館内禁煙・全室不可の施設特集
世間的な流れを受けて、館内禁煙・全室不可とする介護施設が急増中!

館内に喫煙スペースを設けて分煙化する介護施設が増えている一方で、世間の禁煙化の流れを受けて、介護施設でも「館内禁煙」「全室不可」と設定するところが増えています。例えば鉄道の駅のホームやバスの停留所、タクシーの車内、ホテルや旅館など、様々な場所で禁煙化が進んでいることを考えれば、健康的な生活を送ることが大前提の介護施設の館内が禁煙になるのは、当然とも言えるでしょう。特にその流れが顕著だと言われる介護付有料老人ホームを中心に、館内を禁煙化している介護施設をご紹介します。
全館禁煙という老人ホームなら火の元も安心
「健康増進法」の施行前は、公共施設でもタバコが吸える場所は多数ありました。ところが喫煙が健康に悪影響をあたえることが判明。喫煙により気管支炎や肺気腫などのCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を発症する可能性が高まるのはもちろん、がんや心筋梗塞、Ⅱ型糖尿病、うつ病などの病気を発症しやすくなると指摘されています。
その後、「健康増進法」が成立し、喫煙愛好者が公共の場で気兼ねなくタバコが吸えなくなったのは「受動喫煙」の問題が大きいと言えます。喫煙者が吸いこむ主流煙にはさまざまな有害物質が含まれています。主流煙よりも「タバコが燃えることで先端から立ちのぼる副流煙」の害の方が大きいことが判明すると、タバコが公共の場からつぎつぎに締めだされることに。
非喫煙者は本来タバコの害とは無関係のはずです。ところが喫煙者の近くにいることで本人の意思とは関係なく、喫煙者と同レベル、またはそれ以上の害を受けることが判明し、さらに現在は、サードハンドスモーク(三次喫煙)の問題も指摘されています。室内でタバコを吸うとその煙のなかにある有害成分がカーテンやソファーなどに付着し、その有害成分を間接的に吸いこむことで健康被害に遭う可能性も。部屋に入って「なんだかタバコ臭い」と感じると、それは有害物質にさらされていることかもしれません。
このように、タバコが与える影響は少なくないため「館内全面禁煙」を謳う老人ホームが急増しています。「全館禁煙」の老人ホームも、施設によっては同じ施設の限られた場所に喫煙スペースをもうけ、完全に密閉された空間のなかでタバコを楽しんでもらうよう配慮することも。入所者のなかには「どうしてもタバコが吸いたい」という方もいるため、分煙することにより喫煙愛好者も気兼ねなくタバコを吸うことができます。
老人ホームは生活の場という側面をもっているため、完全なプライベート空間である居室でタバコを吸うことには問題がなさそうに思えます。もちろん老人ホームによっては居室での喫煙を認めているケースもありますが、火災のリスクもあります。とくに認知症を発症している方は火の取り扱いには十分注意しなければなりません。火事が起きれば入所者全員に迷惑をかけることになります。認知症の場合はタバコやライターを事務所であずかる例も。居室や共有スペースでどこまでタバコを吸っていいのか、事前に確認しておきましょう。
みんなの介護では約7,000施設が掲載されていますが「館内禁煙・全室不可」の施設数は約4,000。半数以上の老人ホームで館内禁煙となっています。そのなかでも「喫煙スペース」をもうけ、分煙をおこなっている施設もあります。分煙化された老人ホームであれば、喫煙愛好者も安心して入所できますね。
館内禁煙・分煙は老人ホームだけでなく一般常識に!?
