「周辺業務」をロボットが担う時代へ。株式会社Enacticが全国80以上のパートナーと挑む、人材不足解消への最短ルート

人手不足という喫緊の課題に対し、テクノロジーはいかにして介護現場の「質」を守り、進化させるのか。

株式会社Enacticが発表した、全国80法人以上との大規模なパートナーシップ締結は、日本発のヒューマノイドロボットが実用化フェーズへと大きく踏み出したことを象徴しています。

この歴史的なMOU締結の背景と、開発中である人型介護助手ロボット「Ena(イーナ)」が描く未来とは?
同社の代表取締役CEOである山本泰豊氏への独占インタビューを添えてご紹介します。

介護の未来を拓く「80法人」との共創:周辺業務のロボット化を加速

2040年代、日本の高齢化率は30%台後半に突入し、現役世代は2割減少すると予測されています。
社会保障制度の持続可能性と介護従事者の確保が最重要課題となる中、期待されているのがテクノロジーによる生産性向上です。

そんな中、株式会社Enacticは、学研ココファン、セントケア、さわやか倶楽部、チャーム・ケア・コーポレーション、HITOWAといった大手民間企業から、善光会、元気村グループなどの社会福祉法人まで、全国80以上の介護事業者と「人型介護助手ロボット」の開発協力に関するMOUを締結しました。

人型介護助手ロボット「Ena」は、スタッフが「利用者ケア」などの人にしかできない専門業務に専念できる環境づくりを目指しています。
 

人型介護助手ロボット「Ena(イーナ)」とは?

Enaは、介護現場の「周辺業務」を担い、職員の負担軽減を目指して開発されている人型ロボットです。

・主な役割:配膳・下膳、洗濯、清掃、備品補充といった日常的なサポートから、夜間巡視や安否確認などの見守りまで、多岐にわたる付随業務を遂行します。

・導入の意義:ロボットが周辺業務を肩代わりすることで、介護スタッフが身体介助や利用者との対話など、「人にしかできない本質的なケア」に専念できる環境を創出します。

・開発状況:2026年夏の実証テスト開始に向け、現在は遠隔操作による洗濯や下膳などの実用性検証が進められており、将来的な自動化も視野に入れています。

遠隔操作による作業の様子

パートナー介護事業者一覧(50音順・一部掲載)

