訪問介護・デイサービス併設の施設特集
訪問介護・デイサービス併設タイプで介護スタッフが身近にいる安心を

バリアフリーなど高齢者にとって住みやすい環境と安否確認サービス・生活相談サービスのみを提供する「サービス付き高齢者住宅」や、介護サービスは外部サービスを利用することになる「住宅型有料老人ホーム」などには、入居者が介護サービスを利用しやすいように訪問介護やデイサービスを併設する施設があります。住宅内に介護スタッフが待機しているため安心して介護サービスを利用し毎日を過ごせる、訪問介護・デイサービス併設型の施設をここではご紹介します。
訪問介護・デイサービスを併設している老人ホームの特徴は
最近の住宅型有料老人ホームや介護付き高齢者向け住宅では、訪問介護やデイサービス併設対応が増えています。住宅型有料老人ホームや介護付き高齢者向け住宅の入居者は、要支援・要介護認定されている場合に施設に併設された事業所、または外部の居宅サービスを利用することができます。居宅サービスとは訪問介護やデイサービス、訪問看護などのことです。
それでは、訪問介護・デイサービス併設タイプの老人ホームで提供されているサービスはどのようなものなのでしょうか。訪問介護では食事・入浴・排泄・着替え・移動・外出・体位変換の介助、入居者の体を拭いて清潔にする清拭、薬を飲ませる介助(服薬介助)などがあります。ほかにも部屋の清掃や洗濯などの家事援助サービスも。
デイサービスではレクリエーション活動や機能訓練が実施されます。レクリエーション活動では指先を使う手芸やぬり絵、貼り絵、絵手紙作成などが行われ、施設に庭があれば家庭菜園をつくり園芸療法も楽しめます。施設によっては足浴やフットケア、マッサージ、メイクアップセラピー、アロマセラピーなど、認知症の予防や症状緩和にも役立つリハビリをメニューに組みこんだ施設もあり、利用者が飽きないような工夫がされています。訪問介護・デイサービス併設タイプの老人ホームは、つねに介護スタッフがそばにいて見守りをしてくれることがメリットであり安心感につながっています。
以下の表は厚生労働省がまとめた平成25年と平成26年の居宅サービス事業所数です。平成25年と平成26年を比較してみると、訪問介護は1,150か所(3.5%)増、訪問看護ステーションは750か所(10.5%)増、通所介護(デイサービス)は3,533か所(9.3%)増、通所リハビリ(デイケア)は237か所(3.4%)増と、居宅サービス事業所は軒並み増加しています。この流れは今後も継続するとみられ、今後は居宅サービスが主流になっていくと予想されます。
平成25年 | 平成26年 | 増減数(増減率) | |
---|---|---|---|
訪問介護 | 32,761 | 33,911 | 1,150(3.5%) |
訪問入浴介護 | 2,344 | 2,262 | -82(-3.5%) |
訪問看護ステーション | 7,153 | 7,903 | 750(10.5%) |
通所介護 | 38,127 | 41,660 | 3,533(9.3%) |
通所リハビリテーション | 7,047 | 7,284 | 237(3.4%) |
短期入所生活介護 | 9,445 | 10,251 | 806(8.5%) |
短期入所療養介護 | 5,377 | 5,382 | 5(0.1%) |
特定施設入居者生活介護 | 4,197 | 4,452 | 255(6.1%) |
福祉用具貸与 | 7,864 | 7,961 | 97(1.2%) |
特定福祉用具販売 | 7,902 | 8,018 | 116(1.5%) |
住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅では居宅サービスを利用するのが一般的
有料老人ホームのなかでも、デイサービスや訪問介護は住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅での利用に限られる、介護付き有料老人ホームでは使えないことになっています。これはどうしてでしょうか?
