台東区は浅草や上野動物園の町。介護の充実した有料老人ホームも

台東区は、東京都の特別区のひとつで、23区のやや北東に位置する街で、区の東側には墨田区との境となる「隅田川」が流れ、観光汽船や水上バスが観光客を楽しませています。
区内には重要文化財が多く、浅草の「浅草寺」、パンダが有名な「上野動物園」、日本最古の博物館である「東京国立博物館」など、見応えあるスポットが目白押しの観光地です。
台東区は、調理器具などの卸街として人気がある「浅草合羽橋道具街」などがあり、区全体が商業地となっています。
そのため住宅地は少ないのですが、ケアハウスや介護付き有料老人ホームなどの介護施設は存在しています。
どの施設も少々料金が高めのようですが、その理由は、やはり台東区が人気エリアであること、台東区の高齢化率の高さが挙げられます。
区の行政は、台東区を愛する高齢者のために、訪問介護などの基本的な介護サービスのほかにも独自のサービスを実施しているのです。
区内で開催される講演時には、「磁気ループ案内」という、音声を聞き取りやすくする装置を貸し出すサービスを行うなど、細かなところにまで配慮がなされた施策が多く実施されています。
上野駅は観光だけでなく、交通面も発達。上野はアジアで最初に地下鉄が通った場所の一つで、現在は「銀座線」に加え、「日比谷線」と「千代田線」も通っています。
上記のようなメリットもさることながら、台東区はイベントが多く、日本三大花火の一つである「隅田川花火大会」や「浅草サンバカーニバル」などが楽しめます。
「浅草の雰囲気が堪らない」「上野が大好き」という人は多く、街の雰囲気が合う方は、是非この街の老人ホームを検討くださいね。
台東区の高齢者数は4万5,000人程度で推移
台東区は、東京都23区のひとつ。区の面積は23区の中で最も小さいですが、先述した通り全国的に有名な観光スポットに恵まれた街です。
公園や緑地も比較的多く、自然環境が良好。桜並木もあちらこちらにあり、散歩が楽しめます。
上野駅を中心に交通が発達しており、JR東北本線や山手線、宇都宮線、総武本線などに加え、東京メトロ、京成電鉄、東武鉄道、つくばエクスプレス、そして水上バスも発着する利便性の高い街です。
このように、良好な環境や利便性を兼ね備えた台東区では、年々人口が増えています。
2017年には外国人含む総人口が約19万5,000人でしたが、2023年には20万7,479人と年々増加しています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
年齢別に見てみると65歳以上の高齢者数は4万5,059人、高齢化率21.7%となっています。
2023年には前期高齢者数は2万377人、75歳以上の後期高齢者数は2万4,682人と後期高齢者数は増加の一途をたどっており、今後も後期高齢者数が増加、約60%まで到達するとの見込みです。
要支援・要介護認定率はあと数年で25%を超える見込み
台東区の65歳以上の第1号被保険者数は、2015年~2017年までの3年間に約500人増加。2024年には1万823人、認定率は約22.3%となっています。
第1号被保険者数は2017年には4万6,302人でしたが2021年には4万5,928人とほぼ横ばいです。
介護保険制度が導入された2000年に3万2,867人だった65歳以上の高齢者数は、2023年には4万5,059人(外国人含む)まで増加。
また、高齢者の増加にともない、要支援・要介護認定者数も増えており、2000年度は3,955人だった認定者数は2023年には1万823人と1万人を超えました。
一方、第2号被保険者を含めた要支援・要介護認定者の合計は、2025年には1万2,000人を超えると予測されています。
要支援・要介護の認定率も上昇しており、あと数年のうちには認定率が25%を超える見込み。これは高齢者の4人に1人は要支援・要介護認定を受けている状態を意味します。

台東区は比較的、年少人口や生産年齢人口が多い街ですが、高齢者は増加し要支援・要介護認定率も上がっています。
このような状況を考慮し、台東区では訪問介護などの居宅サービスや、デイサービスなどの通所サービス、ショートステイなどの短期間入所サービス、特別養護老人ホームなどの施設サービスをそれぞれ充実させようとしています。
夜間訪問を行う夜間対応型訪問介護や、認知症高齢者に対応した認知症対応型通所介護(デイサービス)などの地域密着型サービスも需要が増えており、台東区はより多彩なサービスの提供を目指しています。
健康づくりのリーダー「健康推進員」を地域ごとに育成

