訪問看護が可能な施設特集
要介護者にはある意味、必須。施設選びでは提携先を確認しましょう!

訪問看護とは、その名の通り住まいに看護師が訪問して看護ケアを行うこと。要介護者においては、住まいから外出することがままならないこともあり、必須のサービスと言えるでしょう。在宅での介護生活はもちろんのこと、施設に入居しての生活においても、施設内に看護師が常駐していないところでは需要が高いサービス。特に、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなどが訪問看護ステーションと提携している場合が多く、日常的な看護ケアが必要な方は、そうした提携先についても確認しておくと良いでしょう。
要介護者に訪問看護は必須。施設選びでは提携先の病院の確認を!
老人ホームにはいくつかの種類があります。老人ホームと聞くとすぐに思い浮かぶのは特養老人ホームでしょう。これは要介護3以上、65歳以上の高齢者が入居できる、地方自治体や社会福祉法人が運営する公的な老人ホームです。
民間運営の老人ホームといえば介護付有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などがあります。
これら民間運営の老人ホームのうち介護付き有料老人ホームは、入居者の人数に応じて看護師の配置人数が決まっています。ところが住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の場合は看護師の配置人数に対する規定がないため看護師不在の老人ホームがある一方、24時間看護師を配置している施設もあります。
もし医療行為が必要な高齢者が有料老人ホームに入居する際は「看護師が施設に常駐しているのかどうか」を事前に確認する必要があります。老人ホームには提携している病院がありますので、どのような病院が実際に提携しているのか、万一のときには医師や看護師がやってくるのか、それとも病院に搬送してもらえるのかどうかも確認しておきましょう。
もし住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に看護師が常駐していない場合、そして入居者に対して看護ケアが必要な場合は「訪問看護サービス」の利用を申しこみます。訪問看護サービスでは看護師や保健師が介護施設を訪問し、利用者の食事、入浴、トイレ介助を行うほかにも、医療ケアが必要な利用者に対して血圧、体温測定や脈拍チェックなどのバイタルチェックや、床ずれの処置や点滴、カテーテル管理、服薬管理、服薬指導なども実施します。必要であれば、利用者の家族や施設の介護スタッフに対して看護指導も行います。
平成25年4月に行われた「訪問看護事業所の推移」を見てみると、平成5年に277か所だった事業所が10年後の平成15年には5,091か所へ、さらに10年後の平成25年には6,801か所と年を追うごとに増えています。20年間で訪問看護事業所は約25倍も増えた計算です。
訪問看護事業所(訪問看護ステーション)数は今後も増加が見込まれるため、訪問看護を利用する介護施設もこれからさらに増えていくものと予想されます。有料老人ホームに入居しても必要な看護サービスが利用しやすくなるのであれば、利用者側としては安心できます。
介護施設での訪問看護の利用には決まりがある!?
介護施設で訪問看護サービスを利用する場合には、ある決まりがあります。こちらに掲示してある表は山形県のものですが、全国的にもほとんど同様と考えて良いでしょう。
利用の可否 | 備考 | |
---|---|---|
老人保健施設 | × | |
特別養護老人ホーム | △ | 末期のがん患者のみ |
小規模特別養護老人ホーム | △ | 末期のがん患者のみ |
グループホーム | △ | 特別訪問看護指示書交付の場合等 |
小規模多機能型居宅介護 | △ | 特別訪問看護指示書交付の場合等 |
短期入所生活介護 | △ | 末期のがん患者のみ |
特定施設入居者生活介護(一般型) | △ | 特別訪問看護指示書交付の場合等 |
同(外部サービス利用型) | ◯ | |
複合型サービス | △ | 特別訪問看護指示書交付の場合等 |
その他 | ◯ |
老人保健施設では訪問看護サービスは一切利用できません。特別養護老人ホームと小規模特別養護老人ホーム、短期入所生活介護の場合は、末期のがん患者のみ訪問看護サービスの利用が可能です。そしてグループホームと小規模多機能型居宅介護、複合型サービスの場合は主治医から特別訪問看護指示書が交付された場合のみ利用できます。
ここで登場した「複合型サービス」についてご説明しましょう。あまり聞き慣れない介護サービスですが、これは小規模多機能型居宅介護と訪問看護サービスを一体化して提供するものです。平成24年の法改正により、訪問介護・訪問看護・通所・相談・宿泊などの多くの機能をもたせた施設となっています。複合型サービスでは「特別訪問看護指示書」が交付されれば訪問看護サービスが利用できます。
有料老人ホームの場合ですが、訪問看護サービスは住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅であれば利用可能、介護付き有料老人ホームの場合は条件ありとなっています。住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅は外部サービス利用型特定施設の位置づけですので、介護保険で訪問看護サービスを利用することができます。特定施設の指定を受けていないケアハウスも介護保険で訪問看護サービスを利用できます。
ところが介護付き有料老人ホームの場合は特定施設として指定されているため、訪問看護サービスの利用にはある条件がついています。その条件とは、一体どのようなものなのでしょうか?介護付き有料老人ホームの場合はグループホームや小規模多機能型居宅介護などと同じように、主治医から特別訪問看護指示書が交付されれば利用可能となります。ここでもまた「特別訪問看護指示書」ときキーワードが出てきました。介護付き有料老人ホームで訪問看護を受けるために必要な「特別訪問看護指示書」とは、一体なんでしょうか?