介護付き有料老人ホームでは、介護保険で利用できる介護サービスをすべて施設内で利用することが法律で決められています。介護保険上のきまりがあるため、介護付き有料老人ホームの入居者がデイサービスや訪問介護などの外部サービスを利用することができないのです。
ところが、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の入居者は外部サービスの利用が可能となっています。もし老人ホームに入居後にデイサービスを利用したい場合はケアマネージャーと相談のうえ、ケアプランにデイサービスを入れてもらいましょう。そうすることで外部サービスを利用することができます。最近は老人ホーム内にデイサービスや訪問介護が併設されている施設も増えていますので、わざわざ車などで移動しなくても気軽に外部サービスを利用することができます。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、入居者が自分の好みや体の状態によってさまざまなケアプランを自由に組み立ててもらえるのが魅力です。ただし自由度の高い老人ホームにも注意したい点があります。介護付き有料老人ホームの場合、利用料に介護保険1割負担額が含まれているため、毎月の総支払額が把握しやすいのですが、それ以外の住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では毎月の家賃・食費・共益費・寝具リース代・管理費と、介護保険負担額(時間外介護サービス費なども含む)とが分離されており、金額が把握しにくくなっています。
入居時に必要な費用をしっかり説明する業者もいますが、費用面で不安なことがあれば早めに相談しておくとあとでトラブルにならずにすみます。
介護度別に決められている在宅介護サービスの上限額に注意!
要支援や要介護になると利用できる介護サービスですが、毎月好きなだけサービスが利用できるわけではありません。介護度別に利用額の上限がさだめられています。
東京都の場合、要支援1の方の1か月の支給額は49,700円、要支援2では104,000円、要介護1では165,800円、要介護2では194,800円、要介護3では267,500円、要介護4では306,000円、要介護5では358,300円となっています。利用者の介護度が重くなればなるほど、介護保険の支給額上限があがっていきます。支給限度額を超える介護サービスを受けた場合、超過した分は利用者の全額自己負担となります。
ここでは在宅介護の自己負担額の表を掲示しています。訪問介護にかかる費用は「身体介護が中心」なのか「生活援助が中心」なのかで負担額も変わってきます。また利用した時間によっても介護費用が変わります。
たとえば食事・入浴・排泄介助などの身体介助が中心であった場合、1時間以上の利用であれば564単位と決まっています。1単位が10円の地域では5,640円の介護サービスが提供されたことになります。利用者の負担は1割なので、利用者は564円を訪問介護事業者に支払います。訪問介護サービスを月に15回利用したなら、15回×564円なので8,190円が利用者の負担額になります。
通所介護(デイサービス)に関しても費用の決まりがあります。通う施設が小規模型通所介護なのか通常規模型通所介護なのか、施設によって費用に差があります。また要介護ごと、そして利用した時間ごとに費用が異なります。たとえば、小規模型通所介護に要介護1の利用者が7時間以上9時間未満利用した場合は、735単位、1単位を10円とすると7,350円となります。本人の自己負担額は1割なので735円です。もし月に25回利用した場合、利用者本人の自己負担額はその1割である18,375円となるはずです。
ところがこの場合、要介護1で利用できる介護保険の上限は165,800円と決まっているため、デイサービスを25日利用すると183,750円となり上限額をオーバーします。差額の17,950円は全額自己負担となります。この方の場合は介護保険の1割負担額16,580円と超過分の17,950円の34,530円が自己負担額と計算されます。自己負担額を減らすためには、ケアマネと相談のうえ、利用限度額以内におさまるようなケアプランを作成してもらう必要があります。
2015年度版/在宅介護の自己負担額
<訪問介護費>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | ||
---|---|---|---|
身体介護が中心である場合 | 20分未満の場合 | 1,650 | 165 |
20分以上30分未満の場合 | 2,450 | 245 | |
30分以上1時間未満の場合 | 3,880 | 388 | |
1時間以上の場合 | 5,640 | 564 | |
生活援助が中心である場合 | 20分以上45分未満の場合 | 1,830 | 183 |
45分以上の場合 | 2,250 | 225 | |
