Q.103 最近、経産省や文科省の官僚から内部告発的なことが相次いでいますが、彼らの真意はどこにあると思いますか?(社会人3年目・介護職員)
こうした内紛(?)によって政治が良くなるなら願ったり叶ったりなんですが、とすれば、厚労省からも同様なことが起こって、介護業界に一隻が投じられればいいのに…とゲスな願いを抱いてしまったりします。
“政治主導”の行政への反発…でしょうか。それで世の中が変わるとも思えないのですが
安倍政権下で政治主導の流れが強まっていく中で、官僚も今までの仕事の進め方が通じなくなり、複雑な思いを抱えているのだと思います。2012年に第二次安倍政権が誕生してからの大きな変化として、2014年に「内閣人事局」が設置され各省庁の幹部人事に官邸が積極的に関与するようになった、というものがあります。
それまでは各省庁の幹部人事は、原則として省庁内で担当大臣と省庁幹部が協議して決めるものでした。人事というのは組織の要ですから、人事が独立していることで各省庁は政治・政局から一定の距離をおいて独立して政策を考えることができました。こうした構造は長らく「省あって、国なし」「官僚主導の政治で改革が進まない」などと揶揄されてきたわけですが、一方で長期的な政策が時の政治家の意思に大きく左右されず制度が安定する、という利点もあったわけです。
ただ、安倍政権になって各省庁の幹部人事が官邸主導で決まるようになると、これまで省庁内で完結していた慣例人事や予定人事が次々と覆されるようになり、「組織の中の評価」よりも「官邸での評価」が高い官僚が出世するようになりました。
安倍政権はこうして各省庁の人事をコントロールする力を得たことで自らのビジョンに基づく「政治主導」の行政を実現しつつあります。現在の各省庁の職員は良くも悪くも古い「官僚主導」の構造になれ親しんでいたわけですから、一部の官僚はこうした官邸の姿勢を「行政を歪めている」と受け止めて反発し、内部告発まがいのことをしているのだと思います。
私としては、今の日本は完全に行き詰まっており、もはや官僚が従来の延長線上の行政を続けても明るい未来は待っているとはとても思えません。したがって結果が「吉」と出ようが「凶」と出ようが、政治家による「改革」に日本の未来を預けるしかない状況だと考えています。
なので、前述したような一部官僚の気持ちはわかるものの、内部告発まがいの行動をしたところで世の中が変わるわけでもなく、はっきり言って「行政を混乱させて時計の針を戻そうとするのはやめてほしい」と思っています。日本は民主主義なのですから、選挙によって選ばれた政治家に未来を預けてみるしかないのではないでしょうか。