医師による「特別訪問看護指示書」とは?
「特別訪問看護指示書」は「訪問看護指示書」がすでに交付された患者が対象となります。「訪問看護指示書」は介護保険・医療保険、そのどちらの保険制度を使ってサービスを提供してもらうため必要なものです。
訪問看護指示書の有効期限は発行後6か月となっており、もし訪問看護の延期を希望するときには患者が看護師に連絡し、訪問看護ステーションから主治医に延期を連絡します。主治医は診察の結果や訪問看護計画書、訪問看護報告書をチェックしながら訪問看護の延期をするかどうかを判断します。もし訪問看護の必要がないと主治医が判断した場合は、公的な保険を利用しての訪問看護サービスを受けることができません。
「特別訪問看護指示書」は患者の退院直後や容体が急変したとき、終末期など頻繁に医療ケアが必要になったと主治医が判断したときに交付されます。この指示書が発行されると、訪問看護ステーションのサービスを公的な保険で利用することができます。特別訪問看護指示書は14日を限度として月に1回の交付が基本です。例外として重度褥瘡と気管カニューレは月2回の交付を受けることができます。月に2回指示書が交付される場合は、ほぼ毎日訪問看護サービスを利用することができます。また「訪問看護指示書」と「特別訪問看護指示書」は同じ医師が交付することになります。
特定施設である介護付き有料老人ホームの場合は、介護保険で訪問看護サービスを利用することができません。ただし「特別訪問看護指示書」が主治医から交付された場合にのみ、医療保険での訪問看護サービスが利用できます。容体が急変する、終末期になるなどの理由で多くの医療ケアが必要と感じられたときは、主治医と相談のうえ特別訪問看護指示書の交付を受けましょう。「訪問看護指示書」の交付を受けることができない場合でも個人的に訪問看護サービスを利用したい場合は、全額自費であれば可能です。
厚生労働大臣が定める疾病によって介護保険を使うか、医療保険を使うかが異なる!?
「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する病気にかかっている場合は、医療保険で週4日以上の看護サービスが認められています。介護認定され介護サービスを受けていても、医療保険が優先されます。その疾病名は以下のとおりです。
1・末期の悪性腫瘍2・多発性硬化症3・重症筋無力症4・スモン5・筋委縮性側索硬化症6・脊髄小脳変性症7・ハンチントン病8・進行性筋ジストロフィー症9・パーキンソン病関連疾患10・多系統委縮症11・プリオン病12・亜急性硬化性全脳炎13・ライソゾーム病14・副腎白質ジストロフィー15・脊髄性筋委縮症16・球脊髄性筋委縮症17・慢性炎症性脱髄性多発神経炎18・後天性免疫不全症候群19・頚髄損傷20・人工呼吸器を装着している場合
以上の20疾病になります。これらの病気の患者や病気の急変・悪化・退院後、終末期などでより多くの医療ケアが必要とされる患者には「特別訪問看護指示書」が主治医から交付され、医療保険で訪問看護サービスを受けることができます。
介護付き有料老人ホームの場合ですが訪問看護サービスを医療保険で利用したい場合は、「特別訪問看護指示書」が交付されるか、または「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する病気を発症しているのかどうか、そのどちらかを満たしていなければなりません。