特養の入居待ちを解消する有料老人ホーム・サ高住が増加中

平塚市は、神奈川県のほぼ中央にあり、駿河湾に面した商工業都市です。
農業の発展にも目を向けており、平塚トマトや食べられる薔薇など、地域特産品も開発しています。
高齢者のために、平塚市は老人福祉サービスを次々と展開。
その中でも特徴的な取り組みは「老人クラブ」です。
これは神奈川県全体で行っている高齢者向けのクラブ活動で、平塚市も独自の運営をしています。
60歳以上の市民が加入でき、健康作りやスポーツ、ボランティア活動など、さまざまな活動をしているクラブです。
認知症にも目をそらさず、「認知症サポーター」を育成。
認知症患者を介護する方々のための支援を実施しています。
サポーター育成のための講座なども開講しており、出前講座も行っています。
また、介護ロボットの導入にも前向きで、普及推進センターが主となり、自走型掃除機などの普及を支援しています。
福祉サービスだけでなく高齢者の生活場所の確保も行っており、平塚市にも特別養護老人ホームをはじめ、介護施設はいろいろあります。
特養は月額利用料が4~8万円という低料金になっています。
現在入居待ちの方が多く「介護度が高い」などの理由がない限り、入居は困難です。
そのため、平塚市は有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅なども積極的に承認し、施設数を増やす取り組みもしています。
有料老人ホームは、介護付きホームの月額利用料が15~30万円。
住宅型の月額利用料が12~30万円です。
どちらの料金もあくまで目安で、サービスの充実した施設はさらに高額となります。
入居一時金は0円から1,000万円ほど。
施設によってサービスの内容なども違いますので、入居を検討する場合は予め地域包括支援センターに相談し、ふさわしい施設を紹介してもらって、実際に見学に行ってみることをおすすめします。
サービス付き高齢者住宅も、目安ではありますが月額利用料は15~40万円ほど。
頭金は0~150万円といった金額設定が一般的。
施設によっては2年に一度更新料が発生する場合もありますので、こちらも入居を考える際は、直接施設に料金の詳細などを聞いておくと良いと思います。
平塚市では4人に1人が高齢者
平塚市は神奈川県の中央にあり、茅ヶ崎市や藤沢市と隣接する都市です。
南は相模湾に面しており、地魚が獲れるので沖釣りが楽しめるのが魅力です。
緑も多く、土日は農作物の直売所が賑わいますし、イチゴ狩りなどの体験も楽しめます。
交通アクセスとしてはJR東海道本線の平塚駅を中心として、湘南ライナー・上野東京ライン・湘南新宿ラインが走行。
市境の北には小田急小田原線も通っています。
神奈川中央交通バスなどの路線バスも利用可能です。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
そんな平塚市ですが、2023年の調査によると総人口は25万6,005人。
65歳以上の高齢者は7万3,584人です。
高齢化率は28.7%で、この年の全国平均である29.1%は下回っていますが、4人に1人以上は高齢者という状況です。
なお、2020年の総世帯数は11万2,191世帯ですが、そのうち高齢者のみの世帯は2万6,678世帯。うち、高齢夫婦世帯は1万3,790世帯、一人暮らし世帯は1万2,888世帯でした。
なお、高齢化率は2010年時点で21.2%ですが、2015年には25.9%に増加。さらに、2020年に28.6%、2023年に28.7%と急増しています。
平塚市は、増え続ける高齢者のためにも、高齢者福祉サービスを充実させ、介護予防活動などを推進中です。
要支援・要介護認定者は2017年には1万を突破
平塚市では、介護保険の要支援・要介護認定者は増加しています。2010年には7,323人でしたが、2015年に9,961人、2020年に1万1,640人、2024年には1万3,139人となりました。

なお、要支援・要介護認定者の内訳を見ると、要支援1~要介護1の軽度の方が最も多く45.2%、次に要介護2~3の中度の方が34.7%、そして要介護4~5の重度の方が20.0%となっています。
平塚市では2010年と2023年を比べると、地域密着型サービスの利用者数が増加しました。
現在、介護予防・日常生活支援総合事業が新しく開始されたため、数値的には利用者が減って見えますが、自宅でのサービスを受けている高齢者は多く、特別養護老人ホームなども入居希望者が多いです。
居宅サービスの中で、特に訪問リハビリテーションや居宅療養管理指導の利用者が増えており、地域密着型通所介護を含めたデイサービスも需要が増えています。
訪問介護や訪問看護、ショートステイは以前から利用者が多く、これからも必要とされるサービスです。
そのため、平塚市は介護スタッフの増員や、介護サービス事業所の増設などに急いでいます。
また、平塚市では高齢者の住まいとして一戸建て・持ち家の割合が高く、自宅での転倒などが増えているのが問題です。
そのため、バリアフリー化工事の費用を一部助成する「住宅改修」などのサービスを普及させています。
高齢者には見守り歩数計「ひらつかミルック」を貸与
平塚市は、地域に根づいた高齢者サポートを実施するため、地域包括ケアシステムを構築中です。
細やかな対応のために、市内を13の圏域に区分。
圏域ごとに必要なサービスなどを調査し、それぞれ対応しています。

