パーキンソン病でも対応が可能な施設特集
パーキンソン病では、事故が起こらない安全な環境で、できるだけ体を動かすことが大切

「手足の震え」「筋肉の硬直」「歩行困難」「嚥下機能の低下」などの症状がみられるパーキンソン症。運動症状に加え、自律神経症状や不眠、うつ症状などもみられる病気で、高齢になるほど発症率が高まっています。運動機能障害により転倒など事故の危険性が高まり、日常生活を送ることも困難になることから、介護施設選びでは安全な住環境と適度に運動に取り組めるかどうかがカギ。リハビリの充実した、施設選びをしていきましょう。
パーキンソン病患者でも安心して老人ホーム選びを
原因不明の神経変性疾患として、40代、50代から発症者数が増え始めるパーキンソン病は、日本全国で患者数10万人以上と推計されています。
患者に高齢者が多いことから、今後も高齢化に伴い患者数が増えることが予想され、老人ホームでもパーキンソン病対応をしているところが少なくありません。認知症の方が医師からパーキンソン病の疑いがあると指摘される方も少なからずあるため、介護施設や老人ホームでパーキンソン病に対応しているかどうかをチェックすることは今時点でパーキンソン病を患っていない方にとっても大切です。
老人ホーム内でパーキンソン病患者の方が安心して暮らすためには、受け入れる老人ホーム側がパーキンソン病特有の症状を理解し、ケア体制を整えていることが何よりも大切です。
主なパーキンソン病の症状としては、安静時の手足の震えや、歩行などの動きがゆっくりになる動作緩慢、姿勢保持ができなくなる姿勢反射障害、歩幅が狭くなり最初の一歩が踏み出せなくなる歩行障害、筋固縮などが挙げられます。
体力が低下したから、と思いがちな姿勢反射障害は、何もないところでもバランスを崩し、転倒にもつながってしまう可能性がありますから、ケアや生活サポートの中できちんと老人ホーム側が注意をしてくれる環境でないと、転倒時による怪我なども心配されますよね。
パーキンソン病が進行すると日常生活にも大きな支障が出てしまい、食べものを飲みこめない嚥下障害や体が動かせなくなることからくる寝たきりなどになる可能性もゼロではありません。症状が軽い場合でも、スタッフの早期かつ適切なケアは今後病気が進行していく上でも非常に大切となってきます。
また、認知症を併発したパーキンソン病の場合、問題行動が増えることが予想されますから、老人ホームによってはこうした「問題行動に対応できない」「嚥下機能低下をケアできない」などの理由で入居自体を断られることもあります。
しかしながら、近年では治療法の開発も進み、パーキンソン病を発症しても薬の服用により症状の進行を緩和し、日常生活を送れるケースは多くあります。また、歩行障害や排泄障害、摂食障害、精神障害などパーキンソン病の症状が見られたとしてもケアが可能な老人ホームはもちろんあります。大切なことは、今の症状をしっかりと入居の際に伝え、適切なケア環境にあるかどうかをじっくりと確認・相談することです。
パーキンソン病であっても老人ホームへの入居はできる、そう考えて入居先を探してみましょう。
パーキンソン病とは? その原因、症状について
日本での有病率は1,000人に1人とも言われ、決して珍しい病気ではないパーキンソン病は、50代・60代、場合によっては70代で発症するケースも少なくありません。
パーキンソン病が原因で介護が必要になる方も多く、家族にとってはきちんと症状を把握して治療や日常生活でのサポートの活かしてあげることが大切です。
パーキンソンの原因は、脳内の神経伝達物質・ドーパミンが減少することが原因と考えられていますが、なぜドーパミンが減少してしまうのかはまだ理由がはっきりとわかっていません。
ドーパミンの分泌が減少すると、体の片側から症状が始まり、全身へと進行していくのが特徴で、代表的な症状としては手足の震えやこわばり、動作が緩慢になる、姿勢反射障害により転びやすくなるなどが挙げられます。
また、便秘や立ち上がった際にくらんでしまう起立性低血圧、睡眠障害、抑うつなど、自律神経障害や精神症状が見られることもあります。
歩幅が狭くなり倒れやすいと同時に歩き始めに足がすくんでしまい、最初の1歩が出づらい一方で歩き始めると止まれない歩行障害は転倒の原因にもなりやすく、周囲のサポートや見守りが必要になります。また、字が小さくなるなども歩行障害と同様によく見られる運動障害の一つです。
ときには、気持ちや意欲が落ち込み、自発性がなくなる、認知機能が低下するなど認知症症状にも近い症状が見られると同時に、認知症と併発するケースも少なくありません。
自律神経障害、運動障害、睡眠障害、精神障害などさまざまな症状が現れるパーキンソン病は薬物治療や手術治療と合わせて運動療法(リハビリテーション)が有効な場合もあります。
パーキンソン病の方の老人ホーム入居を検討する際には、今どのような症状が見られ、どんなケアやサポートが必要なのかを医師やスタッフなどと話し合うことも大切になってきます。
薬の名前 | 効能 |
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ドパミンアゴニスト | 脳内でドーパミンを受け取る部分であるドーパミン受容体を直接刺激することで、パーキンソン病の症状を軽減する。 |
抗コリン薬 | アセチルコリンを抑えることで、パーキンソン病の症状を緩和させる。 |
塩酸アマンタジン | 脳細胞を刺激してドーパミンの分泌を活発にする。 |
モノアミン酸化酵素 B阻害薬 |
ドーパミンの分解を阻害し、作用時間を延長する。 |
ドロキシドパ | 脳内でノルアドレナリンという物質に変わる。 パーキンソン病の進行期にみられるすくみ足に有効な場合がある。 |
パーキンソン病患者の老人ホームでの対応は?