通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合 | 970 | 97 |
<訪問入浴介護費 >
かかる費用(円)*1単位10円の 地域の場合 |
単位 | |
---|---|---|
入浴 | 12,340 | 1234 |
<訪問看護費>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | |
---|---|---|
指定訪問看護ステーションの場合 | ||
20分未満の場合 | 3,100 | 310 |
30分未満の場合 | 4,630 | 463 |
30分以上1時間未満の場合 | 8,140 | 814 |
1時間以上1時間30分未満の場合 | 11,170 | 1117 |
病院又は診療所の場合 | ||
20分未満の場合 | 2,620 | 262 |
30分未満の場合 | 3,920 | 392 |
30分以上1時間未満の場合 | 5,670 | 567 |
1時間以上1時間30分未満の場合 | 8,350 | 835 |
<訪問リハビリテーション費>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | |
---|---|---|
3,020 | 302 |
<通所介護(デイサービス)費>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | ||
---|---|---|---|
小規模型通所介護費 | |||
3時間以上5時間未満の場合 | 要介護1 | 4,260 | 426 |
要介護2 | 4,880 | 488 | |
要介護3 | 5,520 | 552 | |
要介護4 | 6,140 | 614 | |
要介護5 | 6,780 | 678 | |
5時間以上7時間未満の場合 | 要介護1 | 6,410 | 641 |
要介護2 | 7,570 | 757 | |
要介護3 | 8,740 | 874 | |
要介護4 | 9,900 | 990 | |
要介護5 | 11,070 | 1107 | |
7時間以上9時間未満の場合 | 要介護1 | 7,350 | 735 |
要介護2 | 8,680 | 868 | |
要介護3 | 10,060 | 1006 | |
要介護4 | 11,440 | 1144 | |
要介護5 | 12,810 | 1281 | |
通常規模型通所介護費 | |||
3時間以上5時間未満の場合 | 要介護1 | 3,800 | 380 |
要介護2 | 4,360 | 436 | |
要介護3 | 4,930 | 493 | |
要介護4 | 5,480 | 548 | |
要介護5 | 6,050 | 605 | |
5時間以上7時間未満の場合 | 要介護1 | 5,720 | 572 |
要介護2 | 6,760 | 676 | |
要介護3 | 7,800 | 780 | |
要介護4 | 8,840 | 884 | |
要介護5 | 9,880 | 988 | |
7時間以上9時間未満の場合 | 要介護1 | 6,560 | 656 |
要介護2 | 7,750 | 775 | |
要介護3 | 8,980 | 898 | |
要介護4 | 10,210 | 1021 | |
要介護5 | 11,440 | 1144 |
<通所リハビリテーション(デイケア)>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | ||
---|---|---|---|
通常規模型リハビリテーション費 | |||
1時間以上2時間未満の場合 | 要介護1 | 3,290 | 329 |
要介護2 | 3,580 | 358 | |
要介護3 | 3,880 | 388 | |
要介護4 | 4,170 | 417 | |
要介護5 | 4,480 | 448 | |
2時間以上3時間未満の場合 | 要介護1 | 3,430 | 343 |
要介護2 | 3,980 | 398 | |
要介護3 | 4,550 | 455 | |
要介護4 | 5,100 | 510 | |
要介護5 | 5,660 | 566 | |
3時間以上4時間未満の場合 | 要介護1 | 4,440 | 444 |
要介護2 | 5,200 | 520 | |
要介護3 | 5,960 | 596 | |
要介護4 | 6,730 | 673 | |
要介護5 | 7,490 | 749 | |
4時間以上6時間未満の場合 | 要介護1 | 5,590 | 559 |
要介護2 | 6,660 | 666 | |
要介護3 | 7,720 | 772 | |
要介護4 | 8,780 | 878 | |
要介護5 | 9,840 | 984 | |
6時間以上8時間未満の場合 | 要介護1 | 7,260 | 726 |
要介護2 | 8,750 | 875 | |
