Q.21 官僚の皆さんは、どの程度「天下り」を意識しているのでしょうか?(ジャスミン・会社員)
「官僚=天下り」というような先入観があるのですが、あながち間違ってはいないとも思います。官僚の方ももちろん頭の片隅にはあると思いますが、やはり、基本的には「定年まで勤めあげて、あとは天下りして…」なんていう意識が、若い頃からあるものなのでしょうか?
意識する人としない人…二分されますが、優秀な人ほど「天下り」というレッテルを貼り付けられるのを嫌がりますね
まず前提として皆さんに知っておいて欲しいのですが、国家公務員は転職活動を規制されていて、失業保険もありません。それに、もし転職活動の自由を認めた場合は、課長クラスにもなれば多くの企業とつながりを持っているので、関係企業や団体との癒着が今よりもっと横行すると思います。
天下りの議論をするときは、憲法上認められている権利の制限と、官僚が置かれている現実の生活や予測される行動パターンとのバランスを考える必要があると思います。
質問に答えるとするならば…、今の時代、喜んで天下りをするような人はいません。優秀な人ほど「天下り」というレッテルを貼り付けられるのがイヤで、自らが生きる道を自分で切り拓く、というところがあります。
一方で、早い人で40代後半から50歳くらい、ある日突然呼び出されて退官を告げられる人もいます。いわゆる“肩叩き”ですね。そうした肩叩きにあった人も悪いことをしたわけではないので、日本の労働法制だといきなり解雇することは難しいです。だから居座ろうと思えば居座ることはできます。ただ、居座ると窓際部署に行かされ、その後は、さらに何も仕事がない部署へ行かされて、辞めるまで“干される”んです。
すべての天下りがダメとなると、このように、高齢になっても組織の中に居座り続ける人が増えるでしょう。それも、優秀ではななく、「ほどほどの人」ほど残ると思います。すると、新陳代謝が進まず、組織が硬直化して時代の変化についていけなくなってしまいます。これで最終的に不幸になるのは国民の皆さんだと思いませんか?