理美容室サービスありの施設特集
介護施設の理美容室で出張サービス!高齢者にはアンチエイジング的な効果も
介護施設の中には「理美容室あり」「出張サービスあり」と謳っているところもあります。年齢を重ねたとしても、特に女性はいつだってキレイで美しくいたいと願うものですし、キレイに仕上げてもらうと心が晴れやかになり、生きる歓びにもつながるもの。理美容によって心の老化を防ぐ効果もあるとも言われています。だからこその理美容室であり、出張サービス。介護保険の適用外ではありますが、お住まいの市町村によっては契約の業者を選べば助成金が出ることもあるので、ここでご紹介する施設で、ぜひ訪問理美容をご利用になってはいかがでしょうか。
定期的な理美容が心理的な安定につながることも
高齢者の数が年々増加しており、今や4人に1人が65歳以上の高齢者となっています。高齢者のなかには老人ホームへ入所している方もいますし、自宅で介護ケアを受けながら生活されている方も。自由に外出できないことで、それまでできていたことが制限される場合も多々あります。そのひとつが理容室・美容院の利用でしょう。
自分の足で自由に美容室にかようことができれば、好きなときにカットやパーマ、カラーリングを楽しむことができます。ところが、老人ホームへの入所や要介護状態になることで外出が制限されると、出張理美容サービスを利用しなければ髪の手入れをすることができません。自分の髪を自身で切ることもできますが、やはり髪はプロの手で仕上げてもらいたいですよね。
「いつまでもキレイで美しくいたい」そんな高齢者のニーズを満たすものが訪問理美容サービスです。この訪問理美容サービスは、理美容師が個宅や老人ホームに出張し、サービスを提供するもの。プロに技で髪を染め、きれいに髪をカットしてもらうと生まれ変わったような気持ちになりますね。とくに髪を染めることはその人の「見た目の印象」を大きく変えます。理美容にはアンチエイジングの効果が高く「キレイで美しく」と願う高齢者の心をも満たしてくれるのです。
高齢者の心を満たしてくれる美容ですが、この言葉の意味にはカットやパーマなどで髪型をととのえるだけではなく、化粧や服装など自分自身を美しく見せること全般がふくまれています。化粧をしてお洒落な服を着て外にでることは、高齢者にとって心理的に大きなメリットがあります。丁寧に化粧をして洋服を選ぶこと、それ自体が喜びであり満足感を与えてくれますし、きれいになった自分の姿に自信をもち、外出することも楽しみになります。
化粧をすることで化粧に関する記憶を呼びおこし、自分の人生を評価して納得、肯定することができます。化粧には「回想法」と同じような効果が期待できることがわかっているため、高齢者に化粧をほどこし自分自身を肯定してもらう「化粧療法」も介護の現場でおこなわれています。
介護職員が高齢者へ丁寧に化粧をおこなうことが、高齢者の心を癒すメリットも。「私に対してこんなに丁寧に接してくれている、うれしい」と、自己肯定感をアップさせることにつながります。化粧によって高齢者と家族、高齢者と介護職員の信頼関係や絆が深まり、心理的安定やコミュニケーションの向上などさまざまなメリットが得られます。
ターミナル期にさしかかった高齢者に対しても、化粧療法は効果があると考えられます。きれいに化粧をしてもらうことで自己肯定感が満たされ、気持ちも落ち着きます。また「きれいな姿で最期のときを迎えたい」「苦しんだ姿を家族に見せたくない」という本人の気持ちから化粧をほどこすことも、訪問理美容サービスの大きな役割です。
このように理美容サービスには高齢者のQOLを向上させるという効果があります。そんな訪問理美容サービス普及のために、訪問理美容業者に助成金を支給している自治体も。また利用者に対しても「訪問理美容サービス券」と呼ばれるクーポンを支給しているケースもあります。自由に外出できない要介護者にとってはとてもありがたいサービスなのです。
老人ホームで利用するのは訪問理美容。一般の美容室との違いは?
