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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.184 東京都が高齢化対策に充てる予算がすごい額です。お金のない地方はその地域にマッチしたやり方を推進していけば良いのでしょうか?(パーマ・会社員)

今年度の東京都の予算。さすがお金持ち都市なんですが、高齢化対策のこのやり方というか、やることというか、地方は真似出来ませんよね。一方で、どの地域にも適用できる”正攻法”のようなものもないのかなと思うので、それぞれの地域がそれぞれのやり方で対策していけば良いのでしょうかね。

空き施設利用などで東京都と遜色ない事業を実現できます

おっしゃる通りと思います。

それに結論から言えば、東京都の高齢化対策予算(2018年度は831億円)が大きいからといって、サービスの内容が充実しているとは限りません。

特に不動産に関しては、単純に東京都は地方都市よりも賃料・建設費とも相当高くつきますし、また、オフィス需要が豊富で既存の施設のリノベーション等による施設整備も難しいという事情もあります。さらに人手不足が顕著で物価も高いので、人件費も高くつきます。

そのような中、絶対的な高齢者数の増加が顕著で施設増強に迫られている状況です。そう考えると、東京都は追い詰められているとも捉えられ、確かに資金が充実してはいますが、だからと言って必ずしもそれ相応の充実したサービスが提供できるとは限りません。

他方、地方都市では近年規制緩和もあり、廃校や廃寮を介護施設に転用する事例が増えていますが、このようなことは都会では困難ですから(入札でデベロッパーに買われてしまう)、こうした空き施設利用とPFI(Private Finance Inisiative)といった手法を連携させることで、地方都市でも実質的に東京都と遜色ない事業を実現できる環境は整っています。

また、介護職員の待遇にしても、物価や家賃を考えると同じ人件費でも実質的な可処分所得は地方都市の方がずっと高くなるため、人員が確保しやすいという事情もあります。要は東京都と地方都市の条件は大きく違い、頭と足の使いようで資金力の差はカバーできなくはない、ということなのだと思います。

とはいえ、手元資金がある東京都の方が問題解決に向けたアプローチがシンプルなのは間違いありません。その差をカバーするためには、地方自治体職員や地方の政治家にはそれ相応の優秀な人材が求められることになるわけですが、現実には地方自治体ごとにレベルの差があることは否めず、このままでは今後、地方間の格差は拡大していくことになるのかもしれません。

特に、地方政治家は新陳代謝のスパンが長く、利権化しやすいことが指摘されていますから、こうした地方政治家の世代交代を促し、なおかつ都会に出た優秀な若者が地方に帰ってくるような道筋を、政治全体として考えるべき時期が来ているのかもしれません。