平塚市は海や緑に恵まれた街ですし、毎年7月の「湘南ひらつか七夕まつり」が開催される時期には市内外からの見物客で賑わいます。
市はそういった資源を活用しながら、より魅力的な街づくりを実施中です。
認知症高齢者が増える中、認知症高齢者とその家族のケアも推進。
認知症講座の開催や認知症サポーター養成などを通じ、認知症への理解を深めています。
また、医師や看護師で構成された「認知症初期集中支援チーム」を設置し、認知症の早期発見・早期治療を目指しているところです。
「徘徊高齢者SOSネットワークシステム」では、行方不明になった高齢者を地域全体で捜し、保護します。
一人暮らしの高齢者が増える中、孤立化や孤独死も問題となっています。
孤独死を防止するため、一人暮らしの高齢者にお話見守り歩数計「ひらつかミルック」を貸与。
GPS機能によって高齢者の歩行数を家族へ自動配信するシステムで、高齢者の安否確認に繋がっています。
その他にも、在宅医療の充実や、医療と介護の連携体制の整備、健康増進活動や介護予防による健康寿命の延伸の支援、住民同士の支えあいを含めた生活支援など、平塚市は多様な高齢者サポートを行っています。
高齢者の通い場へ「健康チャレンジ」の専門スタッフを派遣
平塚市では、要支援・要介護認定者に「介護が必要になった原因」を聞いたところ、「骨折・転倒」が22.9%で一番多いことが分かりました。
平塚市は、転倒や骨折などを防ぐべく、健康教室などを開催して介護予防を推進しています。

平塚市は、健康増進計画に基づき、生活習慣病の発症や重症化予防のための健康診査を実施。
歳を重ねるにつれ、認知症も増えていきますので、認知症予防活動も行っています。
健康チャレンジ地域活動支援事業では、「健康チャレンジ」に取り組む高齢者の通い場へ専門スタッフを派遣し、口腔機能の維持方法や栄養のある食事の献立、介護予防体操などを指導。
また、通い場での活動には補助金を出して支援し、高齢者の継続的な運動をサポートしています。
ゴムを使った介護予防体操「ゴム体操」のDVDのレンタルもしており、地域で気軽にゴム体操ができます。
さらに、「腰痛・膝痛の予防」「口腔機能の低下の予防」「認知症の予防」「栄養改善教室」といった講座を開催し、講話とともに運動や実習を行います。
医師などによる講座なので、専門的なアドバイスがもらえるのが魅力です。
社会活動や趣味・学習活動に励んでいる人の方が健康の維持ができていることが分かったため、平塚市は高齢者のさまざまな活動をサポートしています。
老人クラブ「ゆめクラブ」では、社会的な活動や、趣味活動、レクリエーションなどを実施。
仲間作りや生きがい形成に繋がっています。
「くらしサポート相談」では高齢者の日頃の悩みを解決
平塚市は、多様化する高齢者の相談に対応するべく、色々な相談窓口を設置しています。

地域包括支援センターである「高齢者よろず相談センター」では、介護保険サービスや生活支援サービスなどに関する悩みも含め、生活全般の悩みが打ち明けられます。
社会福祉士やケアマネージャーなどの専門職がいますので、専門的な知識のいる相談も可能です。
権利擁護活動も実施しており、「お隣のおばあちゃんは虐待を受けているかも…」「振り込め詐欺にあったみたい…」といった相談に応じています。
また、成年後見制度により、認知症などで判断能力などが落ちた人の代わりに各種サービスの手続きや、貴重品や金銭管理を代行。
「手続きが難しくて分からない」「通帳が無くなりそうで心配」といった相談ができます。
自立相談支援事業による「くらしサポート相談」では、「年金が少なくて病院代が払えない」といった金銭的な相談も可能。
支援員が相談を受け、問題解決に向けてのアドバイスを行い、その人に合わせた支援プランを作成します。
電話相談も可能ですし、高齢者本人以外にも、家族や周りの人からの相談もできます。
また、シルバー人材センターやハローワークでは高齢者の就労相談を実施。
市民情報・相談課では、弁護士が相続や贈与、不動産売買といった法律に関わる相談を行っています。
財産相続などの難しい相談が無料でできるのが魅力です。
その他にも、平塚市では市民相談や税務相談、行政書士に遺言書や遺産分割協議書の作成について教えてもらえる許認可届出相談を実施中ですので、気軽に相談してみると良いでしょう。