ネット回線利用可の施設特集

急速にインターネットが普及し、パソコンが1台あればメールやテレビ電話、動画視聴、調べ物など何でもできる現代。シニア世代にとっても、インターネットは上手に使うことで、生活の中の“知る喜び”や“コミュニケーションする喜び”にもつながるツールのひとつです。
今や大切な生活インフラとも言えるインターネット回線が利用できる介護施設も、そのニーズに応えるように増えています。施設生活においていつまでも若々しく元気な心を保つためにも、インターネットの力を有効に使いたいもの。ここでは、そんなネット回線利用可の介護施設をご紹介しています。
高齢者のインターネット利用率は年々高まっている!
総務省がまとめた「2017年通信利用動向調査」によると、65歳~69歳までの属性別インターネット利用率は2016年度末には69.4%となっています。2011年度末が68.7%だったことを踏まえると、利用率は0.7%上昇しました。
70歳~79歳の2016年度末利用率は53.6%、2011年度末が42.6%という調査結果もでており、こちらも11%の大幅な増加です。80歳以上になると利用率は下がりますが、2013年度末が14.3%、2016年度末で23.4%と、80歳以上ユーザーも9.1%の増加になっています。この調査結果から、高齢者のインターネット利用率はイメージしているよりも低くはないことがわかります。

言い換えると、インターネットは高齢者にとっても「必要不可欠なもの」になっているのです。このような状況を反映してか、ネット利用可能な老人ホームも増加しており、老人ホームでネットが利用可能かどうかは今後ますます重要になってくるでしょう。
2014年の内閣府の調査によると、60代一般家庭でのスマホ利用率は50%を超えており、高齢者がスマホなどのガジェットを使いこなせる素地がある程度できあがっているようです。
スマホは電話だけではなく、メールよりも手軽にメッセージを送れる機能や高齢者が操作しやすいように文字を大きく表示する機能を搭載。さらに目的地までの道順を表示して案内してくれるアプリなどもあり、もはや生活になくてはならない存在と言えるでしょう。高齢者にとって利便性の高いスマホアプリの登場で、インターネットのニーズは今後もさらに高まることが予想されています。
高齢者がインターネットを利用するメリット

インターネットを利用する高齢者が年々増加する中、老人ホームでも、「インターネット可」と謳っている所が増えました。テレビ電話のような無料ソフト(アプリ)を導入してパソコンやインターネットなどの環境を揃えれば、無料で遠くにいる人と顔を合わせながらの通話が可能に。その結果、「施設にいても孫の顔が見られて嬉しい」といった声が全国で聞かれるようになっているのです。
また、「検索などをすることが脳の活性化に役立つ」という調査結果も出ているため、老人ホームによっては居間などにパソコンを設置して、誰でも自由に利用する設備を整えている所もあるようです。以下では、大きく3つのメリットについて詳細をみていきましょう。
QOL向上に貢献する
インターネットを利用することはQOL(生活の質)を向上させます。例えば、理解できないことがあった場合に他人を頼るしかなかった人も、インターネットを利用して自分の力で調べあげることができ、自己肯定感が向上。そうした行いを続けていけば「○○さん、物知りですね!」と、コミュニケーション促進にも寄与するかもしれません。
また、サービス付き高齢者向け住宅などの入居者独立型な施設であれば、インターネットでの気軽な買物も可能。買った品物は施設のフロントが受け取ってくれるので、足腰が悪い人も安心です。
SNSの使用がうつ病の対策となる
高齢の方でもフェイスブックなどを利用する今、最近では利用者が50歳以上の熟年層をメインとするSNSも誕生しています。インターネットを通じて、なかなか老人ホームでは伝えられない『自分』を表現することが、うつ病の防止や心身の安定に繋がるという調査結果も。そのため、施設によっては入居者がインターネットを使うことを積極的に奨励しています。
また近年、インターネットの利用が健康維持や頭のリハビリにもなっていることがわかってきています。「脳血管疾患になった人がブログで日記をつけ始めたら思考力が改善した」といった実例も出てきているのです。
認知症を予防する可能性がある
インターネットの利用は頭を使うので、認知症予防にも役立つ可能性があります。インターネットを利用するためには、パソコンやスマホ、タブレットなどを操作することが必要となり、その操作を覚えること自体も認知症予防に繋がっているようです。
ネット設備を揃えることで家族や親族などと無料でやり取りができるので、生活が充実します。「毎晩、タブレットで娘と孫と話すのが生きがい」といった人もおり、インターネットは生活に「ハリ」を与えてくれるでしょう。そのため、最近は自室でも好きなようにインターネットが楽しめるような設備を整えている老人ホームも増えています。
有料老人ホームの中にはネット環境の整った施設が増加中

上記のように、インターネットを楽しむ高齢者の増加に比例するように、インターネットが使える有料老人ホームも増えています。有料老人ホームでは個室が主流となっており、プライベートスペースを確保しながら、自室で好きなだけインターネットが楽しめるように整備。PCを持ち込むことでいつでもネットを楽しむことができ、外部とのコミュニケーションがしやすく、孤独を感じにくいなど、メリットが盛りだくさんです。
利用者のニーズに敏感な有料老人ホームでは、インターネットが利用できることを強調し、入居者を募集している所もあるようです。有料老人ホームによってはフロアの一角にパソコンルームを開設し、いつでも自由に使える共用パソコンを設置。PCは常時接続しているので、ちょっと調べものをしたいとき、メールを送りたいときなどにはとても便利ですね。
有料老人ホーム側でネット環境を整えてパソコンを設置しているため、個人でのプロバイダー契約やパソコンの準備は必要ありません。ただし、ネットの利用履歴が残り、どのようなサイトを閲覧していたかがわかってしまうという共用パソコン特有の欠点も。閲覧履歴やパスワードを保存できないように対応してもらえる可能性がありますので、施設スタッフに一声かけてみるのが良さそうです。
最近はレクリエーションにパソコンを活用している有料老人ホームもあります。インターネットでは「回想療法に役立つ映像」が無料で公開されていますので、レクリエーションにも大いに役立っているようですよ。