要介護3 | 10,220 | 1022 | |
要介護4 | 11,730 | 1173 | |
要介護5 | 13,210 | 1321 |
<短期入所生活介護費(ショートステイ)>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | |
---|---|---|
単独型短期入所生活介護費(Ⅰ)<従来型個室> | ||
要介護1 | 6,200 | 620 |
要介護2 | 6,870 | 687 |
要介護3 | 7,550 | 755 |
要介護4 | 8,220 | 822 |
要介護5 | 8,870 | 887 |
単独型短期入所生活介護費(Ⅱ)<多床室> | ||
要介護1 | 6,400 | 640 |
要介護2 | 7,070 | 707 |
要介護3 | 7,750 | 775 |
要介護4 | 8,420 | 842 |
要介護5 | 9,070 | 907 |
単独型ユニット型短期入所生活介護費(Ⅰ)<ユニット型個室> | ||
要介護1 | 7,180 | 718 |
要介護2 | 7,840 | 784 |
要介護3 | 8,550 | 855 |
要介護4 | 9,210 | 921 |
要介護5 | 9,870 | 987 |
単独型ユニット型短期入所生活介護費(Ⅱ)<ユニット型準個室> | ||
要介護1 | 7,180 | 718 |
要介護2 | 7,840 | 784 |
要介護3 | 8,550 | 855 |
要介護4 | 9,210 | 921 |
要介護5 | 9,870 | 987 |
<短期入所療養介護費(ショートステイ)>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | |
---|---|---|
介護老人保健施設短期入所療養介護費(ⅰ)<従来型個室> | ||
要介護1 | 7,500 | 750 |
要介護2 | 7,950 | 795 |
要介護3 | 8,560 | 856 |
要介護4 | 9,080 | 908 |
要介護5 | 9,590 | 959 |
介護老人保健施設短期入所療養介護費(ⅲ)<多床室> | ||
要介護1 | 8,230 | 823 |
要介護2 | 8,710 | 871 |
要介護3 | 9,320 | 932 |
要介護4 | 9,830 | 983 |
要介護5 | 10,360 | 1036 |
ユニット型介護老人保健施設短期入所療養介護費(ⅰ) <ユニット型個室> |
||
要介護1 | 8,290 | 829 |
要介護2 | 8,740 | 874 |
要介護3 | 9,360 | 936 |
要介護4 | 9,890 | 989 |
要介護5 | 10,400 | 1040 |
ユニット型介護老人保健施設短期入所療養介護費(ⅲ) <ユニット型準個室> |
||
要介護1 | 8,290 | 829 |
要介護2 | 8,740 | 874 |
要介護3 | 9,360 | 936 |
要介護4 | 9,890 | 989 |
要介護5 | 10,400 | 1040 |
※上記の表では1単位10円で計算していますが、お住まいの地域によって1単位あたりの単価は変わりますのでご注意ください。
介護付有料老人ホームと比較したときのメリット・デメリットは?
有料老人ホームでも、介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅では「外部サービスの利用ができるかどうか」で差がついています。これがメリットになり、また同時にデメリットにもなります。
住宅型有料老人ホームのメリット・デメリット | |
---|---|
メリット |
・それまで利用していたケアマネージャーやデイサービス、ヘルパーを引き続き利用できる。デイサービスを気に入って利用している場合は、そのサービスを継続して利用できる。 ・介護が必要になった場合、好みの介護サービス事業者を選ぶことも可能。介護保険の上限まで介護サービスを自由に選択できるので、ケアマネージャーと相談しながらデイサービスやデイケア、訪問介護の回数を減らす、増やすなどの組み立てができる。 |
デメリット |
・利用したサービスごとに費用を支払っていくため、介護度が重くなると介護保険の利用限度額を超えてしまい自己負担になることがある。このようなことを防ぐために、利用限度額を超えないようにケアプランを作成してもらうこと。 ・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅のスタッフは介護サービスを行なわないため、トイレ介助や着替え介助などを頼みにくいことがある。介護ケアを受けるためには、日中は必ずデイサービスに行く必要がある。 ・訪問介護サービスを利用することでも介護サービスを受けることができる。 |
体験入居可の施設特集
実際に生活することでわかることがある!?