パーキンソン病患者の方が老人ホームに入居する際に必ず確認しておきたいのが「どのようなケアやサポートが受けられるか」という点です。
自宅で日常生活を送れなくなれば、老人ホームを頼りにすることは当然の選択肢として考えられますが、リハビリテーションの有無や早期から適切なケアが受けられるかどうかなどをチェックすることはその後の老人ホームでの生活にも大きく関わってきます。
将来、症状が進行した場合には、認知症との併発や嚥下機能の低下なども考えられること。認知症との併発による問題行動が原因で入居を断る施設もありますから、入居先を選ぶ際には今の状況で対応がしてもらえるのか、将来症状が進行した場合にはどうなるのかをしっかりと確認しておくことが大切です。
パーキンソン病の方の介護にあたっては、進行性の病気のために徐々に自分で色々な日常動作を行うことが難しくなる点が忘れてはならないポイントです。介護においては、日常生活を安心して送るためのサポートと同時に、できる限り自分で動ける・行動できる期間を伸ばすためのリハビリを積極的に行えるかどうかもチェックしたいところ。
また、日常生活を送るなかで本人が焦らないように、温かく見守ってくれる雰囲気のもと、本人ができることは自分でやれるようなサポートがあるかも大切。
運動療法によりできることを増やしていくリハビリテーションの充実は、パーキンソン病の進行を緩和したい方にはやはりとても大切なチェックポイントです。
また、食事においては料理を口に運ぶ動作がよりスムーズにできるようにするための食器や食べる環境への配慮があるかどうかは見ておきたいポイントです。また、パーキンソン病においては歩行障害が多くみられ、すり足歩行や小刻み歩行、すくみ足、前方突進減少、姿勢保持反射障害など住環境への配慮が必要な場合が多くあります。
老人ホームであればその点は安心ですが、念のためきちんと安全が確保されているのかどうかを見学時などに見ておきまそう。
「パーキンソン病患者の受け入れ可」という老人ホームも増加中!
ご自身もしくはご家族が、パーキンソン病を発症したとき、不安に感じるのがパーキンソン病でも老人ホームに入居できるか、という点です。
高齢になるにつれて発症者も増加していくパーキンソン病は、介護が必要になる原因としてそれほど珍しいことではありませんから、パーキンソン病の方が入居できる老人ホームはたくさんあります。
ただ、注意したいのが症状の進行具合によって嚥下障害や認知症の併発などが見られる場合です。飲み込む力が低下する嚥下障害になると、食事内容への配慮や食事介助の必要が生じるため、こうしたケア体制がない施設の場合は、嚥下障害のある方は入居を断るというケースもあります。また、認知症を併発し、問題行動が見られる場合も同様です。
パーキンソン病患者は、認知症発症リスクも4から6倍ほど高まるという研究もあり、認知症との併発は心配ですが、グループホームは自立ある暮らしを支援するための施設のため、パーキンソン病では入居ができないケースが多いとも言われていますので、各施設に確認してみることが大切です。
高齢者に多いパーキンソン病は60歳以上の場合100人に1人が発症するという推計もあるため、それほど珍しい病気ではありません。パーキンソン病患者の受け入れについて、「受け入れ可」と謳う老人ホームは珍しくありませんから、諦めずに、ご希望の地域や価格帯で対応してくれる老人ホームがあるか探してみましょう。
パーキンソン病が軽度の場合には、今後の症状進行に伴う運動機能の低下を緩和するためのリハビリテーションや運動療法ができるかどうかを確認することも大切です。
生活保護受給者でも入れる施設特集

生活保護を受けている人でも入居できる介護施設はあり、介護付有料老人ホームなども、最近は生活保護者を受け入れる所が増えてきした。
「入居できても利用料が払えないのでは?」と心配する人もいると思いますが、入居後も住宅扶助や生活扶助などの保護費が受けられるので、施設の月額利用料が保護費や年金収入内で収まれば、毎月の支払いも可能です。
さらに、自治体や介護施設によっては減額措置をとってくれる所もあります。そういった情報は生活保護担当のケースワーカーや地域包括支援センターのケアマネージャーが持っていることが多いので、入居の相談をしてみると良いでしょう。
費用負担の上限額はどのくらいか
費用の上限金額はその人の収入などによって違うため、一概には言えません。生活保護者が介護施設に入居する場合は、住宅扶助などの保護費と、年金収入で費用をまかないます。
毎月もらえる年金額も人によって違いますので、生活保護を受けている人は、市町村の生活保護担当者やケースワーカーなどに自分の費用上限額を計算してもらうと良いでしょう。
生活保護を受けている人は介護保険サービスの利用料が免除されますので、実際に負担する費用は安く抑えられることが多いようです。
年金受給額と老後の費用
年金の受給額は平均どのくらい?
