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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.190 日本の労働人口不足に対する”外国人労働者”受け入れについて、政府はどのように考えているのでしょうか(ボッサノヴァ・経営者)

私は農業に従事しているのですが、一次産業全体にも共通する事柄として(あるいは、現在から将来への日本の産業全体)「人手不足」の問題があります。高度人財等特定分野やワーホリでの就労許可等の一定の解放は見受けられますが、先進国就労希望者が敬遠する一次産業や介護分野に関しては、もはや従来の制度では限界があるように思われます。介護に特定した質問ではありませんが、このような問題に対して政府の考えはどのようなものなのだろう?といったところを質問させていただきます。

移民受け入れは多くの省庁がせめぎ合いがありながらも、徐々に前向きな方向で進められている

難しい質問ですが、まず、外国人労働者受け入れに関する制度的な話から入りたいと思います。法務省によれば、2015年時点で日本には223万2,189人の在留外外国人がいます。人口比1.76%ということで、日本の住人の60人に1人程度はすでに外国人なのですね。

そして、そのうち公式に就労しているのは108.4万人ですが、内訳は

  • 就労目的で在留が認められる者(専門人材など)が約20.1万人
  • 身分に基づき在留する者(永住者など)が約41.3万人
  • 技能実習生が約21.1万人
  • 特定活動(ワーキングホリデーやEPAに基づく外国人看護師など)が約1.9万人
  • 資格外活動(留学生のアルバイト等)が約24.0万人

となっています。

政府は原則として単純労働者の移民を認めていないために、就労許可が出るのは先進国を中心とした専門人材です。他方、現実には企業から東南アジアを中心とする発展途上国の労働力を求める声があるので、それに応えるため技能実習制度が活用されており、在留資格を持つ労働層が専門人材と技能実習生に二極化しているという現状です。

技能実習制度は「日本で技術を学び、その技術を本国で展開する」ということが建前となっているのですが、実際には技能実習生を単に安価な労働力として劣悪な労働環境で都合良く使う企業が多く、強い批判の対象になってきました。そのため近年は、制度の建前に活動を合わせるよう、厚生労働省から企業に強い圧力がかかっています。2016年には介護に関しても技能実習制度が拡張されましたが、あくまで将来の発展途上国への技術・ノウハウ展開を前提としたものになっています。

と、前置きが長くなりましたが、私としては日本の移民受け入れ政策の「原則としては専門的人材に限り、単純労働力については技能実習制度+αの範囲内でのみ認める」という方針は間違っていないと感じています。異なる文化圏からの大規模・無制限な移民が社会を分断させるということはヨーロッパで既に実証済みです。

とはいえ今後、日本で労働力が不足していくことは事実ですから、外国人労働力によってその不足の一部(あくまで一部ですが)を補う必要があります。そのためには移民を希望する外国人に対して時間をかけて日本社会への適応を促して、また日本社会も受け入れ態勢を整え、社会の分断を招かないようにすることがお互いのために求められます。

そうなると、やはり留学制度との連携を密にしていく必要があるでしょう。このことは、少子化が進んで生徒が減少する大学の経営にとっても重要なことです。そのため、外国人労働力の受け入れは密接に日本の大学の国際化の問題と関係してきます。

このように移民受け入れ政策は、企業の要望でこれを促進したい経産省と、秩序を重んじる法務省と、大学経営の今後を考える文科省と、労働環境の整備を重視する厚労省など、多くの省庁がせめぎ合いがありながらも強いニーズの下、徐々に前向きな方向で進められているという構図があります。

ただ以前にも書いたことがありますが、労働力不足を移民によって埋めようという政策は大きな問題を生むので、あくまでイノベーションによる労働生産性の向上で問題を解決することを目指し、それでも足りない部分を移民に期待する、というように考えることが重要でしょう。

介護にあてはめれば、日本が介護のイノベーションの中心となれば、海外から日本に介護を学びに来る学生が自然と増え、技能実習制度を通じて労働力としても活用され、一部は専門人材として日本に残り、一部は本国に帰って介護産業の発展に寄与する、ということになるのだと思います。

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