糖尿病・インスリン投与への対応が可能な施設特集
毎日の注射も安全に行なってもらえます

1日に数回のインスリン注射が必要になるなど、糖尿病患者の方の医療のストレスは相当なもの。ご自分で注射ができる場合は良いですが、マヒや認知症などで不可能な場合は、医師か看護師による措置が必要です。ここでご紹介するのは、医療機関との連携や看護ケアが充実している施設ばかり。食事療法や運動療法によって血糖値を下げるコントロールが必要になり、老人ホームでもそれらの療法に注力しているところが増えてきました。毎日のケアも万全で、安心して介護生活を送れる環境が整っているので安心ですね。
糖尿病患者は増加の一途!患者の受け入れ可能な老人ホームも急増中!
糖尿病(diabetes mellitus)とは一体どのような病気なのでしょうか。一言で言えば「血糖値の高い状態がずっと続く病気」です。
人は誰でも食事を摂れば血糖値が上昇しますが、すい臓から分泌されるインスリンと呼ばれるホルモンにより血糖値が下がり、血液中の糖分の量はつねに一定に保たれています。ところが、このインスリンの分泌が先天的に不足し、血糖のコントロールができない場合を「Ⅰ型糖尿病(インスリン依存型)」と呼んでいます。
その一方で、インスリンが正常に分泌されているにも関わらず何かしらの原因でインスリンの効きが悪くなり、糖をエネルギーに変えることができずに高血糖になってしまう「Ⅱ型糖尿病(インスリン非依存型)」というタイプもあります。糖尿病患者の多くが、このⅡ型糖尿病なのです。このように糖尿病にはⅠ型とⅡ型の2つの種類があります。
1996年の糖尿病患者数は約217.5万人となっていますが、その後右肩上がりで増えつづけ、2005年には246.9万人まで増加。さらに2014年の調査では約316.6万人と300万人の大台を突破しています。日本には高血圧疾患や歯周病の患者が多いのですが、糖尿病はそれに次ぐ患者数となっています。いまや糖尿病は「日本の国民病」と言っても過言ではありません。糖尿病予備軍も入れるとかなりの数字になります。
年々増えつづける糖尿病、とくに患者数が増加する年代は60代以降となっています。40代の糖尿病患者数は約19万人、50代では約38.4万人ですが、60代になると患者数は一気に約95.2万人まで上昇。50代患者の約2.4倍です。さらに70代になると患者数は約104万人まで増えており、50代の患者数と比較すると約2.7倍になっています。80代の糖尿病患者数は約53.4万人ですので、高齢になると糖尿病の危険度がアップすると考えてよいでしょう。
高齢になるほど発症する可能性の高い糖尿病。糖尿病患者の増加とともに、老人ホームでの医療体制の強化も求められる時代となっています。このような背景から、糖尿病患者の受け入れ可能な老人ホームも確実に増えています。インターネットで老人ホームの検索を行うと、看護・医療体制に「糖尿病の受け入れが可能かどうか」が明示されています。糖尿病の患者、とくにインスリン注射が必要な方は医療体制のしっかり整った介護施設を選びましょう。
インスリン注射には種類がある!?だからこそ医療体制の充実度が大事
糖尿病患者のなかでもインスリン注射で治療をおこなっているのは、インスリンの分泌量が少ない、またはほとんど分泌されないⅠ型糖尿病(インスリン依存型)の患者となります。また、Ⅱ型糖尿病(インスリン非依存型)であっても症状がすすみ服薬でも血糖値のコントロールができない患者、また薬に対して何らかのアレルギーのある患者、糖尿病合併妊婦の場合は「インスリン注射」で血糖値をコントロールしています。
インスリン注射は「怖い」というイメージがあるようですが、実際に使用する注射器は万年筆型が主流で、一般的にイメージできるプラスチック製の透明な注射器とはまるで違います。万年筆とほとんど同じ大きさなので、どこにでも持っていけるので便利。注射器は万年筆の構造を模して造られており、インク部分がインスリン製剤でペン先が針になっています。針はとても細いので、注射を打っても痛みはほとんど感じません。
