がん・末期がんでも対応が可能な施設特集
末期がんでの老人ホームの入居は、“継続”がカギ

日本人の死因において1位となっているのが、がん。年間で30万人以上の人ががんで亡くなっているとも言われています。がんは、0からⅣまでの5つのステージにわけられ、ステージⅣの中でも「病巣が全身に転移し、積極的な治療方法がほとんどない状態」を末期がんと呼びます。「がん・末期がん=病院・自宅」という話はひと昔前のこと。がん・末期がんになることも想定した場合、このページでご紹介しているような末期がん患者の受け入れも行っている、手厚い医療ケアが整っている介護施設への入居を検討してみるのも一案ですよ。
がん・末期癌の方が入居できる老人ホームは?
介護を必要とし、介護施設への入居を検討もしくは入居している際に末期ガンとなったとき、そのまま自宅で暮らすか、病院で最期を過ごすのか、介護施設へ入所させるかは家族・ご本人ともにさまざまな想いや願いがありますよね。
ここでは、自宅での療養が難しくなった場合に、老人ホームなどの介護施設で末期ガンの方が過ごせるかどうかについて解説してみましょう。
一般的に、末期ガンの方が老人ホームなどの介護施設に入居しようと思ったとき、その施設がターミナルケアへの対応が可能かどうか、ガン治療や緩和のためのケアができるかどうかが大きなポイントとなります。末期ガンの場合、治療を行っていたとしても痛みを感じることが多く、恐怖心や孤独感を感じています。
老人ホームでこうした痛み、不安感、さらには家族の心にも寄り添ってくれるかどうかは本人の幸せな最期のためにも非常に重要です。そのため、入居先を検討する際には、疼痛管理や万が一の容体急変時の緊急対応体制、看護師によるケアが受けられるかどうかは当然末期ガンの方が老人ホームに入居する際には確認する必要があります。
すでに何らかの介護施設に入所している方の場合、その施設がターミナルケア対応や医療対応をしていなければ新たに入居先を探す必要があります。こうした場合、病院経営の老人ホームは医師の往診やクリニック併設などにより確かな医療ケアが受けられることが多く安心です。また、「ターミナルケア」「看取りケア」「終末期ケア」に対応している老人ホームも近年増えつつあり、最期の日々を穏やかに過ごしたいという入居者や家族の希望に合わせた緩和ケアを介護・看護・医療の連携のもと行っているところも多くあります。
末期ガンの方に対するケアの実績があるかどうかを入居時に確認したり、どのような医療体制を整えているかを確認するとともに、末期ガンからくる痛みへの疼痛管理の方法としてどのようなものを採用しているかも確認してみるといいでしょう。
末期ガン患者が入居可能な施設の場合、家族もできるだけ近くにいられるように、との配慮から家族向けの宿泊ルームを用意しているところや、居室内で家族が寝泊まりできるよう配慮された施設もあります。どのような過ごし方が末期ガンとなった本人にとって一番いいのかを考え、老人ホーム探しをしてみましょう。
がんとは?