「百聞は一見にしかず」。介護施設への入居では、この言葉がぴったり当てはまります。施設見学のみならず、できれば実際に何日か生活をしてみることで、施設の雰囲気や食事の内容、レクリエーション、設備、スタッフの対応など、短時間の見学ではわからないようなことも、実際に生活をしてみることで見えてきます。
多数の体験入居可の施設をご紹介しているので、気になる施設が見つかったらまずはコンタクトを取って、体験入居を申し込んでみてください。利用者が重視するポイントをあらかじめ書きだしておいて、体験入居時に確認しておきましょう。
体験入居にはたくさんのメリットあり!実際に生活することでわかることがある!?

老人ホームへの入居にはかなりの費用がかかります。入居一時金に数百万円、数千万円かかる老人ホームもありますし、引っ越しの費用や入居にかかる雑費、毎月かかる月額利用料などを考えると、決して安いものではありません。入居後に「見学時のイメージとは違っていた」「騙された気分だ」と後悔しても遅いのです。
老人ホームの入居にあたっては、施設から資料をもらったり見学したりと、事前に十分検討されると思います。けれど数時間程度の見学と資料だけでは、老人ホームの実態は見えません。実際に入居してみないと、その施設の真の姿は何もわからないのです。
もし具体的に入居を検討している老人ホームがあるのなら、見学はもちろんですが、体験入居をお願いしてみましょう。体験入居可能な老人ホームで、問い合わせた時期に空室があれば可能です。1泊2日から1週間、長いところでは1ヵ月間の体験入居ができますが、1週間程度の老人ホームが多いようです。
ひとつ注意していただきたいことは費用です。体験入居には介護保険が適用されません。
身体介護や生活介護のサービスをうけた場合、1泊2食付きで費用は5,000円から2万円程度必要になります。1週間入居する場合は、あらかじめどれだけの金額がかかるか聞いておきましょう。後日高額な費用を請求されてもめた…ということにならないよう、くれぐれもご注意ください。体験入居時に健康診断書が必要な場合もあるため、費用だけではなく、必要な書類や持ちこめる日用品などについてもチェックしておきましょう。
体験入居には多くのメリットがあります。施設見学は日中おこなうことが多く、夜間の老人ホームの雰囲気はなかなかつかめないものです。静かな環境かと思ったら、意外と外の音が施設に響く、他の入居者が夜中に騒ぐ、職員の見回りの回数が少ないなど、実際に住んでみてわかることも多いもの。
食事の内容も、短時間の見学時には確認できないこともありますが、体験入居ならその心配はありません。
体験入居時にチェックしたい6つのポイント
体験入居時にチェックしたいポイントをわかりやすく説明していきます。体験入居時に、ぜひ参考にしてください。
- 食事の量やメニュー
- 居室の広さや日当たり
- 立地や設備
- 入居者やスタッフの人柄、人間関係
- 日常生活におけるサービス
- レクリエーション
食事の量やメニュー
老人ホームでは「食事」が大きな楽しみになります。そこで、実際に施設で提供される食事を味わってみましょう。食事の量が多すぎる、少なすぎるときは調整してもらえるかを確認することはもちろん、メニューがワンパターンではないか、病気や嚥下状態によって食事の内容を「制限食」や「形状食」に変えてもらえるかもチェックしましょう。入居者からの要望に素早く応えられない老人ホームでは、入居後もなにかと不自由することになります。
居室の広さや日当たり
これも実際に住んでみないとわからない部分です。見学した部屋は南向きで日当たりが良かったのに、体験入居で住んでみた部屋は西向きで西日がとてもキツかった、というお話も聞きます。西日が強いと夏場はつらいもの。どのような対応をしてもらえるのか、事前に聞いておくと良いでしょう。
