Q.102 社会保障の制度として見習うべきは、どの国がベストなのでしょうか?(モッチー・会社員)
社会保障が議題になるとき、多くは北欧のモデルと日本のモデルが比較されがちです。制度として見習うべきはどの国がベストなのでしょうか?その内容を軽くでも教えてください。
モデルとする国はありません、日本は日本でやっていくしかない。心配ならば民間の保険に入るなりで備えを
日本がモデルとする国はありません。なので日本は日本の道を歩むしかありません。
一般に社会保障は長期の国家的事業になるため、途中で大きな制度変更をすることが難しい制度です。年金で言えば40年近く保険料を払ってそのあとに給付を受ける制度ですから、例えば受給者に不利になるような大きな制度変更を政府が実行したら、年金を20年〜30年払い続けた国民が「そんな話は聞いてないよ」と強烈に反発するのは火を見るより明らかですからね。
そして我々は2000年代前半にリアルにそれを経験しましたよね。そんなわけで、社会保障制度の見直しは、制度設計時の設計が非常に重要で、それをあとから少しずつ修正するようなアプローチしかできないわけです。
この点、北欧モデルは始めから「小国(1000万人以下)、地方分権、高負担、高福祉」を前提に作られたモデルですから、そもそも「大国(1億人以上)、中央集権、低負担、中福祉」を出発点にしてなんとか「中負担、中福祉」に持って行こうとしている日本に適応しようというのは無理があります。また、日本は少子高齢化という意味においては世界最先端を走っているので、似た環境にある国もありません。
そんなわけで、幸か不幸か日本は日本でやっていくしかないわけです。今のところ日本政府は、長期的なインフレと低金利を通じて現在の「中負担、中福祉」をスレスレ維持しながら財政上の問題(巨大な将来債務)を解決しようとしていますが、果たしてこれがうまくいくかどうかは分かりません…。
失敗すればババを引いて社会保障の急速な収縮で「中負担、低福祉」を体験するのは我々の世代ですので、心配ならば民間の保険に入るなりで備えをしておくことをお勧めします。