農地や山々を見渡せる地は、高齢者が老後を過ごすのに最適

静岡県の東部に位置する田方郡。
明治期の町村制の施行以来、頻繁に構成自治体の入れ替わりが繰り返されてきたエリアです。
963年を最後に40年以上の長きにわたって8町1村の体制ですべての運営が行われてきましたが、2004年の伊豆市、その翌年の伊豆の国市の誕生に伴い、函南町のみが残る形となりました。
函南町内を見渡した際にまず目につくのは、豊かな緑に覆われた山の連なりです。
その間に広がる住民の居住地域を見ても、よく手入れされた農地がたくさん目に飛び込んできます。
これらの自然環境は、高齢者にとってはもちろん健康的な生活や平穏さをもたらしてくれますが、そればかりではありません。
近隣のより大きな都市に勤務する住民が、20世紀後半を通して絶えず流入してきたからです。
中には、東京都を含めた関東地域へ毎日通勤する住民がいるほどです。
町内にはJR東海道本線の函南駅と伊豆箱根絵鉄道駿豆線の伊豆仁田駅があり、遠隔地に頻繁することも決して至難の業だとは言い切れないのです。
移動を車両に頼る場合もその事情はあまり変わりません。
東駿河湾環状道路に乗り入れるためのインターチェンジが設置されていますし、国道・県道・有料道路の本数や種類はなかなか豊富です。
また近隣に移動するだけの場合は、伊豆東海バスの路線の利用がおすすめです。
ベッドタウンとしての役割を長年果たしてきたこともあって、田方郡函南町の人口は一貫して伸び続けてきました(現在、町内でサービス業と小売業が隆盛を誇っており、生活物資に困ることがないのはその点の影響によるものでしょう)。
もっとも、人口増加は1990年代後半に入ると急激に低下しています。
2000年代後半に入ると、微減に転じはじめました。
その影響が顕著になるのは少し先の時代だといわれています。
なお2023年の時点で高齢化率が32.3%を記録していました。
県の平均値や全国平均値と大きな差はありませんが、事態がより深刻になる前に先手を打って将来に備えることが当面の論点となりそうです。
小さな自治体ということもあって、田方郡内の老人ホーム・高齢者専用住宅の数や種類は小規模にとどまっています。
しかし他のエリアと同様に特別養護老人ホームやグループホームの整備は進んでいますし人気も高まっています。
これらの公的な施設はいずれもコストが安価な点が人気の主因ですが、民間運営の施設も、この地域で探すとかなり費用が安くつくケースがよくあります。
数は少ないですが入居するときのメリットはたっぷりあるでしょう。