老人ホームでは館内禁煙・分煙がすすんでいますが、老人ホーム以外の場所ではどうでしょうか。
ヘルスケアビジネスを展開するジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社がおこなった「受動喫煙防止および屋内禁煙に関する屋内労働者8000人の全国意識結果調査」では、「屋内禁煙の職場は全体の52%」という結果がでています。職場の分煙が実施されているのは全体の21%、そして煙が漏れないようにしていない(煙対策未対応の)喫煙所が設置されているケースが11%、職場内でどこでも自由に喫煙が可能なケースが8%となっています。職場での完全禁煙は約半数。全面禁煙の職場が多い業態は教育・学習支援業、医療福祉、公務となっています。教育や学習支援業はお子さんを相手にする仕事なので、完全禁煙の職場が多いのは納得できます。
逆に職場の自由喫煙の割合が多いのは飲食業・宿泊業、建設業など。レストランでは完全禁煙ではなく、分煙をおこなっているところも少なくありません。喫煙愛好者がレストランや宿泊施設で完全に禁煙しなければならない、という状況にはなっていないのです。従業員のなかにも喫煙愛好者がいるため、飲食業・宿泊業での禁煙は、なかなかすすまないのが現状でしょう。建設業に自由喫煙が多いのは、男性主体の職場であることがその理由。喫煙者率を男女でくらべると、やはり男性の方が喫煙者率が高い傾向です。そのため建設業では「作業員が自由に喫煙してもよい」という暗黙の了解や雰囲気ができあがっている職場も。事務所の壁がタバコのヤニだらけ…という職場も実際にあります。
つぎに地域別でみてみると「全面禁煙又は完全分煙対策がとられている職場は全体の73%」であることがわかります。とくに地域別でみると、関東で最も分煙対策が進んでいる傾向です。関東は人口も多く多数の企業が本社をかまえ、官庁の数も多いため、禁煙や分煙の意識が高いものと思われます。関東や東海地方は職場での禁煙・分煙意識が高いのですが、その他地域、とくに東北・北陸・信越・四国地方では職場での禁煙・分煙意識がやや低いようです。
では喫煙者や非喫煙者が完全禁煙や分煙に対してどのような意識をもっているのでしょうか。実は喫煙者のうち25%が全面禁煙を、45%が分煙を望んでいるのです。つまり喫煙者の約7割の方が、職場の完全禁煙・分煙を希望しているのです。これは「喫煙者も受動喫煙の危険性を理解している」ということになります。もちろん、非喫煙者は喫煙者以上に職場の完全禁煙や分煙を望んでいます。受動喫煙で病気になるようでは迷惑だ、というのが正直なところでしょう。
このようにみると、老人ホーム以外の場所でも館内禁煙・分煙意識が高まっており、これからも禁煙・分煙への流れが加速していくことは想像に難くありません。
禁煙への意識は意外と低い?施設選びの基準のひとつに
社会的な流れは「全面禁煙・分煙」に大きく傾いており、老人ホームにも館内完全禁煙・分煙がなされている施設も多数あります。
館内完全禁煙をおこなえば「壁やカーテンからタバコの臭いがする」「副流煙で受動喫煙のリスクが高まる」などのクレームを0にすることが可能ですし、同時に専用の喫煙スペースをもうけて完全分煙を心がけることで、喫煙愛好者にも満足できる施設生活がおくれます。老人ホームでは入所者の健康に配慮して、さまざまな対策がとられています。
では施設で働く職員の禁煙意識はどうなっているのでしょうか。「高齢者ケア従事者自身の喫煙の有無と態度」(有効回答数2,148人、このうち喫煙者616人、非喫煙者1,532人)という調査結果をみてみましょう。介護ケア従事者の喫煙者率は、男性で51.0%、女性で23.9%という結果がでています。
まず「自分の健康管理をしているか」という質問を喫煙者におこなったところ「している」が52.8%、「どちらでもない」が31.7%、「していない」が15.6%となっています。非喫煙者の場合、自身の健康管理を「している」が70.4%、「どちらでもない」が22.7%、「していない」が6.9%となっていることから「非喫煙者の方が、自身の健康管理をきちんとおこなっている」割合が高いことがわかります。
職員の喫煙に対する態度では、喫煙者では「吸ってもかまわない」が29.4%、「仕事中でなければかまわない」が61.5%、「吸うべきではない」が8.6%と吸うべきではないという意見が少数となっています。非喫煙者の場合は吸ってもかまわない」が13.6%、「仕事中でなければかまわない」が63.3%、「吸うべきではない」が22.5%と、非喫煙者の方が禁煙の意識が高いことがわかります。
喫煙(%) | 非喫煙(%) | ||
---|---|---|---|
自分の健康管理 | している | 52.8 | 70.4 |
どちらでもない | 31.7 | 22.7 | |
していない | 15.6 | 6.9 | |
職員の喫煙に対する態度 | 吸うべきでない | 8.6 | 22.5 |
仕事中でなければかまわない | 61.5 | 63.3 | |
吸ってもかまわない | 29.4 | 13.6 | |
施設利用者の喫煙に対する態度 | 吸うべきでない | 6.8 | 18.6 |
他人に迷惑をかけなければかまわない | 68.5 | 67.8 | |
吸ってもかまわない | 24.5 | 12.9 |
喫煙とストレスとの間には、なにか相関関係があるのでしょうか。調査によって「介護ケア従事者の仕事上のストレスが高いこと」が明らかにされており、ストレスと喫煙には関連がありそうです。
喫煙者のリスクが高い要因としては、男性の場合、自身の技能の活用の場が少ないと感じる、仕事に対する働きがいが少ないと感じる、ほかには上司のサポートが高いと感じる場合などに喫煙のリスクが上昇しています。
女性の場合は職場環境から感じるストレス、男性と同じく仕事に対する働きがいが少ないと感じる場合、そしてイライラ感が強い場合です。このイライラ感は仕事を通じて感じるイライラだけではありません。タバコを吸わないことにより血中のニコチン濃度が低くなり、喫煙者の不安や緊張、イライラ感が上昇します。タバコには依存性があり、これが禁煙できない、禁煙が長く続かない要因となっています。
介護ケア従事者が置かれた環境はストレスフルであることから、ストレス解消のためにタバコを吸い、喫煙が常習化するとニコチン中毒となり禁煙しにくくなるという「悪循環」が浮き彫りになっています。
要支援1とは?