立地や設備
静かな環境で住みやすいと思っても、夜間は入居者や介護スタッフの声が室内に響く施設かもしれません。夜間も交通量が多く、車の音が気になることも。老人ホームは生活の場なので、施設の周囲の道路が狭くて散歩がしにくい、坂道が多くて歩きにくい、近所に憩いの場や公園がない、コンビニやスーパーが遠いなどの環境ではやはりマイナスです。施設の中でチェックしたい部分は、廊下の広さや手すりの有無、共有施設の利用状況など。施設全体が臭いと感じるなら、その施設は衛生管理が徹底できていないのかもしれません。
入居者やスタッフの人柄、人間関係
住みやすさに大きく影響する部分が、他の入居者・スタッフの人柄や人間関係です。体験入居では実際に施設職員の介護ケアを受けられるので、丁寧に対応してもらえるかどうかをチェックしましょう。また、他の入居者と実際に接してみて初めてわかることもあります。あいさつしても素っ気ない、派閥ができている、食堂で席の取りあいが起こる、仲の悪い入居者がいるなど、人間関係が良くない老人ホームでは、気持ち良く生活することができません。
日常生活におけるサービス
部屋の掃除や入浴、洗濯などの日常生活にかかわるものを指します。入浴の回数は週に2回というのが一般的ですが、施設によっては3回実施しているところもあります。入浴は食事と同じく、老人ホームでの楽しみのひとつ。入浴の回数を重視される方は体験入居でお風呂の入り心地、回数をしっかりチェックしましょう。施設によっては天然温泉や人工温泉に入れるケースも。入居後の癒し、楽しみとなる部分なのでよく確認したいですね。
レクリエーション
レクリエーションは、実際にレクに参加してみて、その内容や回数を確認しましょう。老人ホームのなかには「レクは毎日」と謳いながら、実際は週に2~3回しか活動していないことも。HPで謳われている内容が本当なのかどうか、事前に確認しておきましょう。
体験入居時に持参するもの
体験入居では、「タオルなどは持参してください」と言われることが一般的。体験入居の日数は、老人ホームや申込者によって違いますが、長期滞在ではないので新しく買い揃える必要はありません。使い慣れた物を持って行きましょう。
1泊や2泊程度なら、寝間着などは貸してもらえる場合も。体験入居をする前に、老人ホームに持参する物を確認しておくと安心です。
必ず持参するもの
- 衣類(衣服、寝間着、下着、靴下などを宿泊日数分)
- 洗面セット(タオル、洗顔用の石鹸、歯ブラシ、コップ、入れ歯ケースなど)
- 靴(室内履き、外履き)
必要に応じて持参するもの
- 薬(病院からの薬や個人的に飲んでいるビタミン剤など)
- 健康保険証(後期高齢者手帳なども)
- 介護保険証
- 介護用具(杖、車イス)
- 入浴用品(シャンプーやリンスなど)
- 介護・看護サマリー(医療手帳などがある人は持参)
- 消耗品(入れ歯洗い洗浄剤やおむつなどを宿泊日数分)
発作止めのニトログリセリンや、ぜんそく止めの薬などは介護スタッフや看護士に伝えておきましょう。ホームによってはスタッフが預かる場合もあります。
体験入居中に注意したいこと

「老人ホームに入居したいけど、どこがいいのかな?」と悩みますよね。『案ずるより産むが易し』という言葉通り、頭で悩むよりも、体験入居をしてみたほうが早いです。
体験入居でそのホームが気に入れば、入居先が決まることになります。体験入居中に「実際の費用はどれくらいか?」「夜中や緊急時の対応は?家族も呼び出されるのか?」「病院への通院の際は、本当に付き添いがあるのか?」といった生活に直結することを、聞いておくことをお忘れなく。