台東区では、歳を重ねても健康で元気に過ごせるよう、介護予防を推進しています。
病気が要介護状態のきっかけとなる高齢者が多いため、台東区では病気の早期発見や予防活動を推進中です。
検診や健康診査などが簡単に受けられるよう、各地の保健所や病院で高齢者肺炎球菌予防接種やインフルエンザの予防接種、大腸や肺などのがん検診を実施しています。
また、糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、低栄養を予防する食事について学べる栄養相談を実施し、健康的な食生活を支援。口腔内の健康維持や嚥下力など、食べる力に直接影響する「歯科基本健康診査」なども行っています。
さらに、介護予防には運動も肝心として、区立のスポーツ施設などで体力診断テストを実施。ラジオ体操を定期的に行う体操会も増やしています。
また、健康づくりのリーダー的存在である「健康推進員」を地域ごとに育成し、活動を推進。地域ぐるみの健康活動を行っています。
東区体育協会と連携して、気軽に参加できるスポーツ教室などを開催。みんなでスポーツが楽しめる機会を設けています。
「ふれあい介護予防教室」では介護予防に関する勉強会を行い、「健康カラオケ教室」では、歌うことで健康を増進。
また、「高齢者はつらつトレーニング」では、器具を使用したトレーニングや脳トレを行い、一人一人の介護予防活動を支援しています。
地域包括支援センターが介護予防活動の情報を提供していますので、気になる方は気軽に聞いてみると良いでしょう。
「高齢者地域見守りネットワーク事業」を通じて高齢者を支援

台東区では、高齢者が快適に暮らしていけるよう、地域ぐるみで支援を行う環境づくりが進行。その内容はさまざまで、高齢者の活躍の場や通いの場を広げるための支援活動も多く催されています。
「シニアライフ応援計画」では、高齢者がこれまでの経験や趣味を生かして、生きがいをつくるノウハウが学べる「シニアライフ講座」を開催。
また、「生涯学習ラーニングスクエア」では、社会生活や福祉などの課題解決に向けた学習を行っています。
さらに、社会奉仕活動や健康づくり活動などを行う老人クラブに対し、助成金の交付などを行い活動を支援。シルバー人材センターでは、高齢者の就労支援も行っています。
高齢者の書や絵画、手芸作品などを発表する「寿作品展示会」なども開催され、同時に区立の小学校や幼稚園などに通う子どもたちの作品も展示し、大人から子どもまで世代を超えて交流しています。
老人福祉センターや老人福祉館では、趣味の教室や教養講座、レクリエーションなどを実施。高齢者が外出したくなるような通いの場を確保しています。
「高齢者ふれあい入浴事業」では、区内の公衆浴場で利用できる割引入浴券を配布。公衆のお風呂に入ることで、地域の皆さんと交流が楽しめます。
そんな台東区では、一人暮らしの高齢者が増えており、孤立化も問題になっています。そのため、「高齢者地域見守りネットワーク事業」を通じ、地域の見守りサポーターを養成。地域全体で安否確認や声かけを実施しています。
台東区の福祉サービス運営適正化委員会とは?

台東区では、高齢者向けの相談窓口を設置しています。
権利擁護センター「あんしん台東」では、福祉サービスに対する疑問や苦情に対応。
「訪問介護で掃除を頼んでいるのに、ちっとも綺麗になってない」「ヘルパーが毎回来る度に悪口を言う」といった不満や苦情を伝えると、問題解決のために職員が動きます。
弁護士による福祉の法律相談も実施していますので、福祉サービスを利用している最中に起きたトラブルなどを相談できます。相談は事前予約制で完全個別。無料なのが魅力です。
また、各地域の支援センターでは、地域に密着した総合相談を実施中です。
高齢者だけでなく、その家族や周りの住民も相談可能。「最近、お隣のおばあちゃんの様子がおかしい」といった話もできます。
高齢者福祉サービス全般のサポートや高齢者の権利擁護支援なども行っており、高齢者虐待などの通報も受け付けているほか、日常生活用具のレンタル相談も可能。「畳が濡れるから防水シーツは借りられますか?」といった相談ができます。
介護予防・地域支援課の高齢者総合相談では、高齢者やその家族を対象として、在宅介護や施設入所に関する相談に対応。
福祉サービスの紹介もしていますので「足が痛くて買物がつらい…何か良いサービスはないですか?」といった相談もできます。
そのほかにも、健康相談や生活相談など、台東区では多様な相談が実施されていますので、気軽に問い合わせてみると良いでしょう。