いいね!を押すと最新の介護ニュースを毎日お届け

施設数No.1老人ホーム検索サイト

入居相談センター(無料)9:00〜19:00年中無休
0120-370-915
宇佐美典也の質問箱

質問 Q.99 厚生労働省が管轄する「年金」「医療」「介護」の3つのうち、財政的に一番ヤバイのはどれなんでしょう?(ツェル・会社員)

厚生労働省が管轄する「年金」「医療」「介護」の3つのうち、財政的に一番ヤバイのはどれなんでしょう?その理由と、ヤバくない状態にするためには、どうすれば(どうなれば)良いと思いますか?

「医療≒介護>>>>>>>年金」。どの社会保険もヤバイことに変わりはありませんが

財政的なヤバさは「医療≒介護>>>>>>>年金」といったところです。逆に言えば年金の財務基盤が介護保険や健康保険に比べて強いということです。

それぞれの社会保険は各年度のキャッシュフローの安定化や将来の支出に備える目的で「積立金」や「準備金」や「財政安定化基金」という名目の基金の財布を持っています。年金に関してはこの積立金が基本的には全国規模で政府により運用されており、144.8兆円と巨大で仮に政府の財政が危機に陥って国からの補助金が減ったとしても、即座に破綻、ということにはなりづらい構造にあります。

他方でこの基金の財政が、介護保険は都道府県規模、健康保険は組織(もしくは組織団体)規模で運用され、より小ぶりになっています。介護保険では「財政安定化基金」という名称で運用されていますが、東京都でも基金規模が34億円と非常に小さく、年度を超えた将来への備えとしての性格はありません。また健康保険に関しては最大手の全国健康保険協会の2015年度決算によると給付額の1.9ヶ月分に相当する1.3兆円の準備金を確保しているものの、これも年度を超えた将来への備えとしての性格はありません。

このように介護保険や健康保険は基本的には年度単位の事業として設計されているため、将来に備えた基金というものが存在せず、政府の財政が危機に陥った場合1~2ヶ月後には財源が不足して危機に陥る構造になっています。他方で年金は元々が長期的な積立・支払いを前提とした制度になっているため、例え政府が財政危機に陥っても即座に財源が足りなくなるような構造にはなっていません。ただ、だからと言って将来のために積み立てたお金を先に使ってしまうと、当然にして我々の世代が困ってしまうことになるわけで、これも別に本質的には「お金に余裕がある」というわけではありません。

そんなわけで、実際どの社会保険も「財政的にヤバい」というのが本当のところで、これを解決する方針も未だ全く見通したがたっていません。あえて自分で対策を取るとしたら民間の介護保険や健康保険に今のうちから加入して、自己負担の増加に備えておくようにしてことをお勧めします。