妻一人ではちょっと大変かもと言っていた。「持つところがもうちょっとなんとかなれば一人でもイケるかも!」とのこと。

そして、WHILLの存在感たるや、そのフォルムの美しさといったら初代WHILLの「Model A」の頃から憧れだった。「かっこいい!」それはWHILLの一番の売りだと思っている。

普通の車椅子よりも一回り大きいサイズだけれど、簡単に二つ折りにしてたためるようになっている。車のトランクにも積める。もちろんタクシーでもOKだ。折りたためるから自宅の玄関にも置いても邪魔にならない。

初代WHILLを試乗したとき
そのかっこよさに憧れたなあ

初代のWHILL「Model A」を初めて体験したとき、こんなにかっこいい車椅子が「made in JAPAN」だってことが誇らしかった。最初の50台の予約はすぐに埋まったと聞いた。

「どんな方が購入されるんですか?」と思わず聞いてしまった。日本の家屋でそれを置いておくスペースがあるんだろうか?とちょっと疑問だったから。

でもWHILLはそんな心配をよそにどんどん売れた。知名度を上げていった。

WHILLの開発のきっかけは、車椅子に乗る方が杉江CEOに「車椅子に乗っているということ自体が、かっこよくない姿なんじゃないか?」「坂道、凸凹道や段差があって100m先のコンビニに行くのを諦める」という話をされたことだと、そのとき伺った。

ボクもまさしくそう思う。車椅子にはかっこよさが欲しい。それとどんな条件でも走ってくれる車椅子。そんな車椅子が欲しいと考えていた。

だからすごく共感したし一目惚れした。WHILLのファンになった。車のカタログを枕元に置いて、欲しくて欲しくてずっと眺めていた高級車のような、そんなボクの憧れの存在になった、と当時の記事にも書いた。

けれど実際ボクの家に迎え入れられるかといえば違った。

「乗れるのはお台場かなんかのエレベーターでスッと出られるマンションの方かもしれない」なんて思ったりしていた。

ボクの家には玄関から門までに10数段の階段があり、置くとしたら下のガレージか?車にも積めないならやっぱりボクには不向き、運転も自分ではままならないボクはさらに無理か?しかもあの重量感。

欲しくて欲しくていろいろシュミレーションしてみるんだけど、結局我が家にはやって来なかった。シュミレーションの条件には価格もあった。その頃のWHILLは高価だった。過去のモデル、例えば「Model A」は約100万円。

Model CやC2など、介護保険の適用になった機種も出て身近にはなった。でも購入にはまだちょっとハードルが高かった。

それが今回は26万8,000円(非課税)!WHILLがその値段で買えるのかあと驚いた。

WHILL Model Fに乗るコータリさん

新製品は前輪のタイヤと
接続部分が素晴らしい

「Model F」はWHILLの代名詞にもなっているんじゃないかと思う「オムニホイール」は使用されていなかった。その点はちょっと驚いた。

いわゆる普通のタイヤになっていた。小回りと悪路の操作性が抜群だった「オムニホイール」がなくなったわけだから、多少その点では我慢がいるのかもしれないと思いながら試乗した。でも、乗り心地はライトで、軽いなって感じる。

もちろん「Model C2」の方が重量感もあり安定感がある。だけど「Model F」も前輪のクルクル回る機能が、小回りに関してはなんの遜色もない。前輪のタイヤの絶妙な大きさとエッジのきいた回転する接続部分が素晴らしいんだろう。

段差は3.5cmまで乗り越えられるそうだ。街中を普通に走る分には問題なさそうだ。

坂道は今までのWHILL同様、いい走りである。WHILLの坂道走行は昔から抜群である。コントロールユニットもスティックから手を外せばブレーキがかかり下り坂でも怖くない。上り坂もグイグイ走る。

以前からのWHILLのコンセプトは、65歳ぐらいからのちょっと歩くのがつらいなあと感じ始めている方々のために、お出かけのアシストができたら。そんな方々の移動という側面からシニアをサポートするという考え方だ。

500mを歩くのがつらくなってきた、そんな方々のために、「ちょっとそこまで」をあきらめないでできる日常をつくるというもの。

コロナが終わったら、また旅に出たいと思っている高齢者の方々は70%にも及ぶという。

旅先でも気軽にWHILLを楽しむことができる。

飛行機に預けることもできるし、折りたたむことができるから、新幹線などで座席に座っても車椅子の置き場にもそう困らない。

今までのWHILLに比べたら身近になった感満載だ。それにレンタルで手軽に借りられる。介護保険とかも関係ない。「一週間旅の間だけ借りていこう」そんなことができるのだ。

最初は怖がっていた義母も
公園の中の散歩を楽しんだ

同居する86歳になる義父母たちは、WHILLのコンセプトにバッチリな人たちだと思っていたので義母に一緒に試乗を頼んだ。

コロナ渦の2年でめっきり外出の機会が減って、歩くのが急激に億劫になったというが、ほかに悪いところもなく元気だ。

「一駅先のデパートまでならバスがあるけれど、近くまでの買い物が一番つらい」と言う。

車の免許証はすでに返納しているが、運転には自信があったという母。車椅子や歩行器はまだまだ先の話。そう言って嫌がる。だけど、「最近歩くのが億劫だから、こんなに良い天気でもお散歩なんてしていない」のだそうだ。

義母は最初、「怖いわ」なんて言うものだから、家から公園までの道はボクの妻が乗って行った。妻はスイスイ「私もこんなマイカーがあったらいいのに」そう言っていた。

義母も公園に着いてほんの少し練習してみると、「思ったより簡単」そう言って公園の中の散歩を楽しんだ。

「たたんで収納するのはこうやるんだよ」そう説明すると、さっさと折りたたみも自分でできて移動させている。

行きは怖いと言っていたのに、帰りは家までWHILLで帰った。

Model C2のお試しのときは「ちょっと手に負えないわ」なんて言って、乗ることすらしなかった義母だけど、今回は好印象。手軽に見えるという視覚的な印象が大きいようだ。

自動運転の車椅子で
外出できる日が待ち遠しい

ボクは、WHILLのコンセプトとかけ離れている体の状態なので、まだこの最新のタイプでも使用することは難しい。

今、空港には自動運転のWHILLがあると聞いている。さまざまな行き先も自動運転で行き来できる日も近いと思っている。

そのときはボクのような介助されなければ乗れない人間でも購入できるだろう。その日を待っている。

最初にWHILLの話を聞いた8年前、スマホで操縦できたり、経路を把握できたり、自動運転の車より先に、自動運転の車椅子ができるのかもと思っていた。今もそう思っている。

早く来ないかなあ。WHILLが自動で連れて行ってくれる外の世界に行ってみたい。

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