ほどんどの方が耳にしたことのある病気、がん(癌)は細胞内のDNAに傷がつき、細胞分裂をする際に突然変異することで発症する病気です。無秩序に増殖し、正常な細胞や体内組織を破壊するがん細胞は、発症しが場所だけでなく、転移していくのが特徴です。
国立がん研究センターが公表している「がん登録・統計」では2014年にがんで亡くなった方の数は約37万人。男性の4人に1人、女性の6人に1人ががんで命を落としています。部位別では、男性の場合、がん死亡の25パーセントが肺がんと最も多く、次いで胃がん、大腸がんと続いています。また、女性の場合は大腸がんが最も多く、続いて肺がん、胃がん、膵臓がんとなっています。
1981年以来、日本人の死因でもっとも多いとされるがん(癌)は発症部位や発見時の進行度合い、年齢などにより生存率が異なります。男女別に5年相対生存率の高い部位と低い部位を見てみると、男性の場合5年後の生存率が高いのは前立腺や皮膚、甲状腺、腎・尿路などが挙げられます。一方、5年相対生存率が低い部位は食堂や肝臓、脳・注水神経、肺、膵臓などとなっています。また、女性の場合子宮体部や皮膚、乳房、甲状腺、子宮頸部直腸などのがん(癌)は比較的5年相対生存率が高いのに対し、脳や中枢神経系、膵臓、多発性骨髄腫などでは5年相対生存率は40%未満と低い値を示しています。
がん(癌)は体内のさまざまな場所で発生するため、進行の仕方や症状の出方、さらには治療方法や薬なども異なりますが、男女それぞれに特有の癌があることも知られています。
症状としては多くのがん(癌)に共通するのがしこりや、血尿・血便・吐血などの出血、体重減少が挙げられますが、部位によっては自覚症状が少なく、気づいたときにはかなり進行してしまっていることも決して珍しいことではありません。
がんが体内で発生した部位から他の部位に転移し、広がった状態は末期がんと呼ばれ、例えば骨に転移した場合には高カルシウム結晶や骨折しやすくなる、脱水症状になりやすくなるなどの症状が見られます。また、肺に転移した場合には、血痰、息切れ、呼吸困難などが見られますが、転移性肺がんになった場合であっても自覚症状がないことが多いと言われています。また、運動障害や知覚障害、認知障害、言語障害、視力障害などが見られるのが脳へ転移した場合の特徴的な症状です。また、肝臓に転移した場合には右側の腹痛、みぞおちの痛み、体重減少、腹水などが見られることもあります。
万が一、がんと診断された際には、「手術療法」「抗がん剤による化学療法」「放射線治療法」のいずれか、もしくは組み合わせての治療が行われます。
がんは治療方針を決めるにあたってがんの進行度を正確に見極めるための診断が行われ、早期の段階であるステージ0から末期がんと呼ばれるステージⅣまでの5段階に分けられます。5年生存率は、ステージが上がるほどに下がります。例えば大腸がんのケースではステージ0の段階での5年生存率は91.6パーセントであるのに対し、ステージⅣの場合には18.8パーセントとなってしまうのです。
転移する前に早期発見することができれば、治療により生存率が上がるため、市区町村が主体となったがん検診(胃・大腸・肺・乳がん)などが行われていますから、定期的に検診を受けることはとても大切です。近年の医療の発達により、がんと診断されたとしても回復される方ももちろんいらっしゃいます。ステージごとに医師と良く相談しながら治療を行うことは何よりも大切と言えるでしょう。
回復が見込めず、積極的な治療を望まない場合には、穏やかに最期のときを迎えられるような緩和ケアを行える病院や介護施設、もしくは自宅で過ごすための準備をしていくこととなります。
ホスピスと終末期対応可能な老人ホームとの違いは?
終末期のケアを行う場所としてホスピスと終末期ケアの対応可能な老人ホームなどがありますが、具体的にはホスピスと終末期対応可能な老人ホームとは、いったい何が違うのでしょうか?ホスピスとはどんなどころなのかを知りしながら、老人ホームとの違いを考えてみましょう。
一般的にホスピスとは、緩和ケアや終末期ケアを行うための施設を指します。ターミナルケアとは体が衰弱し、死期が迫っている方に対して痛みや苦しみを和らげるためのケアで、残された人生のQOL(=生活の質)を高めることが目的で行われます。また、緩和ケアとは末期がんなどにより肉体的にも精神的にも苦しみを感じている患者さんとその家族に対して、肉体的な痛み、精神的な辛さなどを見極め、医療や看護・介護によりケアすることで生活の質を高めていくことを指します。