体験入居中は老人ホームのルールをしっかりと守り、マナーを大事にしましょう。実際に生活することで、ホームの雰囲気や周りの人の動き、スタッフさんの対応の良さなども見えてくるはずです。さらに、体験入居は「食事が自分の口にあっているか?」「ベッドやトイレなどは綺麗か?」といった細かな確認ができるチャンスでもあるので、しっかりとチェックしておきたいところです。
体験入居が決まった後、ご家族にもすることがあります。それが、面会です。「車で面会に行くつもりだか駐車場はあるのか?」「面会時間は長くて、気軽に行けそうか?」といった確認をしておくと安心です。
見学と体験入居の違い

見学では、スタッフの説明とともに施設の設備を見て回ります。食堂や居室などが見せてもらえますし、大体の費用の説明などもしてもらえるでしょう。
一方、体験入居では実際に他の入居者と一緒に生活します。スタッフも体験入居者を特別扱いせず、「同じ施設に暮らす仲間」といった感じで接することが多いのが特徴です。
見学はしやすいため、複数の施設を見て回れると思います。しかし、体験入居は見学と気軽さが違うため、老人ホームに入居した人の中には「いろいろ見学した中で、一番良さそうな施設だけ体験入居してみた」という人も少なくありません。『見学は比較のため、体験入居は最終確認のための機会』とも言えます。
また、体験入居は「家族と毎日会えない」といった新しい環境に慣れるための第一歩でもあります。ご自身、また家族の希望をすり合わせたり、施設側の意見やアドバイスなども聞けたりする貴重な時間です。
体験入居では、「ルールが守れるか?」というのも重要なチェックポイント。体験入居の間に問題行動を起こすと、入居し辛くなることもあります。他の入居者のプライベートを侵害しないことも大切です。
入居後のトラブルを招かないためにも体験入居が大事!
有料老人ホームの数が増えるにしたがって、老人ホームの入居・退去にまつわるトラブルも増えています。
国民生活センターに寄せられた「有料老人ホームに関する相談件数の年度別推移」によると、2005年は255件だったものが2010年には369件にまで増えています。超高齢社会を背景にこれからも有料老人ホームの数は右肩上がりで増加していくと予測されますので、相談件数もそれに比例し増えていく可能性大です。

では契約購入金額別にみたデータをご覧ください。トラブルが多いのは契約金額1,000万円以上5,000万円以下となっており、次に100万円以上500万円未満、そして500万円以上1,000万円未満と続きます。契約金額1,000万円以上5,000万円以下という金額は、決して安いものではありません。高額だからこそトラブルへと発展してしまうのでしょう。
では具体的な相談内容はどうなっているのでしょうか。「相談内容別分類ごとの相談件数」を見てみると、契約・解除に関するトラブルが突出しており1,663件となっています。具体的には退去時に入居一時金として支払った費用の返還に関すること(思ったよりも返還される金額が少なかったなど)、原状回復費用や月額利用料の清算に関するものが多くなっています。

このデータをみると一度老人ホームに入居するとかなりの費用がかかり、気軽に老人ホームを移動することが難しいことがわかります。「ああ、しまった」と思っても一度支払った入居一時金が全額戻ってくることはありませんので、金銭トラブルに発展することも。できるだけ後悔のない老人ホーム探しをしたいものです。
利用者の経済面や介護・医療ケアに適した老人ホームを選ぶためには、やはり体験入居が欠かせません。あらかじめ老人ホームの生活を体験しておくと、本人も納得して入居できます。国民生活センターに老人ホームの契約・解除に関する相談が多く寄せられていることから、入居前には施設スタッフからよく説明を聞き、入居一時金の金額や返還のきまり、月額利用料の精算や原状回復に必要な費用などをくわしく聞き、納得してから正式な契約をおこないましょう。