社会福祉法人あすか福祉会

株式会社ASCare

有限会社アートライフ

株式会社アール・ケア

社会福祉法人一燈会

イツモスマイル株式会社

ウェルコンサル株式会社

株式会社ウェルフューチャー

株式会社ウェルフューチャーホールディングス

株式会社HSM

株式会社笑顔いちばん

株式会社EMIKA

社会福祉法人おきなわ共生会

株式会社学研ココファン

株式会社きららホールディングス

株式会社グッドライフケア東京

社会福祉法人桑の実園福祉会

株式会社ケア・ステーション

株式会社CareNation

株式会社ケアライン

社会福祉法人敬愛園

社会福祉法人慶生会

株式会社元気な介護

社会福祉法人元気村

社会福祉法人弘正会

社会福祉法人光美会

社会福祉法人弘陵福祉会

社会福祉法人神戸海星会

株式会社ココロココ

コスモスケア株式会社

社会福祉法人ことの海会

株式会社小俣組

医療法人桜十字

有限会社さざなみ

社会福祉法人ささゆり会

社会福祉法人佐与福祉会

株式会社さわやか倶楽部

社会福祉法人さわら福祉会

株式会社サンガジャパン

社会福祉法人しあわせの郷

静岡鉄道株式会社

社会福祉法人シルヴァーウィング

新愛商事株式会社

医療法人青峰会

社会福祉法人善光会

セントケア千葉株式会社

セントケア東京株式会社

セントケア・ホールディング株式会社

株式会社セービング

有限会社たちばな

株式会社チャーム・ケア・コーポレーション

社会福祉法人長寿の里

社会福祉法人長寿村

株式会社ツインキールズ

社会福祉法人天光会

医療法人社団ときわ会

株式会社ドットライン

株式会社達富

有限会社菜花

株式会社日本介護医療センター

株式会社HITOWA

ヒューマンライフケア株式会社

株式会社ピースフリーケアグループ

株式会社フリーウォーク

株式会社ブレストケア

株式会社フロンティアの介護

社会福祉法人平元会

ベストリハ株式会社

株式会社ホームコム

三井ヘルスサービス株式会社

社会福祉法人未来クリエイト

株式会社ユーミーケア

株式会社リエイ

株式会社リビングプラットフォーム

株式会社リビングプラットフォームケア

株式会社リールステージ

【独自取材】山本代表の特別インタビュー

「みんなの介護」では、今回の発表にあわせ、株式会社Enacticの山本泰豊代表へ特別インタビューを実施しました。
最先端のアカデミアから介護の現場へ、その情熱の源泉に迫ります。

Q1.世界トップクラスの技術を研究されてきた山本代表が、あえて「日本の介護現場」という非常に難易度の高い社会課題をフィールドに選んだのはなぜでしょうか。

山本代表: 日本は、世界の中でも最も早く高齢化に直面している国です。だからこそ私は、この課題に日本発のロボットで向き合うことに大きな意義があると考えています。

実際に多くの介護施設を訪問して学ばせていただく中で、介護職員の方々が限られた人数で本当に多くの業務を担っている現実を強く感じてきました。介護職員とロボットが協調することで、単なる業務効率化ではなく、介護の質を守りながら未来の介護をつくっていくことに大きな意義があると考えています。

Q2.短期間で80法人もの賛同を得られた理由は、どこにあるとお考えでしょうか?

山本代表: 現場の声を何より大切にしてきたからだと思います。完成した製品を一方的に提案するのではなく、メンバー全員で施設を訪問し、現場を見て、困りごとや不安を伺いながら、現場に本当に合う形を一緒に考えてきました。

私たちが提示している価値は、特定の一業務だけを効率化することではなく、人型ロボットの特性を活かして周辺業務を支え、将来的に対応できる業務範囲を少しずつ広げていけることです。現場ごとに異なる業務に寄り添いながら、介護現場全体の負担軽減につなげていけることが、私たちの新しい価値だと考えています。
 

【プロフィール紹介】代表取締役 CEO 山本 泰豊(ひろと)氏

国立研究開発法人 産業技術総合研究所にて、脳とコンピュータをつなぐBCI技術の研究開発に従事。米国スタンフォード大学でコンピュータサイエンスを専攻。休学後、株式会社レアゾン・ホールディングスのヒューマンインタラクション研究所に参画し、エイジテックおよびAIロボティクス領域のプロダクト開発と事業立ち上げを主導。2025年7月、同研究所からスピンアウトする形で株式会社Enacticを設立。施設スタッフの声と現場実証を起点に、現場で本当に役立つロボットづくりに取り組む。


 

 介護施設との共同開発プロセスについて

  1. 介護施設との具体的な取り組みは以下のとおり。

    1.現場へのヒアリング:施設スタッフへのインタビューを通じ、清掃・洗濯・備品補充といった日常業務の流れや、特に負担の大きい作業を特定する。
    2.現地での環境確認:エンジニアが施設を訪問し、通路幅、段差、収納位置、重量計測などの設備環境を精密に調査・分析する。
    3.開発への反映:調査で得られた現場の知見を、ロボットの設計や機能開発にダイレクトに反映させていく。

介護事業者の募集について

Enacticは現在も、共創パートナーとなる介護事業者を募っています。
プロジェクトへの賛同や具体的な機能要望、開発経過の共有を希望する事業者は、公式サイトの専用ページより申し込みが可能です。

次世代型介護に関心のある事業者の皆さんは、ぜひお問い合わせください。

・詳細はこちら https://care.enactic.ai/collaboration/