定年退職後の年金受給額は、厚生年金や国民年金を納付した額によって決まります。2016年の厚生労働省の調査によると、大学卒業後すぐに就職してから60歳の退職まで厚生年金を納付し続けた人の場合、年金の平均受給額は、国民年金が毎月5万5,000円ほど、厚生年金が毎月14万5,000円ほど。すなわち毎月20万円ほど年金をもらえる計算です。
しかしこれは一般的な金額であり、もらえる年金は納付していた年数にもより、ずっと自営業を営んでいた人は国民年金のみの給付となります。さらに、障害年金をもらっている人は国民年金を受給できませんので、人によって毎月の年金受給額には差が発生します。区役所の年金課などに行けば概算をしてもらえますので、自分の受給額を教えてもらうと良いでしょう。
老後にはどのくらいのお金が必要か

総務省の資料によると、老後に必要なお金は退職前の生活費の7割ほどとなるようです。例えば月20万使っていた人は、退職後は14万円ほどで生活している人が多い、という統計が出ているのです。
すなわち、年収500万円もらっていた人が60歳で定年退職し、90歳まで生きた場合、500万円×0.7=350万円が1年間の費用となります。月に換算すると、毎月約29万2,000円。一概には言えませんが、毎月の年金額は20万円程度ですので、年金だけではやや現実的とは言えなさそうです。
年金と老人ホーム入居
価格が安い老人ホームは競争が激しい
一般的な有料老人ホームの月額利用料は6万円~20万円程度。厚生年金をしっかりと納付した人なら年金を20万円程度もらえますので、何とか支払える金額ですが、国民年金のみ受給している人は厳しいでしょう。
今の日本では、厚生年金をあまりもらえていない人、国民年金だけの人が多いという現状。さらに、もらえる額も徐々に下がっており、年金だけで老人ホームに入居するのは難しいのも事実です。そのため、ケアハウスのような低価格の施設の競争率がますます激しくなっています。
年金のみでの老人ホーム利用は可能?
年金だけでは厳しいといっても、退職後に年金以外の収入がある人はあまりいないでしょう。年金だけで老人ホームに入居するためには、ケアハウス(軽費老人ホーム)のような格安の施設を選ぶか、生活保護を利用します。生活保護が適用されると月額利用料の中の家賃や介護保険サービス代などが控除されますので、老人ホームでの生活も現実的となります。
一方で、おむつ代などの日用品の費用や、病気の際の病院代などは別途かかるため、年金の収入のみで老人ホームへの入居を考えている人は、しっかりと必要な費用額を計算した上で入居を考える必要がありそうです。
生活保護受給者が老人ホームを探すときに注意するポイント

生活保護の受給金額は、市区町村の家賃相場や物価、世帯人数や収入などによって変わるため、一人ひとり違います。そのため、あくまで一般的な話になりますが、一人暮らしの方の場合、家賃扶助と生活扶助を合わせると、月額は概ね8万2,000円~12万9,000円程度。
特に市町村によって生活保護の扶助額の上限が違いますので、お住まいの場所と違う市町村で老人ホームを探す場合は、上限などを確認しておきましょう。万が一、老人ホームの入居を決めた後にもらえる保護金の限度額が違っていたら、入居を断念せざるを得ないといったケースも存在するようです。
一般的には都心部の方が毎月の費用は高く、郊外や山間部の老人ホームの方が格安な場合が多いです。生活保護受給者が入居できそうな老人ホームを探す場合、都心から離れたエリアで探した方が、入居先が見つかる可能性が高まります。
最近はホームページなどに「生活保護OK」と明記している老人ホームも増えました。書いていない場合も、地域包括支援センターのケアマネージャーに相談することは一考でしょう。