Q.48 人材不足にあえぐ介護業界を救う“抜本的な解決策”はありませんか?(朝に弱い・介護職員)
介護職員が人材不足にあえいでいます。その抜本的な解決策について、宇佐美さんはどのようなことがあると考えられますか?その策を2~3個、その理由も伺えれば幸いです。
外国人を介護職に…など解決策はあります。ただし、それを実行できる政治力が介護業界にないことが問題ですね
介護職員の人材不足に対する「抜本的な」解決とのことですので、実現可能性を多少無視した考察をしてみたいと思います。
現在、介護職員の主力は20~50代のいわゆる「現役層」です。こうした世代の介護職員を増やすアプローチはすでに手を替え品を替え尽くしてきたところで、今後何か手を打ったところで抜本的に状況が変化することはあまり期待できません。そこで考えるべきは、これまでリーチしていなかった層へのアプローチのあり方です。具体的には「60代以上の高齢層」や「アジアの外国人職員」といった層に日本の介護業界への就労を促すための方法を考えなければなりません。
すでに60代以上の高齢者層の介護職への参加は進んできているところですが、これを加速するには身体的な労務負担の軽減が必要で、ロボット技術の現場への導入が不可欠ということになります。ただしロボットは高額ですから、放っておいては導入が進みません。なのでロボット導入に対して大規模な補助を政府が行うことが必要になってきます。
日本の省エネルギー技術は世界一と言われますが、その背景には石油石炭税等を財源とした豊富な省エネ補助金と厳しいエネルギー規制がありました。規制と補助金を組み合わせるアプローチは介護業界にも有効だと思いますが、問題はどこから税金を取るか、ということになりそうです。ある意味の非健康産業であるタバコなどが真っ先に思い当たるところですが、実際に目的税を導入するとなると簡単には行かないかもしれません。
他方で、「アジアの外国人職員」にアプローチするための方策ですが、これは育成から含めて投資する方策が考えられます。例えば特定のアジア諸国における日本語教育と介護教育に政府として大規模な投資をして、受け入れを促進するようなアプローチが考えられます。フィリピンなどは海外就労者を国として後押ししている側面もあり、こうした国々の貧困地域などで教育投資と人材確保を並行して進むようなアプローチは両者にとってwin-winとなるでしょう。
…と偉そうにいろいろ考えてみましたが、結果として凡庸な結論になってしまったような気がします。解決策自体は既に考えられているものの、それを実行できる政治力が介護業界にないことの方が問題なのかもしれませんね。