要支援1とは、介護保険制度の要介護度の中でも最も軽度な状態です。
食事やトイレ、身支度をはじめ、日常生活の基本的なことは他者の助けを借りなくても一人でこなせます。
しかし、調理や掃除などの家事、服薬といった一部の生活動作については、一人でできない場合があります。
自立・要支援2との違い
日常生活の基本的な動作が自力ででき、身の回りのことも一人で行える状態を「自立」といいます。
一方、「自立」以外の人で介護や介助が必要な場合があります。
中でも、自分一人で日常生活を送ることができるものの、家事や外出など一部で支援が必要な状態が「要支援」です。
要支援2は、要支援1に比べて日常生活での支援を必要とする範囲が広がります。
家事や身の回りのことを行うとき、基本的に見守りや手助けが必要です。また、立ち上がりや歩行時には支えを必要とします。

要支援1で在宅介護はできる?
要支援1の人を家族が自宅で介護することは十分に可能です。
要介護度認定のうち最も軽度な要支援1は、一人暮らしができる状態でもあるため、家族による在宅介護で暮らしているケースはよく見られます。
本人自身の力で生活の多くをこなせる状態なので、日常生活で家族による見守りや手助けが必要な場面はそれほど多くありません。
しかし、家族の介護負担を軽くするためにも、必要に応じてデイサービスや訪問介護などの介護サービスを利用すると良いでしょう。
現在は特に不自由なく自宅で暮らしていても、心身機能の衰えや病気や怪我などをきっかけに、要介護度が高くなる可能性も考えられます。
したがって、要支援1は在宅での介護が十分に可能な状態ですが、「一人の時間帯が長く、体調の急変時が心配」「家族が遠方で暮らしていて、将来が不安」といった声は少なくありません。
安心して暮らすために、老人ホームに入居するのもおすすめです。
要支援1で入居できる老人ホームは?

元気なうちに老人ホームへの入居を早めに考えておきたい場合、要支援1でも老人ホームによっては入居が可能です。
ただし、老人ホームによっては要介護以上の方でないと入居ができない場合もあるため、老人ホームごとに調べる必要があります。
要支援1でも入居ができる老人ホームは、「サ高住」や「ケアハウス」がオススメです。
サ高住
サービス付き高齢者向け住宅、略してサ高住(さこうじゅう)は、民間が運営するシニア向けの賃貸マンションです。
単身の高齢者や夫婦が安心して暮らせる環境が整備されています。
サ高住の大きな特徴は、バリアフリー設計とシニアに配慮したサービスです。
居室にはトイレや浴室、キッチンが用意されていて、移動しやすいように段差がなく手すりを設置しています。
また、廊下の幅も広いので、入居者がゆったり行き交うことが可能です。また、館内にはスタッフが常駐していて、見守りサービスや生活相談を受け付けています。
緊急時対応もしてくれるので、体調の急変時にも安心です。
また、介護や介助が必要な方は、外部の介護事業者と契約しましょう。
介護保険サービスの訪問介護やデイサービスなどを必要に応じて利用できます。
暮らしやすい生活環境とスタッフの行き届いたサポートによって、自宅で暮らしているような感覚で生活が送れます。
サ高住は実際に、自立の方をはじめ要支援や要介護1・2といった比較的要介護度の低い方が多く暮らしている老人ホームです。
ケアハウス
ケアハウスは、家族との同居が難しい高齢者が自治体の助成を受けて利用するのが特徴です。
要支援1で一人暮らしに不安のある高齢者には、「一般型(自立型)」と呼ばれるタイプがおすすめです。
一般型のポイントは、「自立状態であること」「介護が必要になったときは外部の介護事業者と契約して介護サービスが受けられること」の2つです。
主に訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービスを利用しながら生活をします。
ケアハウスのメリットは、初期費用が安く抑えられることです。
一般型の場合、保証金として入居時に30万円程度がかかります。また、月額費用の目安は7万〜13万円程度です。なかには、初期費用のないケースもあるなど、初期費用にまとまった金額がかかる民間の有料老人ホームと比較して経済的な負担が軽く済みます。