高齢者同士のつながりも深い活気あふれる街

奈良との県境には生駒山系がそびえているほか、市内を大和川のような大きな河川が何本も流れています。
ダイナミックな自然が残る地域もあれば、さまざまな製造業が盛んな地域もあり、多面的な都市です。
20年近く前から再開発が進められているエリアもあり、近い将来、市の様子は大きく様変わりするものと見られています。
市の人口は1990年頃にピークに達しています。
この四半世紀を通して人口はじりじりと減少の一途をたどっており、高齢化率も進んでいます。
1990年には10%程度だった高齢化率は、2000年には15%を超え、2023年には28.3%となり、かなりのスピードで上昇しています。
その2005年は、初めて市内の65歳以上の人口が5,000名を超えた年でもありました。
こうした著しい少子高齢化率を目にして、八尾市ではかなり前から高齢者向けの福祉に力を入れてきました。
「老人医療(一部負担金相当額等一部助成)制度」や「後期高齢者医療制度」、「高齢者住宅改造費助成」や「徘徊高齢者家族支援サービス」等の制度が、最近頻繁に利用されています。
また八尾市では、60歳以上の住民を対象に、「高齢クラブ」を開設しています。
高齢者が自身の生活を豊かにし、地域社会を豊かにすることを目的とした団体です。
クラブに参加することで、他の高齢者との親睦が深まることに加え、楽しみながら地域の利益に貢献していくことができます。
高齢化が進行する都市のため、介護事業者も八尾市には近年大いに注目しています。
施設が相次いで建てられてきたことがその証拠です。
現在の八尾市で目立つのは、価格が安めの施設が多いこと。
サービス付き高齢者向け住宅、介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホームなどを見ても、月額使用料が15万円以下で入居できる可能性がある施設がかなり多いのです。
また、特別養護老人ホームや経過的軽費老人ホーム等の施設を選ぶこともできます。
あまり予算を捻出できない家庭にとって、八尾市は「リーズナブルな条件で老人ホーム・高齢者向け住宅に入居しやすい都市」となっています。
まだこの情勢は当分の間、続きそうです。
八尾市の高齢化率は2023年には28.3%になった
八尾市は、大阪府の中河内地域にある中核市。
北西では大阪市と隣接しています。
交通アクセスとしては、JRの大和路線やおおさか東線、近鉄の近鉄大阪線や近鉄信貴線、大阪市高速電気軌道(旧:大阪市営地下鉄)の谷町線が走行。
信貴山口駅から高安山駅までを結ぶ近鉄のケーブルカーもあります。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
路線バスも近鉄バスや大阪バスが運行し、高速道路は近畿自動車道が通っており、アクセスは比較的発達した街です。
八尾市の総人口は、緩やかに減少しています。
2017年には26万7,764人でしたが、2023年には26万1,998人となりました。
今後も減少すると予測されています。
年齢階層別にみると、0歳から14歳までの年少人口と、15歳から64歳までの生産年齢人口は減っており、65歳以上の高齢者人口は増加しています。
高齢化率も年々上昇しており、2023年には高齢化率が28.3%になり4人に1人以上が高齢者という状況が訪れています。
2023年には高齢者人口は7万4,162人ですが、2030年には7万4,659人、高齢化率は30.1%と30%を超える見込みです。
また、死亡率も大阪府の平均を上回っています。
一方で、八尾市の世帯数は増加の一途を辿っており、2023年には総世帯数が11万4,265世帯になりました。
その内、高齢者のみの世帯は3万1,637世帯となっており年々増加しています。
高齢者のいる世帯の内訳をみると、三世代同居世帯は減っており、一人暮らしの高齢者と高齢夫婦世帯は増加中です。
高齢者だけの世帯が増加したため、生活支援の需要がますます増大しました。
八尾市では高齢者福祉サービスを充実させ、生活支援サービスなどが気軽に受けられる環境を作ろうとしています。
要介護認定率は2023年には24.7%を突破
八尾市では、介護保険における第1号被保険者数は増え続けています。
2016年度は7万3,388人、2023年度には7万3,639とやや増加。
2023年の前期高齢者は3万148人、後期高齢者は4万3,491人でした。
数年前は前期高齢者数が後期高齢者数を上回っていましたが、現在は後期高齢者数が多くなっています。
今後も後期高齢者は増え、それにともない要支援や要介護認定者が増えると予測されています。

