Q.122 老老介護をする世帯の増加は超高齢社会において避けられないと思うのですが、それに向けた解決策はあるのでしょうか?(なぽり・無職)
高齢化が進むたび、老老介護をする世帯が増えそうですが、介護をする側も高齢では体力が持たなくなります。老老介護に悩む家族を救う手立てはないものでしょうか?
長期的に「特養」を増やしていくしか、抜本的な対策はないと思います
老老介護の問題を解決するには、特別養護老人ホーム、いわゆる「特養」を増やす以外に抜本的な解決策はないと思います。認認介護も同様です。
老老介護が発生するメカニズムは基本的には単純で、「高齢者で構成された世帯(夫婦や親子)の構成員が要介護認定されたものの、特養の空きがなく、また民間の老人ホームは高価であるがため、いずれにも入居ができず、仕方なく特養の待機をしつつ在宅介護で対応する」というものだと思います。
このように、原因が特養不足であることは明らかなのですから、特養を増やすしか抜本的な対策はないのですが、特に都心部では地価と工事費高騰により用地確保、予算確保がともに困難で、特養をこれ以上作ることが困難になっているという現状があります。
こうした実情を踏まえると、老老介護への対策は、当座の問題に対応するための短期的な対策と、根本的な原因を解決するための長期的な対策の両方を考えていかなければなりません。まず短期的な対策については、在宅介護のサポート体制の充実ということになり、現在「地域包括支援センター」の機能強化が国によって叫ばれているのは、みなさんご存知のところだと思います。
ただ地域包括支援は介護者の負担を和らげることには繋がりますが、この仕組みに期待しすぎると、逆にコミュニティ全体の負担が増すことになるので限度があります。そう考えると、やはり本命は長期的に特養を増やしていくということになるのでしょう。
ここまで書いてきて思うのは、「世の中のニーズに比して、介護に対する予算の割り当てが貧弱なのではないか」ということでして、個人的には、やはり社会保障予算に関しては大幅な改革が必要だと思います。そのためにも、やはり皆さんには業界としてより力を持っていただく必要があり、綺麗事を言わずに団結して年金や医療から予算をぶんどってくるくらいの覚悟での政治活動が必要なのではないでしょうか。
2019年10月には消費税率が2%上がることになります。それに備えて、長期的課題への対策を進めるための予算を介護に回してもらうよう政治家に働きかける、などといった活動も本来業界として必要なのだと思いますが、そうした体制が整っていないところに介護業界の問題を感じます。