Q.163 厚労省が裁量労働制調査の問題で荒れていますが、こういう問題に対して私たちはどう納得すれば良いんですかね?(NIKU・会社員)
こういう問題があると、その周辺の人たちが取り組んでいることに対する信用がどんどんなくなって、何を信じたら良いのかわからなくなってしまいます。あんまり関係がないのかもわからないですけど、働き方改革と言っている人たちが一番働いているのではないかと思っていて、説得力もありません。”厚労省はブラック企業だ”と言われてもしょうがないのかなとも。
今回のような問題が起きた時は「もう厚労省は限界。解体すべき」と言ってあげてください。
確信を持って言いますが、厚労省は霞が関で最も病んだ組織です。
それは、職員の性根が腐っているとか、不正がはびこっているとか、そのような意味ではありません。むしろ、あれほど忙しく課題が山積みの組織をまだ諦めずに立て直そうとしているのですから、厚生労働省の中枢の職員はどの省庁よりも社会貢献への意識が高く、高潔だと思います。
他方で、そのような人の「頑張り」や「志」ではとても手に負えないほど、厚生労働省は負のサイクルに入ってしまっています。
具体的には以下のような問題が挙げられます。
- あまりにも所管分野が広すぎて、 組織としての統一したビジョンを持てなくなっている
- 日々起こる目の前の問題の対症療法に追われて、 組織としての長期戦略が立てられない
- 現実を直視できない厚生族の議員は、得てして社会保障分野の立て直しに現実離れしたトリッキーな手法を採用しようとするため、政治家との軋轢が絶えない
こうした状況で、職員は疲弊しきっているわけですが、組織全体に「社会保障を通じて弱い人を助けるために頑張ろう」という無形の圧力がかかっており、それが大量の残業(サービス残業含む)を生むことになり、厚生労働省自体が「やりがい搾取のブラック企業」と化してしまっています。
その意味では、最も働き方改革が必要なのは厚労省であるにもかかわらず、目の前の問題に対応するのに必死でそれができず、むしろ無理を重ねて今回のようにミスが出てしまう、という状況なのだと思います。
私は厚労省の官僚にも、もちろん知り合いがいますが、彼らは口を揃えて「この省は忙しすぎて先のことが考えられない」と言います。このような環境は、働く側にとっても、またそのサービスを受ける国民にとっても好ましくありません。それでも今後も同様の問題は起き続けるでしょう。
私の結論としては「厚労省は解体するしかない」というように思っています。あまりにも一つの省に巨大な予算と権限がまとまった結果、自らすらコントロールできなくなっているのが厚生労働省です。
厚生労働省の予算は実質的に政府予算の60%近くに上っています。その責任を省庁再編と民営化によって分散して分かち合うようにしなければ、問題は解決できないでしょう。
だから、今回のような問題が起きた時は「もう厚労省は限界。解体すべき」と言ってあげてください。