手厚い介護・職員体制(2.5:1以上)の施設特集
職員体制「2.5:1」以上の手厚い介護サービスとは

入居者に手厚い介護サービスを提供できる職員体制を持つ施設は、高齢者にとって魅力的であると同時に、安心できる施設かどうかの一つの判断材料です。介護付き有料老人ホームなどの特定施設は、介護保険法に基づき要介護・要支援2の入居者3名に対して職員を1名配置(3:1)することが義務づけられており、それ以上の人員体制である「2.5:1」や「2:1」の施設は手厚い介護体制となります。入居の際に提示される施設情報や重要事項説明書にある職種別の配置人員や夜間スタッフの数などを入居における参考資料としてしっかりチェックしておきましょう。
老人ホームにおける「手厚い介護サービス」とは
特養や介護付有料老人ホームの人員配置は介護保険法により決められており3:1が最低基準となっていることは先ほどご説明しました。この3:1は最低基準のため、より手厚い介護サービスを提供するためにはさらに多くの人員を配置する必要があります。職員体制を3:1、2.5:1、2:1と引きあげることにより、よりきめ細かい介護サービスの提供が可能になります。
ここでひとつ注意しておきたいのは、3:1の人員配置が「入居者3名に対し24時間つねに介護職員1名がつき、介護サービスを提供しているわけではない」ということです。介護職員は常勤職員もいればパート勤務の方もいます。職員の出勤体制も早出や日勤、遅出、夜勤とさまざま。食事やトイレ、入浴介助、レクリエーションを行う忙しい日中は職員の数を多めに配置し、逆にイベントや食事・入浴介助の必要がない夜間は職員数を少なくして対応しています。
老人ホームの人員配置が2.5:1や2:1へ引き上げられている施設の場合、昼間はもちろん夜間の介護職員にゆとりがうまれます。入居者が夜間異常を訴えても、職員の数が多ければより安心して生活できますし、「入浴は週に2回ではなく3回にしてほしい」という入居者の希望も、職員の数にゆとりのある老人ホームなら実現可能です。
介護職員の数にゆとりがあると、昼間にゆったりと散歩や買い物を楽しんだり、排泄ケアの回数も増やすことができます。なかには入居者1名に対して担当の介護職員が決まっている老人ホームもあり、きめ細かい介護サービスを提供しています。

もしも入居を希望する老人ホームの人員配置を正確に知りたいときは、重要事項説明書を提示してもらいましょう。この重要事項説明書は入居前に十分な説明が義務づけられているものです。
重要事項説明書のなかにサービスの内容を説明する項目があり「人員配置が手厚い介護サービス実施の有無」にもし「あり」とあれば最低基準よりも手厚い介護サービスが受けられることになります。契約の前に重要事項説明書の中身をしっかりチェックしましょう。
優良な職員体制の見分け方
入居者と介護職員の人員配置3:1は最低基準であり、充実した介護ケアサービスを受けるためにはさらに多くの介護スタッフが配置された老人ホームを選ぶ必要があります。手厚い介護ケアサービスを受けるためには「要介護者:介護者・看護職員」=2:1、夜間「要介護者:介護者・看護職員」=20:1であることが望ましいのです。この条件をクリアした老人ホームは「優良老人ホームである」と言えるでしょう。
夜間は日中にくらべて食事や入浴に手間がかからないことから、職員配置が少なくなる傾向です。ところが夜間でもトイレ介助などは必要ですし、入居者の急変時や火災・地震などの非常時に最低限の職員数では非常に心もとないもの。夜間の介護スタッフ数が増えれば増えるほど、安心感も増します。

優良な職員体制の見分け方としては人員配置基準だけではなく、介護スタッフの資格保持者がどれだけいるかも重要です。ケアマネージャーはもちろん、看護師や介護福祉士、機能訓練員、介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)・実務者研修(ホームヘルパー1級)など、資格保持者が多ければ多いほど介護ケアサービスの質が高く安心して暮らせます。
介護職員とは別に宿直として看護師や介護福祉士が配置されているなら、夜間のトラブルに対応するだけの知識と経験をもったスペシャリストがいるということ。良心的で優良な老人ホームであることの証しです。
優良な老人ホームであるかどうかのチェックポイントをまとめてみると、昼間と夜間の介護職員の配置基準と資格を保有するスタッフの数、そして宿直スタッフの数と資格の有無などです。これらの項目をふまえて、納得できる老人ホームを探しましょう。
特定施設の「3:1」、その計算方法とは?
介護付有料老人ホームでの最低限の人員配置は3:1であることをご説明しましたが、実際にその計算方法はどのように行えばいいのでしょうか。ここでは具体的な数字をあげて説明します。
すべての入居者が要介護の有料老人ホームがあると仮定します。その老人ホームの入居者は90名。そして老人ホームの常勤職員が25名、非常勤(パート)職員が10名(週30時間勤務)であると仮定して計算をします。
常勤職員25名はそのまま常勤換算して25名です。ところがパート職員の場合は計算がやや複雑になります。それぞれの勤務時間を、常勤換算しなければなりません。1日の勤務時間は8時間、1週間の勤務日数が5日間なので、一週間あたりの労働時間40時間が常勤換算での1となります。
ここでは、週に30時間勤務なので0.75。パート職員を常勤換算すると1人あたり0.75人という計算になります。非常勤職員が10名いるため、非常勤職員全体を常勤換算すると0.75人×10名で7.5人です。
常勤職員とパート職員の数を合算した32.5人がこの事業所全体の常勤職員数となります。入居者90名に対して常勤職員32.5人なので、この職員数であれば3:1の最低基準を満たしていることになります。手厚い介護ケアサービスを提供するためには、さらに職員数を増やす必要があるでしょう。
老人ホームの入居者数に対して常勤職員数が足りているかは、介護ケアサービスの質にもっとも深く関わる部分です。毎月管轄の行政担当に「老人ホームの人員配置が、最低基準を満たしているかどうか」を報告することが義務づけられています。
手厚い介護が実現するかどうかは、職員の数と比例するようです。老人ホームを選ぶときには、外観や内装、立地だけではなく人員配置についてもしっかりとチェックしてください。
特定施設の職員の配置 | |
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施設長 | 常勤の管理者を置くこと。 |
事務員 | ─ |
生活相談員 | 利用者100人に対し1人以上配置すること(常勤換算)。 |
介護職員 | 常に1以上配置する。 |
看護職員(看護師または准看護師) | 利用者が30名未満の場合は1人以上、利用者が30名以上の場合は、30名を超えて50名またはその端数を増すごとに1人を加えて得た数以上とする。 |
機能訓練指導員 | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員等の資格を有するもので1人以上配置する。 |
栄養士 | ─ |
調理員 | ─ |
計画作成担当者(介護支援専門員) | 専従で1人以上配置する。 |