注射器の中に仕込まれたインスリン製剤の種類によって、効果が出るまでの時間、効果が持続する時間に差異があります。インスリン注射にはいくつかの種類があり「超即効型」「速効型」「中間型」「混合型」「持続型」の5種類に分類可能です。それぞれの型がもつ特徴を、ご説明しましょう。
「超即効型」は文字どおりすぐに効果がでるタイプのインスリン注射です。注射をすると10~20分程度で効きはじめ、もっとも作用するのは注射後1~3時間、持続時間は3~5時間です。つまり注射をしても5時間後には効果が消えてしまうのです。そのため超即効型インスリン注射で血糖値をコントロールする場合は、毎食後3回注射となります。また人によっては4回注射を行うこともあります。「速効型」は超即効型よりも作用発現時間が長めの30分となっています。つまり注射をしても効きはじめるのは30分後です。このタイプは8時間効果が持続します。
「中間型」のインスリン注射はインスリンの効果が現われるまでに1時間半の時間が必要です。最大作用時間は4~12時間後、24時間効果が持続します。「持続型」のインスリン注射は、インスリン製剤の種類によって効きはじめる時間に差がありますが1~2時間後が多いようです。持続型は効果が最大になるピーク時がなく、一定の効果が24~48時間持続する傾向です。
「混合型」は即効型と中間型のインスリン製剤を混ぜる、または超即効型と中間型のインスリン製剤を混ぜたものです。2つの製剤の長所を生かしたハイブリッド配合となっています。インスリンが素早く効き、しかも効果が24~48時間続くので、1日に何度もインスリン注射をしなくても良いのがメリット。このようにインスリン注射といっても製剤の種類によって効き方や持続時間が変わってきます。同じインスリンを使った糖尿病治療でも、注射の間隔や製剤の量は患者によって違います。
インスリン注射は在宅医療として認識されており、患者本人や、病院で指導を受けた家族であれば注射が可能となっています。自己注射が可能なので、患者本人がインスリン注射を打ち血糖値をコントロールできるのであれば、老人ホームへの入居に問題はありません。ところが認知症を発症するなどの理由で自己注射ができなくなったときは、本人のかわりに看護師がインスリン注射を行います。
1日2回の注射であれば日中勤務している看護師で対応できるのですが、1日4回のインスリン注射が必要な場合は、24時間看護師が常駐する老人ホームでなければ対応できません。医療体制が充実した老人ホームでなければ十分なケアができませんので、インスリン注射が必要な方はその点をよく理解しておきましょう。
糖尿病の原因と症状…そして効果的な予防方法は?
Ⅰ型糖尿病はインスリンを分泌する能力が大きく損なわれている、またその能力がほとんどないことで発症します。その原因はいくつか考えられますが、ウイルス感染などで膵臓の細胞が破壊され、インスリンが分泌できなくなることで発症するケースが多いとされています。幼児や子供、若い方々でも発症する病気です。Ⅰ型糖尿病の発症には遺伝の影響もあるのですが、詳しいことはまだ解明されていません。
これに対して、Ⅱ型糖尿病は中高年から多く発症し、高カロリー食品をたくさん食べる過食、一日中体を動かさない生活による運動不足、人間関係や環境変化などによって起きるストレス、肥満などの生活習慣が病気の原因と言われています。家族に糖尿病の患者がいる場合は、糖尿病になりやすい遺伝子を受けついでいる可能性が高く、とくに注意しなければなりません。
糖尿病はサイレントキラーと言われており、血液検査で異常が判明したときはすでにかなり病気が進行していた、ということも少なくありません。とくにⅡ型糖尿病の場合、病気が進行しないと自覚症状が出てこないため、健康診断を毎年受けて早めに対応するのが一番効果的な対策です。
糖尿病の代表的な症状は、多尿、のどの渇き、体重減少、体のだるさなどです。糖分が体外に排出されるときに水分も多く排出されるため、尿の量が多くなります。尿の量が多くなると体の水分量が減り、のどが渇くため水分を多めに摂ることになります。このとき、甘いジュースをゴクゴク飲むと血糖値のさらなる上昇を招くことになります。水分補給はできるだけ糖分の含まれていない水やお茶にしましょう。
