風呂付き居室がある施設特集
介護施設での自力の入浴は、お風呂が共用の場合、時間帯別に個別で入浴するか、グループごとに入る場合がほとんど。時間や他の入居者を気にすることなく自由に入浴したい方の場合、風呂付き居室かどうかは暮らしの満足度に大きく関わってきます。
そこで、ここでは風呂付き居室を用意している介護施設をご紹介。入浴介助を受けるにあたっては、浴室の広さが充分にあるかどうかなどの条件も出てきますので、希望される場合は入居時にしっかりと確認をするようにしましょう。
高齢者は入浴事故に注意!安全な入浴ができる老人ホームの条件とは?
「老人ホームでは食事と入浴が楽しみ」というお話を聞くほど、入浴に喜びを感じている方がたくさんいるようです。入浴は体を清潔にすると同時に、体を芯から温めるために効果的。温熱効果によって冷えや筋肉のコリをとり、神経痛や筋肉痛、リウマチの痛みが軽減される入浴は、日本人にとって大事な生活習慣のひとつなのです。
老人ホームに入居しても、1日1回はお風呂に入りたい、好きな時間にゆっくりお風呂に浸かりたいと考える方は少なくないと思います。そんな高齢者にお勧めするのが、居室にお風呂のついた老人ホーム。個室のお風呂では、ほかの入居者の動向を気にせず、好きな時間にゆったりと入浴できます。共同の浴室を利用する場合は入浴できる時間帯が限られてしまうため、老人ホームで好きな時間に好きなだけお風呂を楽しむことはなかなか難しいのです。
ただし、そこで気をつけたいのが、高齢者に多くみられる入浴中の事故。消費者庁の発表した「家庭の浴槽での溺死者数の推移」でによると、2004年では2,870件であったのに対し、2015年度では4,804件と、約1.7倍にもなっています。高齢者人口の増加とともに、入浴中の溺死事故も増える傾向にあるのです。
また、同資料に「家庭の浴槽における溺死者数」のデータがありますが、溺死者数の約9割が65歳以上の高齢者となっており、とくに75歳~84歳までの高齢者が突出して多くなっています。入浴中の事故は冬季に多く、年間の5割の死亡事故が12月から2月にかけて発生しています。寒い時期、温かいお風呂が心地良い季節ではありますが、思わぬ入浴トラブルには注意しなければなりません。湯温は41℃以下を心がけ、長湯をしないように10分程度でお風呂からあがりましょう。
室温の急激な変化による血圧の変動を防ぐため、脱衣所にストーブを設置し、浴室と同じくらいの温かさにしておく必要があります。お風呂のお湯も熱すぎると心臓に負担をかけてしまい、のぼせによる意識障害が溺死の原因になることもあるため、充分に注意して入浴したいですね。
そして、安全な入浴ができる老人ホームの条件ですが、まずは浴室に緊急ブザーが設置されているかどうか。入浴中に気分が悪くなったり、転倒してしまったとき、緊急ブザーを押せば職員がすぐに対応してくれます。入浴事故は高齢者が1人で入浴している間に起きることが多いので、入浴中にすぐに外部と連絡がとれる準備があれば安心です。ほかにも、お風呂と脱衣所の間に段差はないか、手すりが浴室内にきちんと設置されてあるかどうかも要チェックです。
老人ホームでのお風呂の回数には決まりがある!?
有料老人ホームの場合、自分で入浴できる方は毎日お風呂に入れる施設も。ただ、入浴に介護が必要な方の場合は「週に2回」または「週に3回」と入浴回数が決まっています。重要事項説明書に入浴の回数が記載されていますので、入居前に良く確認しておきましょう。週2回の老人ホームが多いようですが、入浴に力を入れている老人ホームの場合、週に3回入浴できるケースも増えています。
「毎日お風呂に入りたい」と希望される方は多くいますが、全員を毎日お風呂に入れるためには職員を新たに雇用する必要が生じ、そのコストが利用料金に反映させなければいけないという現実があるようです。
いつでもお風呂に入れる自立状態にある方も、老人ホームによっては入浴できる時間帯や曜日などが決まっている場合もあるため、事前に入浴できる時間帯を確認しておくと良いでしょう。また、入居の契約前には必ず見学を行い、入浴設備を含めてしっかりと確認をしておきましょう。見学時にチェックしたい点をまとめると、以下のようになります。
- お風呂の種類や広さ
- 衛生的かどうか
- 滑り止めマットや手すりの設置
老人ホームのお風呂といっても、銭湯のような複数人で一度に入れるような大浴場もあれば、家庭用のお風呂のような個浴、機械で自動的に利用者を入浴させることができる機械浴などさまざまです。自立している方なら大浴場や個浴でも構いませんが、入浴介助が必要な場合は機械浴やリフト浴などの設備が必要です。入居前にお風呂の設備についてしっかり質問しておきましょう。
お風呂は体の汚れを落とし、衛生状態を良く保つ場所であるため、浴室や浴槽が汚なければ本来の役目を果たすことができません。入居前の見学では、浴室や浴槽の掃除状況をよく確認し、カビや汚れのないきれいな施設かどうかをチェックしましょう。
また、脱衣所の広さや滑り止めマットレス、手すりの有無なども要注意。脱衣所が狭かったり脱衣所に荷物が山積みになっていると、万が一のときに転倒事故を起こしやすくなります。
高齢者にとっての入浴は、健康維持にとっても大切
「健康維持のためにしていること」についてアンケート(複数回答可)を行ったところ、「食事の栄養バランスに気をつける」「規則正しい生活を心がける」という回答が多くみられますが、これらの回答以外にも「入浴を心がける」という方が42.8%います。多くの高齢者が支持するように、入浴には健康維持のための秘密があるのです。
お風呂に入ると温熱作用によって血管が広がり、血行が促進。体のすみずみにまで酸素や栄養分が行き渡ります。また、血行が促進されることで体内に溜まった老廃物が汗とともに体外へ排出され、気持ちもリフレッシュ。もちろん肌の汚れもきれいに洗い流して衛生的に過ごすことができ、感染症や床ずれの予防にもなります。
さらに、温かいお湯に浸かることで筋肉痛やリウマチの痛みが緩和され、関節も動かしやすくなるマッサージ効果も期待できます。このように、入浴にはさまざまなメリットがあるため、高齢者の健康維持には特に人気。多くの方が健康維持にために「入浴を心がける」と回答するのも納得できますね。