Q.43 国は借金だらけなのに国家公務員の給料は上がるのに納得いきません。介護報酬が引き下げになって、介護職員の給料は上がらないのに…。(やいの・介護職員)
介護報酬が引き下げになって、介護職員の給料は上がる見込みもありません。会社としての収入が減るわけですから仕方ない…とは割り切れません。なぜなら、借金まみれの日本という会社の社員とも言える公務員の給料は上がっているからです。どうしてこんないびつなことになってしまうのでしょうか?その理由を教えて欲しいです。
公務員は長い年月をかけて、政治的に簡単に給料を下げられないような手段を構築してきたからです
「日本政府は借金まみれにもかかわらず公務員の給料はあがっているのに、介護職員のオレの給料が上がる見込みがないのはひどいじゃないか」というご主張をされているのだと思います。お気持ちはわかります。
なんでこんなことになっているのかというと、公務員の皆さんは労働組合を組織し、また他の労働組合とも連携して、例えば自分たちの給料が下がりそうになると政治家や政党と連携して国会に訴えたり、デモをしたり、昔であれば強引にストライキを決行して抗議をしたり、自分たちの権利を政治に対して訴える手段を持ち、かつしばしばそれを行使してきました。その結果、長年かけて公務員の給料を時勢に応じて大きく下げることが、政治的に簡単にできないような制度が作られました。
以下、参考までに国家公務員給与に関する平成27年8月28日の衆議院における有村大臣(当時)の答弁ですが、国家公務員給与については政府の財政とは関係なく、あくまで「官民給与比較」によって決められています。
【有村国務大臣】国家公務員給与については、人事院において民間企業の給与を精緻に調査し官民比較を行った上で勧告が行われております。この官民給与比較においては、官民の給与の単純に平均をしたものを比較するのではなくて、民間企業において、公務と類似した職種について、主な給与決定要素とされている役職の段階、それから、どこで勤めるか、勤務地域、年齢、学歴を同じくする者同士の給与を比較してどうかということの考察がなされていると理解をいたしております。
人事院勧告で示された民間給与の平均額というのは、第三者機関としての人事院が判断した調査、比較方法に基づいて適切に算出されたものであり、大臣としては妥当な方法だと認識をしております。
一方で、介護職員の方々は全国で200万人近くいるとされているのに、一向に組織化が図られておらず、政治に対する影響力が皆無です。その結果、介護職員の給料に大きく影響する介護報酬の水準は時々の財政事情に応じて政治家や官僚の一存で決めることができるような仕組みになっています。そのため財政が苦しくなったらすぐに政治的に介護報酬をあげることができなくなってしまいます。
公務員の給料が短期的な財政事情に左右されない特定の数式に基づいて決められることになっているのと対照的ですね。そんなわけでみなさんも団結して、票を確保して、業界としてお抱えの政治家の一人や二人囲って育て上げることから始めましょう。そうすれば少しは状況が変わるはずです。