ホスピスは、こうした緩和ケア・終末期ケアを行うための施設で、病院内の病棟や一部フロアに設けられている場合や、病院と同じ敷地内に独立型ホスピスとして設けられていることが多いです。また、まだまだ日本では少ないですが、緩和ケアを専門とする施設として独立している施設もあります。病院内に設けられていることの多い緩和ケア病床(病棟)も役割は同じですが、緩和ケア病床(病棟)は構成大人の認可のもと、「末期悪性腫瘍患者の終末医療」を行う病床(病棟)であるという点が大きな違いです。
近年、自宅で最期の時を迎えたいという方のニーズに応えるために、医師・看護師、そして介護スタッフが訪問診療や看護・介護を通じて死を迎えるまでのケアを行う在宅ホスピスという形態も徐々にではありますが普及しつつあります。こうした在宅ホスピスでは、介護は介護保険、訪問看護は介護保険もしくは医療保険、訪問診療は医療保険を利用する形となります。一方でホスピス緩和ケア病棟は医療機関となりますので、国民健康保険など医療保険の適用対象となります。
ホスピスでは医師、看護師、薬剤師、作業療法士などの専門スタッフに加えて医療ソーシャルワーカーや介護スタッフが在籍し、病気を治すのではなく、病気による苦しみを和らげることを目的に、チームで患者さんの穏やかな生活を支えます。
同じように終末期ケアが受けられるのが看取りや終末期ケア(ターミナルケア)に対応している民間の有料老人ホームやグループホームなどの介護施設です。最近ではサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームでも終末期対応可能な体制を整えているところが多く見られますが、最も多いのが介護付き有料老人ホームです。介護付き有料老人ホームは、あくまでも介護施設であることから、介護保険の適用が主となります。
このように、ホスピスと終末期対応可能な老人ホームとの大きな違いはホスピスがより医療に近いのに対し、終末期対応可能な老人ホームはあくまでも介護施設として終末期ケアを行っているという点です。
どちらがいいとは一概には言えませんから、病状や必要なターミナルケアの内容、各施設ごとの対応可能な医療・看護ケアをしっかりと把握し、医師や医療ソーシャルワーカーなど専門家の意見を聞きながら、入居(入院)する本人や家族の意思ができる限り反映できる場所を探していきましょう。
末期がん患者でも入れる老人ホームとは
末期がんになり、病院以外での生活を希望した際に選択肢として考えられるのが自宅、もしくは末期がんでも入居できる介護施設です。
近年、末期がんの方でも入居できる民間の有料老人ホームは、徐々に増えつつありますが、末期がんと診断された場合には老人ホームの選択肢も狭くなります。
末期がん患者の方の場合、病気からくる痛みを緩和するための痛み止めの注射や麻薬などの使用が必要となる場合が多くあります。こうした医療行為は、介護スタッフは行うことができませんから、緩和のための看護・医療ケアを受けるためには看護師が常時いる老人ホームや、病院から医師が診察に来てくれる老人ホームが望ましいと言えます。また、積極的な治療をしないのであれば特別養護老人ホームへの入居ももちろん検討できますが、特別養護老人ホームは待機者数も多いため、希望してもすぐに入れないケースがある点は注意が必要です。
末期がん患者の方が入居できる老人ホームの条件としては、「医療との連携がしっかりしている」「看護師がいる/訪問看護が受けられる」「施設としてターミナルケアや緩和ケアに取り組んでいる」ことが必要です。
看護師が24時間常駐していたり、病院が運営しているなど老人ホームであれば、万が一症状が急変した場合にも医師の適切な管理のもとで処置が行われることが期待できますので、患者さん本人としても、家族としても安心できるといえるでしょう。病院経営の有料老人ホームでは、外来としての通院や往診なども受けられることが多いですから、各施設の医療対応の具体的な内容についても確認してみましょう。
数ある病気の中でも、がんの治療はチーム医療といわれ、患者さんが望む人生を歩むために医師や看護師、介護スタッフ、そしてときには医療ソーシャルワーカーなどが生活の様々なシーンでのサポートにあたります。緩和ケアやターミナルケアは、患者本人だけでなく、家族の精神的なサポートも含まれていると考えられています。末期がんでも入れ、患者さん本人が望む生活を送れる環境が整っている老人ホームを探す際には、家族とのコミュニケーションがどれだけ取れるのか、チームケアの体制などがしっかりしているかなどを確認することが、患者である本人にとっても家族にとっても大切なこととなってくるといえるでしょう。
要支援1とは?