尿と一緒に糖分が体外に排出されるとエネルギー不足となり、失われた糖分の代わりに体内にあるたんぱく質や脂肪を燃やすことになります。体内の脂肪やたんぱく質が消費されるため体重が減少し、体重減少やエネルギー不足により「けだるさ」を感じます。
糖尿病の効果的な予防方法とは、Ⅱ型糖尿病の場合、不摂生な生活で病気を発症することがあるため、まずは規則正しい食生活を送ること、そしてバランスよくしっかり栄養を摂取し、エネルギーを多く摂りすぎないこと。さらに運動で肥満を防ぎ、ストレスをためないようにリラックスできる時間をつくることです。Ⅱ型糖尿病でも病気がそれほど悪化していなければ、食事の見直しと適度な運動により血糖値やグリコヘモグロビン(HbA1c)値が比較的早く改善します。
合併症が一番怖い!?脳卒中などにつながる可能性も!
糖尿病という怖い国民病……じつは糖尿病で亡くなっている方は年間1万3千人。患者数は300万人を軽く突破しているためもっと多くの方が糖尿病で亡くなっているように思えますが、意外と少なめです。これはどうしてでしょうか? じつは糖尿病は、病気そのものよりも合併症で命を落とす可能性の方が高いのです。では糖尿病が引き起こす合併症を見てみましょう。
糖尿病の3大合併症と言えば「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」です。糖尿病網膜症は放置していると失明する危険がありますし、糖尿病腎症は悪化すると人工透析が必要になります。じつは人工透析が必要になる腎臓病の原因第1位は「糖尿病による糖尿病腎症」なのです。糖尿病神経障害は悪化すると足や足の指の切断に至ることもあります。合併症により失明や人工透析、足の切断になるとかなり深刻です。
糖尿病はこれらの病気以外にも「脳卒中」「心筋梗塞」「末梢動脈性疾患」など血管性の病気を引き起こす原因になります。とくに脳卒中の危険度は、糖尿病を発症していない人の3倍、さらに狭心症や心筋梗塞の危険度は3~4倍も多くなっています。糖尿病が重大な合併症を引き起こしやすい「怖い病気」であるかがお分かりいだだけると思います。
一説には糖尿病は認知症を引きおこすリスクを高めると言われています。「糖尿病などたいした病気ではない」と侮ると、取りかえしのつかないことになるかもしれません。
Ⅱ型糖尿病の場合は食習慣や運動など、生活習慣をあらためることでかなり改善します。医師から病気の悪化を指摘されている場合は、普段食べているものをチェックして食生活を管理すること、運動不足を解消することで合併症を発症する可能性を減少させることができます。しっかりとした自己管理が糖尿病の発症を防ぎ、病気の進行を遅らせることにつながります。
生活保護受給者でも入れる施設特集

生活保護を受けている人でも入居できる介護施設はあり、介護付有料老人ホームなども、最近は生活保護者を受け入れる所が増えてきした。
「入居できても利用料が払えないのでは?」と心配する人もいると思いますが、入居後も住宅扶助や生活扶助などの保護費が受けられるので、施設の月額利用料が保護費や年金収入内で収まれば、毎月の支払いも可能です。
さらに、自治体や介護施設によっては減額措置をとってくれる所もあります。そういった情報は生活保護担当のケースワーカーや地域包括支援センターのケアマネージャーが持っていることが多いので、入居の相談をしてみると良いでしょう。
費用負担の上限額はどのくらいか
費用の上限金額はその人の収入などによって違うため、一概には言えません。生活保護者が介護施設に入居する場合は、住宅扶助などの保護費と、年金収入で費用をまかないます。
毎月もらえる年金額も人によって違いますので、生活保護を受けている人は、市町村の生活保護担当者やケースワーカーなどに自分の費用上限額を計算してもらうと良いでしょう。
生活保護を受けている人は介護保険サービスの利用料が免除されますので、実際に負担する費用は安く抑えられることが多いようです。
年金受給額と老後の費用
年金の受給額は平均どのくらい?
