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第48回

身なりが整うと外出意欲もアップ!認知症予防とQOL向上に「おしゃれ」が有効

最終更新日時 2020/11/06
#介護予防 #介護保険サービス

こんにちは。ケアマネジャーの小川風子です。

高齢になったときや体にハンデを抱えたときに、多くの方があきらめてしまうのが「おしゃれをする」ことです。今回は「要介護の方でもできるおしゃれの方法」についてお話していきます。

おしゃれをあきらめることが悩みや外出控えにつながる

私が高齢の方と仕事でかかわっていて感心するのが、ほとんどの方が「おしゃれで家がきれい」ということです。ここで言うおしゃれで家がきれいというのは、きちんとした格好をして家の中もきちんと整理されているという意味。もちろん全員ではないですが、そのような方が多いです。

プチプラ(プチプライスの略)や100円ショップのない時代に生活されていたころの名残か、良いものを長く着たり使っている方がとても多くて、「すてきだなあ」と思うことがたくさんあります。しかしながら、体の状態が変わり、おしゃれをあきらめてしまう方がとても多いです。

その結果、楽な格好をしている自分を「だらしない」と思ってしまい悩んだり、外に出る機会が減ることもあります。もしできることなら、どんな状態でもおしゃれはしていきたいですよね。今回はそんな方法についてお話していきます。

おしゃれをあきらめてしまう高齢者

「今まで通りでいたい」という本人の気持ちを尊重しよう

まず、筆者はケアマネジャーとしてかかわる要介護者の方は高齢者がほとんどです。利用者の方の転倒が増えたり下肢筋力が低下したりすると、筆者は「杖を使いましょう」「介護保険を利用して歩行器を借りましょう」などと提案します。しかし提案すると本人からは、高確率で「年寄りくさい」「恥ずかしい」と断られます。

「恥ずかしいから」と福祉用具を拒否

すると、家族が利用者に怒るのです。

「もうそんな歳なんだから、恥ずかしいとか言ってる場合じゃないでしょ」

転倒を心配したり、福祉用具の必要性を理解して説得したい気持ちの表れなので、家族がそう言いたくなる気持ちもわかります。ですがこれでは本人も納得できるはずはありません。納得できないまま福祉用具をそろえたとしても、本人が使用しなければ意味がありません。

体の状態が変わっていったり、転倒に対する不安は本人が一番感じています。まずは「おしゃれや身なりはきちんとして今まで通りでいたい」という気持ちを尊重しましょう。歩行器や杖などは、利用者の方が「ださい」「恥ずかしい」という理由で拒否されることがありますので、メーカーさんもおしゃれなものをたくさん開発しています。

見つける方法としては、介護保険対応のパンフレットをもらって探すのも良いですし、一本杖やシルバーカーなど介護保険外のものであれば、今はネットで検索するとおしゃれなものが出てきます。杖に抵抗がある方は、足が疲れたり痛くなってしまったときのために、カバンに入るサイズの折りたたみ杖を持ち歩くのも良いでしょう。

要介護の方にお奨めしたい服

"要介護の方"と言っても、いろんな方がいます。一人で着替えができる方や一部介助が必要な方、全介助が必要な方の中でも座れる方と寝たまま着替えをする方など。介護者の方のことを考えると、おしゃれより着脱のしやすさが優先になってしまうのは仕方がないと思います。でもそれなら、着脱がしやすい形でおしゃれな服を探せば良いですよね。介護度の重度に分けて、説明したいと思います。

半身麻痺の方にはポロシャツがお奨め

半身の方の更衣をするときの大原則は、「脱ぐときは健側(動く方)から、着るときは麻痺側から」ということ。つまり、一部介助が必要な方や全介助の方の場合だと、前開きの服が一番着脱しやすいというわけです。

しかし1人で服を着る場合は、前開きだとボタンを留めるのが大変な場合もあります。男性の方だと、お出かけのときは「きっちりとしたシャツを着て、スラックスにベルトのスタイルが良い」という方が少なくありません。そういった方に、「楽だから」という理由でジャージを奨めても抵抗がありますし、無理に外出を勧めても外に出るのが嫌になってしまう可能性があります。

この場合、きっちりとした印象のあるポロシャツだと、首元が広い分着脱もしやすいですし、留めるボタンの数も少ないです。「それでもカッターシャツが着たい」と言う方であれば、片手でボタンがとめられる自助具も使うと良いでしょう。

スラックスにベルトでいたいという場合は、ストレッチ素材のスラックスや片手で簡単に外せるベルトやゴムベルトを使うと、身なりはきちんとして見えますし、かつお手洗いに行きやすいです。感覚としては女性の方が選択肢は多く、ゆったりしたデザインや襟ぐりが開いているのでおしゃれをするのも簡単です。

介護度が重い方にはポンチョを

介護度の重い方や臥床(がしょう:ベッドなどに寝ている状態のこと)している時間の長い方の場合、どのようなおしゃれをすれば良いのでしょうか。

介護のしやすさだけで選ぶなら、病院で貸し出しているような前開きの病衣が一番です。でも、それはおしゃれではないですよね。介護する側の便宜性だけを追求した服装だと思います。介護度が重いと、どうしても一日中パジャマやスウェットで過ごしがちですが、できれば起床後は服に着替えて、就寝時にパジャマのようなリラックスできる服に着替えてほしいです。

ただ、車椅子に座る時間が長い方ですと、お腹のしめつけがきつい服は避けたほうが良いです。また、臥床時間が長いのであれば、しわの寄りやすい服や固い素材だと褥瘡(じょくそう)ができてしまうことも考えなければならないため、普段着る服も楽な素材になりがちです。その場合はポンチョやベスト、ストールなどでおしゃれなものを羽織ると、見た目も華やかですし気分も変わります。介護で邪魔になったときは簡単に着脱できるので取り入れてみましょう。

身だしなみを整えると気持ちも前向きに

もっとも簡単にできるおしゃれは身だしなみです。女性であれば、ネイルやお化粧、髪を結ってもらうなどで気分は変わりますし、男性でも無精ひげをきれいに剃ってもらうだけで喜ばれる方は多いです。

デイサービスの催しでネイルやお化粧を行うことが多いのですが、本当に皆さん喜ばれます。メイクオフする手間はかかりますが、拭くだけで化粧を落とせるメイクオフシートもありますし、こういうことはまめにすると良いと個人的に思っています。

要介護状態になるとおしゃれをするのも億劫になるし、「こんなことをしてる場合なのかな」と思ってしまう人もいるでしょう。しかし、自分の気分が上がる格好をすれば、外に出て人に見てもらいたいと思うもの。できることからで良いし、家にあるものを利用して良いので、「おしゃれしたいな」と思ったらその気持ちを尊重し、対応できるようにしていきたいですね。

簡単な身だしなみでも喜んでくれる

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