高齢になると老人ホームへの入居により自由に外出できなくなることもあります。自宅にいても足腰が弱り自由に動けなくなると、気軽に美容室に出かけることもできません。自由に外に出られなくなっても「髪を切ってさっぱりしたい」「髪をきれいにカラーリングしたい」「眉毛の手入れをしてほしい」そう思うのは自然なこと。そんな高齢者の願いを叶えるのが、介護施設や個宅への出張理美容サービスです。
介護施設のなかには理美容サービスが受けられる専用の部屋がもうけられており、部屋のなかには鏡と椅子、シャンプー台などが設置されています。けれど専用の理美容室で理美容サービスが受けられる老人ホームの数は、やはり現実的には限られます。老人ホームのなかには専用の理美容室をもっていないケースも珍しくはありません。それでも個室や共有の部屋があれば、老人ホームでも理美容サービスの利用が可能です。
一般美容室の美容師が出張でサービスをおこなう場合もありますし、訪問理美容サービスに特化した店舗もあります。訪問型理美容サービスの店舗で働くスタッフは、美容師免許はもちろん、ヘルパー2級以上の介護関連の資格をもっていることも。訪問理美容サービスはただ「髪をカットすればいい」というものではなく、利用者をベッドから車いすへ移乗させる場面もあります。美容師は車いすの扱いにも慣れていなければなりません。美容師としてのスキルだけではなく利用者の安全を守るため、介護関連の知識と技術を身につけることも重要なのですね。
訪問型理美容サービスでは、さまざまなシチュエーションでサービスを提供しなければなりません。設備の整っていない老人ホームや個宅での理美容サービスには、ハサミやドライヤー、シェーバー、ヘアカラー、シャンプー、リンスなどの道具はもちろん、床にちらかった髪を集める掃除用具やビニールシート、鏡、ポータブルシャンプー台を持参する業者も。ポータブルシャンプー台はお湯をあらかじめ内部タンクに十分ためておきます。シャンプー台がないと手洗い場で髪を洗うことになるので、専用の洗い場があるのは好ましいと言えます。女性の好むアロマをディフューザーで部屋に漂わせ、リラックス効果を狙うサービスもあります。
訪問理美容サービスで利用するシャンプーやリンスも、美容師専用の高級な商品をつかう業者もあれば、ドラッグストアで買える安い商品を使用する方もいるのも現実です。美容師の技術レベルや接客マナー、キャリアもまちまちなので、なかには利用者とトラブルになる業者も。良質なサービスを提供してくれる業者を選ぶ目が必要ですね。
60代女性の2人に1人は2か月に1回以上も美容室を利用。老人ホームでもニーズは高い!?
株式会社リクルートライフスタイルがまとめた[美容室]年間利用回数のグラフをご覧ください。
60代以上の女性の美容室の利用頻度ですが、6~11回が36.6%、そして12回以上が14.4%と合わせて50%を超えています。60代以上の女性の2人に1人が2か月に1回以上美容室を利用していることがわかります。60代女性は若い世代よりも美容室に通う頻度が高いことから「年齢が高くなるほど自分自身の美に意識が向く、外見を気にする」と言えますね。これは高齢女性だけではなく高齢男性にも同様の傾向が。「高齢になると美容に興味をなくすのではないか?」「高齢者に美容は必要ない」と考えるのは間違いなのです。
1回(6.1%) | |
2~3回(16.8%) | |
4~5回(26.1%) | |
6~11回(36.6%) | |
12回以上(14.4%) |
年をとっても人間の心のなかには「いつまでもキレイでいたい」という気持ちがあります。みずから化粧をする、髪をととのえる、お洒落な洋服を選ぶことはそれ自体が心地よく、高齢者の心を満たしてくれます。きれいになった姿を見ることで自信がつきますし、他者から「きれいですね」と言われればますますうれしいものです。
要介護になる原因のひとつに「廃用症候群」があげられますが、外出することなく自宅に引きこもるようになると体力や筋力が低下し、それが要介護状態につながる可能性が。お洒落な洋服に身をつつみきれいにお化粧をすれば気持ちも盛りあがり「外にでてみたい」という前向きな気持ちになれます。気持ちが明るくなることで外出の頻度が増え、廃用症候群にならずにすむかもしれません。
ターミナル期の高齢者にとっても訪問理美容サービスはQOLの向上や自己肯定感の充足、回想療法として効果、精神的な落ちつきをもたらします。今後高齢化がさらにすすむ日本で、訪問理美容サービスは多くの方に求められていくでしょう。