実際、要支援・要介護認定者は増えており、2024年には総数1万8,622人となりました。
中でも要介護1の認定者数が多く3,144人となっています。
認定率も2014年度には20%を超え、2023年度には24.7%と年々高くなっています。
認定率は全国平均19.7%、大阪府平均23.9%と比較すると高い数値となっています。
前期高齢者の認定率は6.4%、後期高齢者の認定率は36.8%でした。
八尾市は軽度者も活用できる通所リハビリテーションやデイサービスを充実させています。
また、将来推計によると、要支援・要介護認定者は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年以降、要介護認定者数はさらに増加する見込みです。
八尾市では介護保険サービスに対する需要の増加に対応できるよう、訪問介護や訪問看護などの居宅サービスや、特別養護老人ホーム、夜間対応型訪問介護看護などの地域密着型サービスの提供体制を整備しています。
高齢者見守りネットワーク「高齢者見守りサポーターやお」が発足
八尾市では、高齢者の閉じこもりや社会的孤立など、さまざまな問題が持ち上がっています。
そのため、高齢者が幸せな生活が維持できるよう、高齢者を包括的にケアするシステムを構築中です。

地域での見守り体制の強化のため、八尾市の高齢者見守りネットワーク「高齢者見守りサポーターやお」を発足。
地域包括支援センターや社会福祉協議会を中心として、医師会や歯科医師会、訪問看護ステーション、地区福祉委員会、高齢クラブ連合会、配食サービス事業者などの施設やグループが連携し、八尾市全体での見守りを実現しようとしています。
八尾市では本当に必要とされている支援を行うため、一人暮らしの高齢者などの実態の把握調査なども実施。
講演会や研修会を開催し、住民の見守りに関する意識を高めています。
生活に困窮している高齢者にも生活自立支援窓口を設置し、幅広く対応できるよう配慮。
福祉サービスに関する総合相談窓口「いきいきネット相談支援センター」を設置し、専門の相談員が相談に応じています。
また、高齢者やその介護をしている家族などが孤立しないよう、「介護者の会」や「一人暮らし老人の会連絡会」などの活動を支援中です。
災害時にも高齢者や障がい者が取り残されないよう、サポートする体制を整備。
福祉避難所なども設け、避難時も高齢者に配慮できる環境を目指しています。
見守り活動への協力事業者は年々増えており、2017年度には約630もの団体が参加しています。
「河内音頭体操教室」で介護予防運動を推進
八尾市では、高齢者の健康をサポートするため、介護予防活動や介護の重度化防止活動を推進中です。
地域ごとに自主的な介護予防活動ができるよう、専門スタッフが介護予防に関する知識を高齢者を含めた地域住民に伝え、介護予防サポーターやシルバーリーダーの育成を支援。
こうした地元密着型の介護予防活動は、高齢者の生きがいづくりや居場所づくりにも繋がっています。

また、主要死因別にみると、悪性新生物や心疾患、肺炎などが多く、特に心疾患は大阪府の平均を上回っています。
そのため、八尾市では生活習慣病も含めた病気の早期発見・早期治療を目指し、各種健康診査やがん検診、予防接種などを実施中です。
他市同様、八尾市でも認知症高齢者も増加しています。
要支援・要介護認定者のうち、『認知症の症状が出ているが、周りが注意していれば自立できる程度の状態』と認定された人が、2025年度には1万700人以上に増加すると推測されています。
認知症高齢者の増加を食い止めるべく、コミュニティセンターや街かどデイハウスなどの施設で「河内音頭体操教室」などの介護予防運動や認知症予防に関する教室を開催。
定期的に介護予防教室を開催することで、運動の習慣化を目指し、閉じこもりや認知症を予防しています。
「河内音頭体操教室」は八尾エリアの伝統文化である『河内音頭』をアレンジしたご当地体操。
準備運動も含めた高齢者向けの体操なので、無理せず運動ができるのが魅力です。
八尾市の高齢者相談
八尾市では高齢者向けの相談窓口を設置しています。

八尾市社会福祉協議会内の「権利擁護センター」では、設置認知症などで判断能力が低下している高齢者のために、「日常生活支援事業」を実施中です。
成年後見制度により、福祉サービスなどへの申し込み契約や利用料の支払い、通帳やハンコといった金銭管理の代行を行います。
そのため、「最近、サービスの契約などが難しく感じるようになった」「通帳やハンコがいつもどこかにいって途方に暮れる」などの相談をすることができます。
また、社会福祉協議会では福祉の貸付制度に基づき、高齢者世帯などに生活福祉資金の貸付や相談支援を実施。
病気や怪我などで一時的に「介護保険サービスの料金が払えない」といった状況に陥った人を救済する措置です。
福祉資金には、住み慣れた自宅で老後を送れるように、所有している土地や建物を担保として生活資金が借りられる「不動産担保型生活資金」があり、一人ひとりの状況に合わせた貸付が行われます。
貸付不可の場合もありますが、困った状況の打開策などをアドバイスしてもらえるでしょう。
その他にも、各地域に配置された出張所では、保健師などによる「あなたの街の健康相談」を実施。
高齢者の心身の健康に関する相談に応じ、健康づくりをサポートしています。
八尾市では市役所や区役所などでいろいろな相談ができますので、気兼ねせず利用すると良いでしょう。
法律相談や司法書士相談などの難しい相談も可能です。