Q.55 育児休暇を取ることさえままならないのに、介護休業など本当に取れると、国は思っているのでしょうか?(AMAN(会社員))
「介護離職ゼロ」を掲げたり、介護休業の取得を推めたり…と、介護に対する理解があるように動いていますが、それって本音で言っているのでしょうか?私には、小手先だけのような気がしてなりません。「介護休暇」について、社会がどのような風土になれば取りやすくなると、宇佐美さんは考えますか?
「国が制度を作った」のだから、あとは「個人が使えばいい」だけの話なのだと思いますが
まずとても大事なことですが、政府の政策だけでは社会は変わりません。
政府にできることは「社会が望ましい方向に変化するように制度を見直す」ことまでで、その制度を利用するかどうかは完全に民間企業、ひいては個々人の問題です。例えばあなたは「育児休暇を取ることすらままならない」とおっしゃいますが、育児休暇を取るための制度はあるのですから育児休暇を取ればいいのです。
仮に育児休暇を取らせない会社があるとしたらそれは法律違反ですから、労基署に駆け込めばいいだけの話です。介護休暇に関しても同じことです「国が制度を作った」のだから、あとは「個人が使えばいい」だけの話なのだと思います。
もしかして「そうは言っても長期休暇を取ると周りに迷惑がかかって白い目で見られる」「将来の出世の目が絶たれる」とおっしゃるかもしれませんが、それならそれで育児休業なり介護休業なりを取得して、その間に転職活動をして理解のある他の会社に移ってしまえばいいのです。
多くの人がそうすればするほど育児休業・介護休業に理解がある会社の求心力・競争力がどんどん高まって、世の中が少しづつ変化していくことになるでしょう。「そんなに身勝手なことできない」とおっしゃるかもしれませんが、その身勝手を国は国民に対して望んでいるからこのような制度を作ったわけです。
そんなわけで、会社の周りの目を気にせずに自分にとって必要だと思ったことをもっと多くの日本人が実践をするようになれば「介護休暇」が取りやすい社会ができるのだと思います。所詮、会社の同僚のほとんどは「会社」というしがらみを抜いてしまえば赤の他人ですし、会社自身も必ずしも自分を守ってくれる存在というわけではなく利害関係でつながっているだけの組織です。もちろん責任を持って仕事をすることは重要ですが、日本人は「会社」という組織にあまりにも義理立てしすぎているのではないかと思います。