本格的な夏を迎えてから
熱中症を警戒するようでは遅い
近頃の日本ときたら、寒いと思っていたら急に暑くなる。
過ごしやすい春を味わうこともなく、あっという間に夏が来てしまう。四季の定義さえ崩れかけているようにも思える。
ついこの前までコートが必要な日があるかと思えば、突然30℃を超える真夏日に。体が暑さに慣れていない。
本格的な夏を迎えてから、熱中症を警戒するようでは遅い。6月の時点でも熱中症に関する内容が、テレビでも放送されている。
それに、今年は新型コロナウイルスのせいでマスクの着用が欠かせないため、熱中症を発症するリスクが高いことが懸念されている。「新型コロナウイルスのせいで」と言えば、マスクのことだけではない。
特に、高齢者やコロナ禍で外出を自粛していた方、「ちょっと足腰が弱まったんじゃないないか」と心配されている方は、筋肉量も低下している可能性がある。
ボクなんて、1週間も入院していたら顕著に筋肉が弱くなっていることがわかる。硬縮だって進む。
筋肉には水分を蓄える機能があるので、筋肉量が減ると体に水分が蓄えられる量も減ると言われている。だから、自粛生活で出歩かなかった皆さまは要注意なのである。
ボクは脱水症状になりやすい
だけど水分補給は大変な作業だ
ボクは脱水症状になりやすい。夏が近づくと熱中症との闘いが始まる。
エアコンの効いた寝室にいるだけなのに、すぐに脱水症状になってしまう。だから、毎日こまめな水分補給を心がけている。「水を飲め、お茶でも良い。なんならコーヒーでも良い」「氷をなめるのはどう?」そう言われ、水分を摂らされる。
しかし、そう、飲めたものではない。「はい、もう1口。あともう一口」そう促されていやいや飲む。自分のためだが大変な作業だ。
だいたい1日で、体重1キログラムあたり40ミリリットルの水分が必要とされているらしい。体重60キロの人なら、1日2.4リットルの水分が必要。コップで11~13杯ぐらいの量だろうか。どうしても、なかなか飲めない。
もちろん味噌汁や、食事中に摂取した水分も含まれるので「1.8リットルぐらい飲んでもらえれば」と言われているが、それでもなかなか飲めない。
じっと寝ているだけでも汗をかいているらしい。まず、体に熱がこもって倦怠感がやってくる。そうなったら立派な熱中症の初期症状だ。あんなに水を飲めと促されて、注意しているにもかかわらずだ。
ボクは歩けないのだから筋肉量は減少の一途をたどる。「そうか…それで体の水分を溜めていられないんだ」といたく納得。
だから、どんどん水分を入れてあげないとだめなのですな。わかってはいるのですが、なかなか飲めない。
本当に怖い熱中症
体の状態が急変する恐れもある
熱中症が疑われる症状としては、「めまい、筋肉痛、吐き気、大量の汗、不快感、倦怠感、虚脱感、けいれん、高体温、意識障がい」などの症状がある。
呼びかけに答えられなければすぐに救急車を呼ぶ。呼びかけに答えられれば、応急処置として涼しいところに移動して衣服を緩めて体を冷やす。
水分、塩分を自力で接収できなければ医療機関へ。自力で接収できれば少し様子を見る。それでも症状が回復しなかったら医療機関を受診。回復に向かってきたら十分な休息を取って経過観察。
これらはあくまで一般的な処置方法の一例なので、臨機応変な判断が必要だ。熱中症は命の危険に関わる怖いもので、体の状態が急変する恐れもある。
ボクも、これだけ気をつけているし、日が当たる屋外にいるわけでもないのに、何度も熱中症になった。
しかも、3時間もしないうちに急変する。ぐったりして目も開けられなくなる。救急搬送されたこともあるし、家で点滴を打つことなんてしょっちゅうある。褒められたものじゃない。

だけど、ボクのように動けない人や体温調節がうまくできない人、家にこもりがちな人も家の中だからと言って安全なわけではないということを忘れず、気をつけてほしい。
屋外の場合は、いわずもがな強い日差しに当たるため、熱中症に注意すべきだ。
「暑さ指数」や「熱中症指数モニター」を活用
体温調節ができない人におすすめ
最近では、テレビの天気予報でも発表される「暑さ指数」というものがある。環境省の熱中症予防情報サイトでも、地域を入力すると「どの程度注意する必要があるか」「子どもや車椅子の人だったら(高さ50センチの指数)の指数」「駐車場は?体育館は?」など、いろんな状況での暑さ指数の実況と予測が出ている。
「暑さ指数」とは1954年にアメリカで提案された指標で、湿度、日射(輻射)など周辺の熱環境や気温を踏まえた指数とのこと。
日常生活の目安として、「温度が28度から31度の場合、すべての生活活動で起こる危険性を考えるべき」とされている。

真夏なら、28度から31度というのは近頃の日本では普通の温度である。
それに加え、運動をするとなればなおさらのことだ。「校庭で日差しを浴びておもいっきり遊びましょう」というのも過去の話で、指数計とにらめっこをして安全に留意する。
この数年は、「体育館なら日差しがないから、思いっきり運動しましょう」というのもNGである。屋外同様、体育館にも危険が潜んでいる。
学校では「熱中症指数モニター」を、熱中症対策に活用している。「熱中症指数モニター」は、家庭用にも2,000円台から数万円のものまで、いろいろな種類が売られている。1人暮らしだったり、ボクのようにすぐに体温調節ができない人の家には、ひとつあってもいいかもしれない。
ヘルパーさんが持って歩いて、体温と一緒に部屋の指数を測ってあげるのは良い考えだと思う。
義父はエアコン嫌いで、部屋の温度は高め。「ほら、お父さん、危険なレベルですよ」なんて目で見てわかればエアコンもつけるだろう。
さらに工事現場や工場の中で働く人用に開発された、暑熱ストレス監視システム「ロブセンス」が注目を集めている。東北大学と共同で開発を進めてきた商品で、耳たぶの温度を測って気温や湿度と合わせて解析する装置だ。工事現場や工場の監督官に異常を知らせる。今年のデジタル技術見本市「CES」にも出展。海外ではスポーツ選手の体調管理にも注目されているという。

熱中症の恐ろしさが世間一般に周知されてきた。それでも「家にいれば安全そうだ」と思っている方も少なくない。水分と塩分の摂取をお忘れなく。