定年退職後の年金受給額は、厚生年金や国民年金を納付した額によって決まります。2016年の厚生労働省の調査によると、大学卒業後すぐに就職してから60歳の退職まで厚生年金を納付し続けた人の場合、年金の平均受給額は、国民年金が毎月5万5,000円ほど、厚生年金が毎月14万5,000円ほど。すなわち毎月20万円ほど年金をもらえる計算です。
しかしこれは一般的な金額であり、もらえる年金は納付していた年数にもより、ずっと自営業を営んでいた人は国民年金のみの給付となります。さらに、障害年金をもらっている人は国民年金を受給できませんので、人によって毎月の年金受給額には差が発生します。区役所の年金課などに行けば概算をしてもらえますので、自分の受給額を教えてもらうと良いでしょう。
老後にはどのくらいのお金が必要か

総務省の資料によると、老後に必要なお金は退職前の生活費の7割ほどとなるようです。例えば月20万使っていた人は、退職後は14万円ほどで生活している人が多い、という統計が出ているのです。
すなわち、年収500万円もらっていた人が60歳で定年退職し、90歳まで生きた場合、500万円×0.7=350万円が1年間の費用となります。月に換算すると、毎月約29万2,000円。一概には言えませんが、毎月の年金額は20万円程度ですので、年金だけではやや現実的とは言えなさそうです。
年金と老人ホーム入居
価格が安い老人ホームは競争が激しい
一般的な有料老人ホームの月額利用料は6万円~20万円程度。厚生年金をしっかりと納付した人なら年金を20万円程度もらえますので、何とか支払える金額ですが、国民年金のみ受給している人は厳しいでしょう。
今の日本では、厚生年金をあまりもらえていない人、国民年金だけの人が多いという現状。さらに、もらえる額も徐々に下がっており、年金だけで老人ホームに入居するのは難しいのも事実です。そのため、ケアハウスのような低価格の施設の競争率がますます激しくなっています。
年金のみでの老人ホーム利用は可能?
年金だけでは厳しいといっても、退職後に年金以外の収入がある人はあまりいないでしょう。年金だけで老人ホームに入居するためには、ケアハウス(軽費老人ホーム)のような格安の施設を選ぶか、生活保護を利用します。生活保護が適用されると月額利用料の中の家賃や介護保険サービス代などが控除されますので、老人ホームでの生活も現実的となります。
一方で、おむつ代などの日用品の費用や、病気の際の病院代などは別途かかるため、年金の収入のみで老人ホームへの入居を考えている人は、しっかりと必要な費用額を計算した上で入居を考える必要がありそうです。
生活保護受給者が老人ホームを探すときに注意するポイント

生活保護の受給金額は、市区町村の家賃相場や物価、世帯人数や収入などによって変わるため、一人ひとり違います。そのため、あくまで一般的な話になりますが、一人暮らしの方の場合、家賃扶助と生活扶助を合わせると、月額は概ね8万2,000円~12万9,000円程度。
特に市町村によって生活保護の扶助額の上限が違いますので、お住まいの場所と違う市町村で老人ホームを探す場合は、上限などを確認しておきましょう。万が一、老人ホームの入居を決めた後にもらえる保護金の限度額が違っていたら、入居を断念せざるを得ないといったケースも存在するようです。
一般的には都心部の方が毎月の費用は高く、郊外や山間部の老人ホームの方が格安な場合が多いです。生活保護受給者が入居できそうな老人ホームを探す場合、都心から離れたエリアで探した方が、入居先が見つかる可能性が高まります。
最近はホームページなどに「生活保護OK」と明記している老人ホームも増えました。書いていない場合も、地域包括支援センターのケアマネージャーに相談することは一考でしょう。