要支援1とは、介護保険制度の要介護度の中でも最も軽度な状態です。
食事やトイレ、身支度をはじめ、日常生活の基本的なことは他者の助けを借りなくても一人でこなせます。
しかし、調理や掃除などの家事、服薬といった一部の生活動作については、一人でできない場合があります。
自立・要支援2との違い
日常生活の基本的な動作が自力ででき、身の回りのことも一人で行える状態を「自立」といいます。
一方、「自立」以外の人で介護や介助が必要な場合があります。
中でも、自分一人で日常生活を送ることができるものの、家事や外出など一部で支援が必要な状態が「要支援」です。
要支援2は、要支援1に比べて日常生活での支援を必要とする範囲が広がります。
家事や身の回りのことを行うとき、基本的に見守りや手助けが必要です。また、立ち上がりや歩行時には支えを必要とします。

要支援1で在宅介護はできる?
要支援1の人を家族が自宅で介護することは十分に可能です。
要介護度認定のうち最も軽度な要支援1は、一人暮らしができる状態でもあるため、家族による在宅介護で暮らしているケースはよく見られます。
本人自身の力で生活の多くをこなせる状態なので、日常生活で家族による見守りや手助けが必要な場面はそれほど多くありません。
しかし、家族の介護負担を軽くするためにも、必要に応じてデイサービスや訪問介護などの介護サービスを利用すると良いでしょう。
現在は特に不自由なく自宅で暮らしていても、心身機能の衰えや病気や怪我などをきっかけに、要介護度が高くなる可能性も考えられます。
したがって、要支援1は在宅での介護が十分に可能な状態ですが、「一人の時間帯が長く、体調の急変時が心配」「家族が遠方で暮らしていて、将来が不安」といった声は少なくありません。
安心して暮らすために、老人ホームに入居するのもおすすめです。
要支援1で入居できる老人ホームは?

元気なうちに老人ホームへの入居を早めに考えておきたい場合、要支援1でも老人ホームによっては入居が可能です。
ただし、老人ホームによっては要介護以上の方でないと入居ができない場合もあるため、老人ホームごとに調べる必要があります。
要支援1でも入居ができる老人ホームは、「サ高住」や「ケアハウス」がオススメです。
サ高住
サービス付き高齢者向け住宅、略してサ高住(さこうじゅう)は、民間が運営するシニア向けの賃貸マンションです。
単身の高齢者や夫婦が安心して暮らせる環境が整備されています。
サ高住の大きな特徴は、バリアフリー設計とシニアに配慮したサービスです。
居室にはトイレや浴室、キッチンが用意されていて、移動しやすいように段差がなく手すりを設置しています。
また、廊下の幅も広いので、入居者がゆったり行き交うことが可能です。また、館内にはスタッフが常駐していて、見守りサービスや生活相談を受け付けています。
緊急時対応もしてくれるので、体調の急変時にも安心です。
また、介護や介助が必要な方は、外部の介護事業者と契約しましょう。
介護保険サービスの訪問介護やデイサービスなどを必要に応じて利用できます。
暮らしやすい生活環境とスタッフの行き届いたサポートによって、自宅で暮らしているような感覚で生活が送れます。
サ高住は実際に、自立の方をはじめ要支援や要介護1・2といった比較的要介護度の低い方が多く暮らしている老人ホームです。
ケアハウス
ケアハウスは、家族との同居が難しい高齢者が自治体の助成を受けて利用するのが特徴です。
要支援1で一人暮らしに不安のある高齢者には、「一般型(自立型)」と呼ばれるタイプがおすすめです。
一般型のポイントは、「自立状態であること」「介護が必要になったときは外部の介護事業者と契約して介護サービスが受けられること」の2つです。
主に訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービスを利用しながら生活をします。
ケアハウスのメリットは、初期費用が安く抑えられることです。
一般型の場合、保証金として入居時に30万円程度がかかります。また、月額費用の目安は7万〜13万円程度です。なかには、初期費用のないケースもあるなど、初期費用にまとまった金額がかかる民間の有料老人ホームと比較して経済的な負担が軽く済みます。