ゆいまーるビーチフェス2023に行ってきた

10月7日に沖縄のオリオンECO美らSUNビーチで行われた、障がい者&高齢者、サポーターの学生やボランティアスタッフ、マリンスタッフが一緒に作り上げるビーチフェスだ。

主催はゆいまーる実行委員会。実行委員長は世界一周車椅子トラベラーの三代達也さんだ。

三代君とは6年ぐらい前に国際福祉機器展で出会った。それから家が近所だったこともあって、よく三代君のレジデンスにお邪魔してご飯を食べるようになった。さらに「焼肉を食べに行こう会」を結成して、暇を見つけては近所の焼肉屋に出かける関係だ。そこで、これからの三代君の展望を聞くのが楽しみだった。

三代君は、18歳の時にバイクの事故で脊髄を損傷してしまい両手足に麻痺が残ってしまった。全く動かないわけではないらしいが、18歳以前の体と比べたら全然違う人生が始まったわけだ。

その後東京で一人暮らしを始め23歳で初一人海外旅行。28歳で会社を辞めて世界一周単独旅行を決行。普段は車を自分で運転し、車椅子を後ろ座席にぐいっと投げ入れて出発する。移乗も麻痺のある手を器用に使ってグイッと乗り移る。「階段だって、いざとなったら車椅子なしで登るよ」と体力も気力も半端ない。そんな彼は2021年から沖縄糸満市に移住していた。

あと、車椅子乗りとして一緒に食事の場所を選んでいた時、「ここ段差が2段ぐらいある」と分かりどうするか悩んでいると「電話で聞いてみて頼んでみましょう、きっとお願いすれば大丈夫ですよ」と、今までボクの行動で制約ばっかりだった店選びがちょっと明るくなった。三代くんに出会って変わった点だ。

「車椅子で色々大変だし、もちろん迷惑をかけることもあるけど、とりあえずやってみる、聞いてみる」と言う。

そうだよなあ、やる前から諦めてる場合じゃない。きっとやってみればできることの方が多い。だいたいボクには車椅子に乗っている知人や障がいを持った知人が少なかった。そういうところを見て見ぬふりして進んできたのかもしれない。

三代君の周りにはとびきり行動的で魅力的な車椅子乗りの若者がたくさんいた。それを取り囲む友人や企業の方など、本当にいっぱいの方々が楽しい時を過ごしていた。

今回の副実行委員の牧野美保さんとも何回かご一緒したことがあった。大阪を拠点に活動されているチャーミングで賢い印象の方。見ていると彼女の働きもこのイベントではかなり大きな役割を果たしていて、いなくてはならない人なんだなあと感じた。そして彼女は細かいことにもよく気がつく。アクシデントにも嫌な顔もせず対応していた。

200人をくだらない人数のイベント「ゆいまーるビーチフェス」を成功させるために動いているスタッフたちは、これから沖縄のユニバーサルデザインを背負って立つ方なんだろうなあ。さらにはここを拠点として日本中にこういう活動が増えていったらいいのになあっと感じた。まだまだ始まったばかりの取り組みだけど、これが突破口になって成長していけばいいなあと本当に感じた。神足さん提供写真

バナナボートも楽しんだ

さてさて、ボクのゆいまーるビーチフェス参加の報告をしよう。

ゆいまーるビーチフェスのパンフレットでも謳っていたけど、高齢者もご一緒しようというフェスだ。今回はボクの仲間であり、高齢者と言うには元気すぎる3人のアクティブシニアと一緒に参加した。このイベントにスケジュールを合わせてくれて沖縄まで付き合ってくれた。

10時30分、実行委員長と副委員の朝の挨拶で開会式が無事終わり、みんなで記念撮影。沖縄の児童福祉施設のお子さん方やそのスタッフの皆さん、琉球大学障がい学生支援室、沖縄リハビリテーション福祉学院、琉球リハビリテーション学院、陽明高校、沖縄県水産高校、脳フェス実行委員会、バリアフリーネットワーク会議、ジェイ旅行サービスなどからたくさんのスタッフ、ボランティアの方がいらしていた。

沖縄でいつも活動されている車椅子のみなさんはグループに分かれて効率よく動かれていたようだった。たまたまビーチの屋根付きのあずまやでご一緒した児童福祉施設の子どもたちもボクたちの仲間の高齢者チーム同様まったり気持ちのいい時を過ごし、挨拶をしてくれてお話ししたり楽しいひとときだった。こういう出会いもこのフェスのいいところだ。

ボクはバナナボートを体験させていただいた。牧野美保さんが「神足さんの時間この時間になったからお声かけに行こうと思ってたんですよ」と優しい配慮。こんな一言が本当に嬉しい。スタッフの優しい一言が楽しさを倍増させる。聞いてもつっけんどんな返事だったら嫌だもんね。

また、過去の別のイベントで出会った看護師の方や他にもボクの顔を覚えていてくれて声をかけてくれた方もいた。嬉しいものだ。こんな遠くの地で声をかけてくれてありがとう。一人で参加しているという車椅子の青年とも話した。こんな機会は滅多にない。

そしていよいよ車椅子から海用の車椅子へ。そこから海上のバナナボートへ移る。全く動けないボクを移動させるだけでも大変だろう。バナナボートではボク一人のために5人もの人がついてくれて乗り込む。総勢15人以上がボクのために動いてくれて、やっとバナナボートは出発する。神足さん提供写真

海の中をスイスイ進む。普通に過ごしていたらこんな体験はできない。このフェスの意義を大いに感じる。

ボクが生きている間に、こんな体験はあとどのぐらいできるんだろうか?最後かもしれないなあと思いつつ海の上を進む。本当にいい思い出をありがとう。三代君誘ってくれてありがとう、となんだか感動してしまった。神足さん提供写真

一緒に参加した高齢者たちはアクティビティに積極的に参加するわけではなかったが、なんだかボクの撮影をかってくれてこの原稿のためにたくさんの写真を撮ってくれた。優秀なカメラマンが3人もついてくれてバナナボートの写真も3方向からばっちり。防波堤の突端から遠くまで走るボートを取ってくれる人、動画を回す専門、360度カメラで撮影してくれる人。楽しそうに動き回ってくれてお誘いしたボクにとっても一安心。

動画撮影:入江眞知子

フェスでは、バナナボートのほかにもボッチャや、モルックなど色々な体験ができた。閉会式にはエイサーの披露もあって、ビーチにいた一般のお客さんも指笛で盛り上げていてくれた。

夕方のビーチで気持ちがよく、沖縄に来てるんだなあと感じる。最後に予定されていたBBQにはアクシデントで参加できなかったが、ボランティアやスタッフの皆さんのおかげで本当に有意義な1日を過ごすことができた。

沖縄の旅はまだ途中。今回はアクティブに過ごしている。前回の沖縄の旅の反省点を踏まえて、電動車椅子を用意したことが坂道が多い沖縄では役立った。だが、電動は砂浜では逆に使いにくく悩むところ。今回のフェスにきていた車椅子の若者たちは皆自分でスイスイ走り回っていたが、ああいうのに憧れるなあ。まあ、ボクは自力走行は無理なのでちょっと違うんだけど。

アクティブに動くボクのような人間の介助用、是非是非なんか考えたいと遊ぶたびに思う。神足さん提供写真